スコアーのしくみ(その5)

スコアーのしくみ5

ジャッジの仕事は「上手いサーフィンにより高いポイントを与える」ことです。
これは世界最高峰のWCTでも、ローカルコンテストでも変わりません。
では、その上手さとは何を基準に判断しているのでしょうか?

ルールブックの中にはジャッジが何について判断し、どのようにスコアーを決定すべきなのかを明確に書いた「ジャッジ基準」というものが存在します。

ジャッジ基準は選手とジャッジとの間で交わされた採点に関する取り決めで、ジャッジはこの基準に一番近いサーフィンをした選手に一番高い得点を与えなくてはなりません。
最近の基準はリッピングの回数やカットバックを何回したとか、ライディングの距離や時間などといった誰にでも解るようなものではなく、マニューバー自体の難易度や完成度を評価する高度なレベルのものに変わってきています。
ジャッジには、単に事務的な能力だけでなく、サーフィンをより深いレベルまで理解し、ジャッジ基準をしっかり把握した上での採点が求められています。

ジャッジ基準
これが世界中で行われるほとんどの試合でベースとなっている「WSLジャッジ基準」の最新版です。
プロもアマチュアクラスもビギナークラスでもすべて同じものが使われています。

2016 WSL Judging Criteria
Surfers must perform to the WSL judging key elements to maximize their scoring potential.
Judges analyze the following major elements when scoring a Ride:

  •  Commitment and degree of difficulty(コミットメントと難易度)
  •  Innovative and progressive manoeuvres(革新的で進歩的なマニューバー)
  •  Combination of major manoeuvres(メジャーマニューバーの組み合わせ)
  •  Variety of manoeuvres(マニューバーの多様性)
  •  Speed, power and flow(スピード、パワー、フロー)

NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day.
NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored:
0–1.9 = Poor;  2.0–3.9 = Fair;  4.0–5.9 = Average;  6.0–7.9 = Good;  8.0–10.0 = Excellent

ジャッジ基準には独特の用語が使われています。
ツアージャッジ達が実際のジャッジルームの中で使っているニュアンスをもとに、解釈のポイントを説明しますので、ぜひこの基準を自分のものにしてください。

コミットメント(積極性)
ジャッジの間では、高いリスクを払っているかどうかを見極める重要な言葉として、しばしば登場します。
波の最もきびしいセクションに果敢にアタックするマニューバーには特に高いスコアーを与えています。
また、1つのライディングの中で、いつ、そのマニューバーを行ったのかも得点に影響します。
難しいマニューバーをライディングの最初に入れる方が最後に入れるよりリスクの高いのは明らかで、ジャッジがファーストマニューバーを重視するのはこのためです。

難易度
ジャッジはマニューバーの難しさに得点を与えます。
マニューバーの回数やライディングの長さではなく、技術のレベルをスコアーで表現します。
マニューバーの量ではなく、質が重要です。

革新的で進歩的なマニューバー
今までに見たこともない新しいマニューバーや、現在のマニューバーをさらに進化させたものに挑戦してほしいという願いを込め、高い評価をしています。

メジャーマニューバーの組み合わせ
マニューバーを組み合わせること、そのつながり、連続させることの難しさを評価に加えています。

マニューバーの多様性
サーファーが同じマニューバーを何回も繰り返す単調なものではなく、ジャッジは1つのライディングの中に多種類のマニューバーを要求しています。

スピード、パワー、フロー
スピードとパワーについては、トラックの深さ、レールの寝かせ方、スプレーの大きさなどから判断できるはずです。
すべてのマニューバーの判断の基本となる部分です。
フローは、マニューバーのつながりと共に、クリティカルなセクションの使い方や、波を読んだ的確なマニューバーの組み立て方なども評価の対象としています。

NOTE:
そして最後に注意として、ジャッジ基準の中のどれを重視するかは、その試合の行われているロケーションや、その日のコンディションによって変化すると書かれています。

たとえばトラッセルズのようなポイントでは、革新的で進歩的なマニューバーやその多様性が大きく評価されています。
それに対してパイプラインなどのきびしい波では、エアリアルなどではなく、チューブの深さやテイクオフのポジションなどをコミットメント(積極性)や難易度を使って高く評価します。
また通常の試合では、波の大きさの違いをあまり評価に加えていませんが、ワイメアのような特別に大きな波での試合の場合は、波のサイズが重要な要素となります。
巨大な波にテイクオフするサーファーというのは、最大級のコミットメント(積極性)を示すこととしてジャッジは高く評価しています。