ジャッジ基準
ジャッジの仕事は「上手いサーフィンにより高いポイントを与える」ことです。
これはWCTでも、ローカルコンテストでも変わりません。
では、そのうまさとは何を基準に判断しているのでしょうか?
ルールブックの中には、ジャッジが何について判断し、どのようにスコアを決定すべきなのかを書いた「ジャッジ基準」というものが存在します。
ジャッジ基準は選手とジャッジとの間で交わされた採点に関する取り決めで、ジャッジはこの基準に一番近いサーフィンをした選手に一番高い得点を与えます。
これは選手からすると、どんなサーフィンをすれば高い得点がもらえるのかが書かれているわけですから、ジャッジ基準のようなサーフィンをすれば試合に勝てるし、認定試験にも合格できることになります。
ジャッジ基準は何年かごとに書き換えられています。
その時代のトップサーファーとその時のWSLインターナショナルヘッドジャッジとが話し合い、新しいサーフィンのマニューバを取り入れながら、どのようなサーフィンの技術が一番高く、一番上手いのかを考えて文章にしています。
WSLジャッジ基準
これが世界中で行われるほとんどの試合でベースとなっている「WSLジャッジ基準」の最新版です。
プロもアマチュアもジャッジ基準は世界共通です。
試合に勝つための答えはすべてこの中にあります。
WSL Judging Criteria
Surfers must perform to the WSL judging key elements to maximize their scoring potential.
Judges analyze the following major elements when scoring a Ride:
- Commitment and degree of difficulty(コミットメントと難易度)
- Innovative and progressive manoeuvres(革新的で進歩的なマニューバ)
- Combination of major manoeuvres(メジャーマニューバの組み合わせ)
- Variety of manoeuvres(マニューバの多様性)
- Speed, power and flow(スピード、パワー、フロー)
NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day.
NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored:
0–1.9 = Poor; 2.0–3.9 = Fair; 4.0–5.9 = Average; 6.0–7.9 = Good; 8.0–10.0 = Excellent
ジャッジ基準には独特の用語が使われています。
WSLのツアージャッジ達が実際のジャッジルームの中で使っているニュアンスをもとに、解釈のポイントを説明しますので、ぜひこの基準を自分のものにしてください。
コミットメント(積極性)
ジャッジの間では、高いリスクを払っているかどうかを見極める重要な言葉として、しばしば登場します。
波の最もきびしいセクションに果敢にアタックするマニューバには特に高いスコアを与えています。
また、1つのライディングの中で、いつ、そのマニューバを行ったのかも得点に影響します。
難しいマニューバをライディングの最初に入れる方が最後に入れるよりリスクの高いのは明らかで、ジャッジがファーストマニューバを重視するのはこのためです。
難易度
ジャッジはマニューバの難しさに得点を与えます。
マニューバーの回数やライディングの長さではなく、技術のレベルをスコアで表現します。
マニューバの量ではなく、質が重要です。
革新的で進歩的なマニューバ
今までに見たこともない新しいマニューバや、現在のマニューバをさらに進化させたものに挑戦してほしいという願いを込め、高い評価をしています。
メジャーマニューバの組み合わせ
マニューバを組み合わせること、そのつながり、連続させることの難しさを評価に加えています。
マニューバの多様性
サーファーが同じマニューバを何回も繰り返す単調なものではなく、ジャッジは1つのライディングの中に多種類のマニューバを要求しています。
スピード、パワー、フロー
スピードとパワーについては、トラックの深さ、レールの寝かせ方、スプレーの大きさなどから判断できるはずです。
この3つはすべてのマニューバの判断の基本となる部分です。
フローは、マニューバのつながりと共に、クリティカルなセクションの使い方や、波を読んだ的確なマニューバの組み立て方なども評価の対象としています。
NOTE:
そして最後に注意として、ジャッジ基準の中のどれを重視するかは、その試合の行われているロケーションや、その日のコンディションによって変化すると書かれています。
たとえばトラッセルズのようなポイントでは、革新的で進歩的なマニューバやその多様性が大きく評価されています。
それに対してパイプラインやタヒチなどのきびしい波では、エアリアルなどではなく、チューブの深さやテイクオフのポジションなどをコミットメント(積極性)や難易度を使って高く評価します。
また通常の試合では、波の大きさの違いをあまり評価に加えていませんが、ワイメアのような特別に大きな波で行われる試合の場合は、波のサイズが重要な要素となります。
巨大な波にテイクオフするサーファーというのは、最大級のコミットメント(積極性)を示すこととしてジャッジは高く評価しています。