OGM社のシェープデザインシステム「Super Foil H2 (1996)」
OGM社では、1996年から現在のようなカスタムシェープマシンを稼働させていました。
このマシンは、友人が設計し、町工場に発注して製作。
組み立ては私自身が行いました。
当時、コンピュータのOSは発売間もないWindows 95。サーフボードの設計プログラムは自作し、MS-DOS上で動くBASICで開発しました。
また、マシンを制御するデジタルコントローラはGコードで動作するため、そのプログラムもゼロから作り上げたものです。
Super Foilは、従来の量産型シェープマシンとは一線を画すシステムです。
当時は、現在のように高機能なサーフボード設計ソフトがなく、世界で主流だったシェープマシンは、いわば「コピー機」のようなものでした。
まず、シェーパーが手作業で削ったボードをスキャンし、コンピュータに数値データとして取り込みます。
そのデータをもとに機械がボードを再現しますが、取得されたデータは単なる数値の集合にすぎず、基本的に拡大・縮小程度の調整しかできませんでした。
異なるタイプのボードを作るには、新たに手作業でシェープし、再度スキャンし直す必要があったのです。
この方法は、大量生産されるストックボードには適しているかもしれませんが、カスタムオーダーや「マジックボード」を生み出すには限界があります。
ハンドシェープにはない「再現性」は備えているものの、デザインの発展性(進化の可能性)がないため、シェーパーの創造力を活かしきることはできませんでした。
Super Foilがもたらす革新
これに対し、OGM社が開発したシェープデザインシステム「Super Foil」は、ボードのデザインを100%コンピュータ上で行う、まったく新しいアプローチを実現しました。
このシステムでは、アウトライン、ロッカー、ボリューム配分はもちろん、レールフォイル、デッキのラウンド係数、ボトムのコンケーブ形状や深さなど、シェープに関するあらゆる要素を設計可能です。
ボードデザインのプロセスはハンドシェープと基本的に同じであるため、サーフボードに関する知識やセンスは今までどおり必要ですが、プレーナーやノコギリといった職人的な作業や手作業による誤差から完全に解放されます。
これにより、シェーパーのデザイナーとしての能力やエンジニア的な思考が、より一層求められる時代になりました。
「Super Foil」は、量産型シェープマシンとは異なり、むしろハンドシェープに近い自由度を持つ、まさにカスタムシェープマシンといえます。

このシステムにより、従来のマシンシェープやハンドシェープでは不可能だった細かな調整が可能になりました。
- たとえば、全ての仕様を同じにしながらロッカーだけを変えたサーフボードや、レールフォイルだけを変更した2本のボードを作ることができます。
- 現在のボードが気に入っているものの、「もう少しだけ速くセクションを抜けたい」という場合、他の部分はそのままに、コンケーブを深くする、テールロッカーをわずかに弱める、といった調整が可能です。
- さらに、現在のボードデザインを維持したまま、+2インチの長さでより大波向けにセッティングする、ロッカーの異なる2本を作り、ビーチブレイクとリーフブレイクで使い分ける、といった設計も自在に行えます。
- 過去に製作したボードのデータも全て保存されているため、再現や微調整も容易です。
Super Foilが切り開く未来
OGM社では、この「発展性」と「再現性」を兼ね備えたSuper Foilシステムを活用することで、特にプロサーファーやプロを目指す上級者に対し、より強力なサポートができると確信しています。
たとえば、他のすべてがまったく同じでロッカーだけが違うサーフボードや、レールのフォイルだけを変化させた2本のボードを作ることができるのです。
今のボードは最高に気に入っているのだけど、あと少しだけセクションをぬけるスピードが欲しいと思った場合、他の部分をまったく変えずにコンケーブだけを深くするとか、テールロッカーだけを少し弱くするといった変更が可能なのです。
この他にも、今持っているサーフボードのイメージのまま、あと2インチだけ長くし、同じテイストのまま少し大波用のセッティングにするとか、あるいはロッカーだけ違う2本のボードで、ビーチブレイクとリーフブレイクを使い分けるなどといったことが可能になります。
もちろん、過去に作られたボードデータはすべてファイルの中に存在するため、いつでも再現することも、加工することも可能です。