ジャッジの視点から見た、スコアアップのための簡単なアドバイスをご紹介します。
今回は、ライディングの要素であるマニューバーがジャッジによってどのように評価されるのか、テイクオフから順に順を追って説明します。
ジャッジが注目しているポイントを知ることで、選手の方々はどのような動きをすれば高得点を獲得できるかを理解することができるでしょう。
ただし、この情報はコンテストで勝つためではなく、自身のサーフィンスキルを向上させるためのものです。
上手なサーファーになれば、結果は自ずとついてくるでしょう。
もちろん、現役ジャッジの方々も十分に勉強をしてくださいね。
テイクオフ
ライディングの最初の重要な要素はテイクオフです。
上級レベルのクラスでは差があまり見られませんが、ビギナーズクラスやレディースクラスでは、高得点を獲得するためのポイントがいくつか存在します。
テイクオフのポジションや波の状況などから判断し、最初のマニューバーへの移行が遅れたり、バランスを崩したり、波のショルダーから離れすぎた位置でのテイクオフは低評価となります。
上級者には、スムーズなマニューバーへの移行、バランスを保ったままのコントロールされたレイトテイクオフ、カバーアップテイクオフ(テイクオフ時からチューブへの進入)などが高く評価されます。
ボトムターン
テイクオフの次に来るのがボトムターンです。
ボトムターンは、すべてのマニューバーの基本です。
ターンの大きさやポジション、波のトップへ向かう角度などを基準に、スピードやパワー、コントロールが評価の基準となります。
スプレーの大きさやレールの入り具合、トラックの深さなどによって、ジャッジはパワーを視覚的に判断しています。
リエントリー
ブレイクした白波やリップにボードを当て、再び波のフェイスに戻るトップターンのことです。
一般的にはオフザリップやオフザトップと呼ばれるマニューバーで、ジャッジの世界では、統一的にこの動作をリエントリーと呼んでいます。
ボトムターンの深さ、波の頂点への角度、リップでのポジション、ボードの出方、そして再びボトムへ向かうスピードなど、一連の動作全体でのパワーとコントロールが評価されます。
選手の技術レベルによって難易度に大きな違いがあるため、得点に大きな差が生じるマニューバーとなります。
カットバック
ボードのノーズを逆方向に向ける動作のことで、ボトムターンと同様にほとんどのマニューバーの基本となっています。
スピードを減らさずにパワーとコントロールを保ちながら、もう一度カールに戻ることが重要な要素となります。
このマニューバーは、波のカール付近で素早く行うスナップのようなものから、波のショルダーから離れた部分でレールを長く安定して使うラウンドハウスカットバックなど、さまざまなバリエーションが存在します。
リコシェ
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、リコシェとはカットバックの最後に、これまで進んできた方向のリップやスープにボードを当てて、再び波のショルダー方向へ向かうマニューバーを指します。
このマニューバーでは、ボードを波のどの位置に当てているのかや、全体の流れがスムーズに行われているかなどが評価の対象となります。
リコシェ自体は単独で行われることはあまりありませんが、直前に行われたカットバックの後半でのスピードの大きさを評価する上で重要なマニューバーとなります。
チューブライド
波がブレイクする際に形成される空間に体を隠すことで、過去から現在まで最も難易度が高く重要なマニューバーの一つです。
チューブライディングは、他のマニューバーとは異なり、ボードの動きではなく、波とのタイミングやポジション、レールワークなどを基に評価されます。
採点の基準としては、チューブの深さや滞在時間、チューブ内でのマニューバー実施の有無、チューブへの入り方や出方などのクオリティーが重要です。
エアリアル
革新的で進歩的なマニューバーの代表的存在であるエアリアルについて述べましょう。
エアリアルは多様なバリエーションを持ち、現在でも新たな種類のエアリアルが生み出され続けています。
このマニューバーの評価において重要な要素はいくつかあります。
まず、飛び出す位置がどこであるかが判断されます。
それはリップから飛び出したものなのか、波のバンプ(チョップ)からのものなのかによって異なります。
チョップからのエアリアルは「チョップホップ」と呼ばれ、スコアが非常に低くなり、本来のエアリアルとは明確に区別されます。
また、ランディングも極めて重要な要素です。
次のターンに繋がるスピードを保っているか、波の後方に取り残されたりプローンアウトしてしまったりすることなど、これらはエアリアルのメイン部分である空中にいる時間ではないものの、完成度の観点でスコアに大きく影響します。
最後に、最も重要な要素である空中部分の評価です。
高さやローテーション(回転)の度合い、空中姿勢、グラブの有無など、評価される要素は多岐にわたり、複雑です。
- 波の何処で行われたのか
- 高さ、ローテーションの有無
- コントロール(空中での姿勢、グラブの有無など)
- ランディングの完成度
フローター
かつて「フローター」と言えば、白波の上を長く滑るだけのフォームフローターを指し、それほど高いスコアは得られませんでした。
しかし、現代のサーファーは進化し、チューブに入れるようなホレた波のロールの上でもフローターを行っています。
特にクローズドアウトセクションのロール上でのフローターは高い難易度を持ち、現在では高い評価を受けるマニューバーとなっています。
波の大きさ
波の大きさが必ずしも良い波を意味するわけではありません。
現在のジャッジ基準では、波の大きさは考慮されません。
ジャッジはあくまでもマニューバーのクオリティーや難易度を評価しています。
ただし、ワイメアのような特別に大きな波で行われる競技では、波のサイズが重要な要素となります。
巨大な波にテイクオフするサーファーは、最大級のコミットメント(積極性)を示すこととして、ジャッジは高く評価しています。