短くて幅が広く、丸くて平らなサーフボードに乗れば誰でも簡単にすぐ曲がり、小さな波だったらスープやリップに当てることができるかも知れません。
サーフボードをフラットにしたままボトムの腹を使って曲げるので、ボードが走っていなくてもノーズの向きはコロコロ変わります。
このようにノーズを左右に振る動作をYaw(ヨー)と言います。
もちろんこれもサーフィンなのだと思いますが、私たちジャッジはまったく評価しません、レールが何も使われていないからです。
何度も言いますが、サーフィンのターンはYaw(ヨー)じゃダメです。
このケリーのカットバックの写真を見てください。
ちょうどリップのところにこのカットバックのトラックの始まりが見えますが、ケリーのボードのノーズが180°向きを変えるまでにボードの走った距離(トラックの長さ)は楽に5m以上、ひょっとすると10m以上あるのではないでしょうか。
本物のサーファーのカットバックというのはノーズをただ横に振るだけのようなコンパクトなものではなく、想像しているものよりずいぶん大きなものだと考えてください。
波のトップからボトム、カール際からショルダーの端までかなり広いスペースを使っています。
これに対してノーズを左右に振るサーフィンでは、わずか1m四方ほどの広さの中でマニューバを行っています。
落ちてきたリップにボードを当て、今まで走って来た方向にノーズの向きを変えて、オフザリップもカットバックも自分の頭の中では完璧にできていると思っていますが、まわりの人は誰も気づきません。
ボードが走っていないのでトラックは何も残りません。
オマケですが(本業はシェイパーなので)、この写真のときケリーのボードがどのくらいロールしているのかを、シェイププログラムを使って確認してみました。
シェイプルームの中のボードに、この写真と同じような角度に見えるまでRoll(ロール)とPitch(ピッチ)を加えてみました。
2番目の画像は、視点を移動しボードをノーズ側から見たものです。
想像以上にボードがRoll(ロール)している(傾いている)ことがわかります。
また、曲がるためにはロッカーが非常に大切だということに気づくと思います。
そして、このターンの重要な要素であるRoll(ロール)とPitch(ピッチ)を安定して維持するために、
十分なボードスピードから来る遠心力と、レールのフォイル、ボリュームのバランスが大きな役割を受け持っています。
良く走るサーフボードが曲がらないなんてウソです。
ボードは走ることで曲がります。
サーフボードが曲がるのは、ロールして(傾けて)走った結果です。
そして曲がるための重要な要素はロッカーです。
これがレールサーフィンです。
サーフィンの基本はボードスピードです。
止まったサーフィンから卒業しましょう。