波の優先権 「先に立った方が優先じゃないの?」
試合中、選手たちはギリギリの状況で戦っています。
そのため、相手選手と接触したり、同じ波に乗ってしまったりと、お互いの演技を妨害する状況が発生することがあります。
こうした場合、ジャッジはどちらが悪かったのかを判断しなければなりません。
今回は、コンテストにおける波の優先権(所有権)の判断方法について説明します。
ファーストスタンディングルールの時代
日本のアマチュア試合では、長い間「ファーストスタンディングルール」が主流でした。
このルールでは、先に立ったサーファーがその波の絶対的な優先権を得ることができます。
たとえ波のショルダー(肩側)にいたとしても、先に立ち上がればその波の権利を得ることができたため、長いボードを使用するサーファーや、体重が軽くテイクオフの早いサーファーにとって非常に有利なルールでした。
このルールはジャッジにとっても非常に判断しやすく、どちらが先に立ったかさえ見極めれば、経験の少ないジャッジでも簡単に判定することができました。
昔、スコアをマニューバーの回数やライディングの長さで採点していた時代の考え方に近いものです。
ルールの変化と進化
しかし、サーフィンの進化とともにマニューバーの基準も変わり、パワーや過激さ、波のクリティカルセクション(最も掘れている部分)での演技が重視されるようになると、この優先権の判断では実態にそぐわなくなりました。
カール(波の最も掘れた部分)に近い厳しいセクションから立ち上がる選手よりも、長いボードでゆるやかなショルダーから先に立った選手に優先権を与えてしまっては、パワフルで難易度の高いサーフィンの未来は育たなくなってしまいます。
現在のルールでは、立ち上がった時間に関係なく、波のカールに最も近いサーファーに優先権が与えられます。
ここで重要なのは、優先権を決定するのはあくまでもサーファーの波に対するポジションであり、「どちらが先に立ち上がったか」ではないという点です。
ファーストスタンディングルールは過去のものとなり、基本的には インサイドポジション(波の奥側) を取ったサーファーにその波の所有権が与えられます。
でも、これはあくまで試合のルール
ただし、これはあくまでもコンテストの中でのルールです。
いくら自分の波だからといって、フリーサーフィンでこれをやっていたら、間違いなく周囲から嫌われてしまいます。
海の中には、子ども、女性、先輩、後輩、レジェンドといったさまざまな立場の人たちが、それぞれ違った種類のボードでサーフィンを楽しんでいます。
ボディーボーダーやSUP(スタンドアップパドルボード)のサーファーもいます。
基本的には、自分よりも弱い立場のサーファーを守ってあげる姿勢を持っているサーファーの方が、ガツガツしているサーファーよりもカッコよく、周囲からも好かれます。
やはり、他のサーファーをリスペクトし、楽しく、仲良くサーフィンをする気持ちが大切ですね!
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