4マンプライオリティー

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2016年バリ島クラマスで行われたJPSAショートボード第1戦で、日本のサーフィン史上初となる4マンプライオリティーが導入された。

通常の4マンヒートでは、波の奥側にいる選手がその波に乗る権利を得るというルールのため、選手は相手にプレッシャーを与えながら奥のポジションをキープしようとする。
そのため選手同士が波を取り合って接触したり、2人の選手がインサイドポジションを競い合って波の奥に入り過ぎ、2人ともその波を逃してしまったりすることが少なくなかった。

この新しく導入された4マンプライオリティーというシステムは、波に乗る優先権を選手に順番に与えるというルールがベースとなっている。
このシステムでは、波のブレイクの形や選手のポジションとは関係なく、沖のテイクオフゾーンに到達した順番によって優先権が与えられ、権利を持った選手は好きな波に自分の思っている最適なポジションからテイクオフし演技することができる。

このことは試合から事実上、波の取り合いが無くなることを意味する。
プライオリティーシステムでは、沖に波が入ってくる以前から優先権が確定していて、その権利の順番がカラーパネルによってハッキリと表示されている。
実際に今回のコンテストでは選手同士の余計なハッスリングはほとんど無くなり、試合はかなり紳士的なものとなった。
波の取り合いもゲームとして面白いという意見の方もいるのかも知れないが、フィギュアスケートや体操競技などと同じようにサーフィンも純粋に演技だけを評価する時代が来ているのではないだろうか。

また、見ている人たちにとって、このシステムはわかりやすくとてもすっきりしたものに映るはずだ。
インターフェアなどの状況が起こったとき、その時点での優先権を判断するのは専門家でも難しい。
スコアーポテンシャルがレフトにあるからこちらの選手に優先権があるだとか、この時はマルチピークシチュエーションだから先に立ち上がった選手に優先権がある、などといった複雑なルールの説明を一般の人が聞いてもなかなか理解するのは難しいと思われる。

オリンピックに向けて、一般の人にわかりやすいというのはこれから非常に重要な要素になってくるだろう。

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4マンプライオリティールール
ルールについてはルールブックに書かれていることがすべてなので、ここで誤解が起こることのないように下手な解釈や解説をすることは避けたい。
しかしながら、プライオリティーがどのように決められているかというルールを選手自身が理解しないで、カラーパネルの指示通りに波に乗れば良いなどと考えているのだとしたらその選手はとうてい勝ち上がることはできないだろう。

プライオリティーが確定し、パネルが完全に入れ替わった状態で1本の波が入って来るような落ち着いた状況であれば何も問題は無い。
選手はカラーパネルで示された順番に従って波に乗ればよい。
しかし、実際の海では波は必ず何本かまとめて入ってくる。
誰かがパドルしたり波に乗ったりすればプライオリティーは目まぐるしく入れ替わる。
つまりセット2本目の波の優先権はすでにそのカラーの順番にはなっていないということだ。
ここで入れ替わるのはファーストプライオリティーだけではない。
セカンドプライオリティーやサードプライオリティー、あるいは4番目のプライオリティーまで含め、選手がパドルするだけで、いろいろな場所で入れ変わりが起こってくる。
カラーパネルにはタイムラグがあり、アナウンスも状況によっては追いつかないこともあるだろう。
加えてオンショアーが強ければ聞き取ることも難しい。

自分が何番目のプライオリティーを持っていて、あの波に2人の選手がパドルしたのだから、この次の波に対して自分が何番目のプライオリティーになっているのかなどは自分自身でしっかりと把握できている必要があるだろう。
パネルが変わるのを待っていたのでは波は行ってしまう。
優先権を持っているのに乗らなければ、他のサーファーが乗ってしまうだろう。
権利を持っていないのに波に乗って、他の選手の邪魔をすればインターフェアを取られてしまう。
しかもプライオリティーインターフェアのペナルティーはハーフカットではなく、ワンウエイブイブカットなのでまず勝ち目は無くなる。

4マンプライオリティールールの中には専門的な用語や複雑でわかりにくい部分も含まれているが、良い波を手に入れるためには、選手にとってこれから最も重要なルールになってくることはまず間違いない。

4マンプライオリティーはWSLのQS下位グレードの試合でもすでに導入が始まり、世界的にはサーフコンテストの標準的なシステムになりつつある。
JPSAでも今後、採用される試合数がどんどん増えていくと思われる。
おそらくアマチュアの試合も例外とはならないだろう。

選手はルールブックをしっかり読んで理解し、今後の試合にぜひ役立てて欲しい。

 

追記

今回のクラマスの試合で、残念なインターフェアが1つあった。
ヒート終了間際で負けている選手が明らかにわざと優先権を持つ選手に対してドロップインしたことだ。
マンオンマンヒートでは稀に見られる行為だが、これは自分が負けることと相手が勝つということが同じだからだ。
マンオンマンだったら良いというわけではないが、選手の気持ちを考えるとまだ理解できないわけではない。
これに対し、4マンヒートでは、選手はこれを絶対にすべきでないと考える。
4マンヒートでは、自分が負けるということと相手が勝つということは同義ではない。
ドロップされた選手にとって、その波をメイクできるかできないかは非常に大きな違いがある。
その波をメイクできればまだ勝ち上がるチャンスが残されているからだ。
すでに勝ち上がるチャンスのなくなったプライオリティーシチュエーションで、自分がインターフェアで負けるのならまだしも、他の選手が逆転できる可能性も一緒に奪ってしまうのは最低の行為だと考える。
マナー的にも安全面からも絶対にやめてもらいたい。