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マジックボードとは?

サーファーが長くサーフィンを続けていると、時々そんな一本に出会うことがあります。

テイクオフが異常に速い。
無理をしている感覚がないのにスピードが伸びる。
ターンで失速しない。
波との一体感があり、まるでボードが自分の体の一部になったように感じる。

そんな特別な一本を、サーファーたちは昔から「マジックボード」と呼んできました。

もちろん、本当に魔法がかかっているわけではありません。

同じボードを他のサーファーが乗ったら、普通に感じることもあります。

逆に、ある人が手放したボードが、別の人にとって最高の一本になることもあります。

では、マジックボードの正体は何なのでしょうか。

私は、その正体は「相性」だと考えています。

サーフボードには、それぞれ設計者が意図した性能があります。

速く走るためのデザイン。
大きなターンを描くためのデザイン。
小波でスピードを出しやすいデザイン。
ホレた波で性能を発揮するデザイン。

しかし、その性能はボード単体で存在するものではありません。

実際にその性能を引き出すのはサーファーです。

どこに立つのか。
どのタイミングで荷重するのか。
どれくらい体を使うのか。

同じボードでも、乗る人によってまったく違う動きをします。

だからこそ、本当に調子の良いボードとは、単に評価の高いボードではありません。

自分の感覚や体格、筋力、リズム、そして目指すサーフィンと一致したボードです。

ボードの設計とサーファーの操作が噛み合ったとき、必要以上に力を使わなくても自然に加速し、自然に曲がるようになります。

その状態になると、サーファーはボードを操作しているという感覚よりも、波と対話しているような感覚になります。

これが、多くのサーファーが「マジックボード」と呼ぶ感覚の正体なのだと思います。

そしてもうひとつ大切なことがあります。

マジックボードは、必ずしも最新のボードとは限りません。

高性能なボードとも限りません。

世界チャンピオンが乗るボードとも限りません。

むしろ、自分の現在のレベルに合い、自分の技術を自然に引き出してくれるボードこそがマジックボードになることが多いのです。

サーフィンはボードをコントロールするスポーツです。

だから、自分の入力に対して素直に反応してくれるボードほど上達しやすくなります。

逆に、自分には難しすぎるボードでは、本来覚えるべき技術よりも、ボードを抑え込むことに意識を使ってしまいます。

マジックボードとは、今の自分を楽にしてくれるだけのボードではありません。

今の自分の技術を最大限に引き出し、その先のレベルへ導いてくれるボードです。

私は長年シェイパーとして、多くのサーファーのボードを削ってきました。

そして、お客様から

「今度のボード、調子が良い!」

と言われる瞬間が何より嬉しく感じます。

その一本のおかげで、もっと波に乗れるようになった。
もっとスピードが出せるようになった。
もっとターンが楽しくなった。

そんな変化が生まれたとしたら、そのボードは単に調子が良いだけではありません。

サーファーの成長を支えてくれる一本になっているのです。

もしかすると、その一本が、その人にとってのマジックボードになるのかもしれません。

 

 

 

快適なボードを手に入れるために

サーファーなら誰でも、もっと楽に波に乗りたいと思います。

もっと早くテイクオフしたい。
もっとスピードが欲しい。
もっと思い通りに曲がりたい。

そのために多くの人は、浮力や長さ、幅やリッター数を気にします。

もちろんそれらも大切です。

ですが、本当に快適なサーフボードとは、単純に大きいとか小さいとか、浮力が多いとか少ないとか、そんな単純な話ではありません。

なぜならサーフボードは、自動車やバイクのようにエンジンを持っていないからです。

アクセルを踏めば加速するわけではありません。

サーフボードは、波のエネルギーを利用して走る乗り物です。

そのため、ボード自体が効率よく揚力を生み、抵抗を減らし、波のパワーをスピードへ変換できる設計になっていることが重要です。

しかし、それだけでは十分ではありません。

どれほど優れた設計のボードであっても、乗る人との相性が悪ければ、その性能を引き出すことはできません。

サーフィンでは、波の変化に合わせて体重移動を行いながら、スピードをコントロールしています。

どの位置に立つのか。
どのタイミングで荷重するのか。
どのくらいボードを傾けるのか。

そのすべてが無意識に行われています。

だからこそ、自分の体重や体格、筋力、反応速度、そして目指すサーフィンに合ったコントロール性を持つボードであることが非常に大切なのです。

ボードが自分の感覚と一致すると、余計な力を使わなくても自然に加速し、自然にターンできるようになります。

頑張って乗るのではなく、ボードが自分の動きについてくる。

そんな感覚が生まれます。

そして実は、ここで大切なのは「上手いか下手か」ということではありません。

快適なボードに乗れているかどうかは、現在の技術レベルの話ではなく、そこから先に上達できるかどうかの話なのです。

どんなに経験豊富なサーファーでも、自分に合っていないボードに乗れば、本来できるはずの動きができなくなります。

逆に、まだ経験の浅いサーファーでも、自分に合ったボードに乗れば、正しい動きを覚えやすくなり、上達のスピードは大きく変わります。

サーフィンは、ボードをコントロールする技術を身につけていくスポーツです。

そのためには、自分が入力した動きに対して、ボードが素直に反応してくれることが重要です。

無理をしなければ曲がらないボードや、必要以上に不安定なボードでは、サーファーはボードを操ることよりも、ボードに振り回されることに意識を使ってしまいます。

快適なボードとは、今の自分を楽にしてくれるだけの道具ではありません。

今の自分の技術を正しく引き出し、その先のレベルへ導いてくれる道具でもあるのです。

そして長くサーフィンを続けていると、時々そんな一本に出会うことがあります。

テイクオフが驚くほど速い。
無理をしている感覚がないのにスピードが伸びる。
ターンで失速しない。
まるでボードが自分の体の一部になったように感じる。

サーファーたちは昔から、そんな特別な一本をある名前で呼んできました。

「マジックボード」

次回は、そのマジックボードの正体についてお話ししたいと思います。

 

 

 

なぜ速いボードほど難しくなるのか

なぜ速いボードほど難しくなるのか」

前回、サーフボードには

  • 浮力
  • 揚力

という二つの力が働いているという話をしました。

浮力はボードの容積によって生まれる静的な力。

それに対して揚力は、水流によって生まれる動的な力です。

そして実は、この「動的である」ということが、サーフボードを面白くも難しくもしているのです。

揚力は速度の二乗で増える

揚力には大きな特徴があります。

それは、

速度が上がるほど急激に増える

ということです。

航空力学では、揚力はおおよそ速度の二乗に比例するとされています。

つまり、

時速20kmで発生する揚力を1とすると、

時速40kmでは約4倍、

時速60kmでは約9倍になります。

サーフボードも基本的には同じです。

少しスピードが上がっただけでも、ボードが受ける揚力は大きく変化します。

波が変わればボードも変わる

ここで問題が出てきます。

サーフィンではボードの速度を一定に保つことができません。

小波と頭オーバーの波では速度がまったく違います。

同じ波でも、

  • テイクオフ直後
  • ボトムターン中
  • カットバック中

では速度が変わります。

つまり揚力も常に変化しています。

ボードは浮き上がろうとする

速度が上がると揚力が増えます。

するとボードは水の中に沈み込まなくなり、水面近くを軽く走るようになります。

これは一見良いことのように思えます。

実際、

  • 抵抗が減る
  • スピードが出る
  • 軽く感じる

というメリットがあります。

しかし同時に別の現象も起こります。

接水面積が減る

速度が上がると揚力が増えます。

サーファーの体重そのものは変わりません。

ですが、その重さを支える方法が変わります。

止まっている時は主に浮力によって支えられていますが、スピードが出ると揚力がその一部を受け持つようになります。

するとボードは水の中に深く沈む必要がなくなり、水を押しのける量も少なくなります。

その結果、水と接している面積が減っていくのです。

接水面積が減ると抵抗は減ります。

だから速くなります。

しかし接水面積は、実は「グリップ」でもあります。

タイヤで考えると分かりやすいでしょう。

路面との接地面積が減れば速く転がりますが、コントロールは難しくなります。

サーフボードも同じです。

速いボードが難しい理由

上級者向けの高性能ボードに乗ったとき、

「速いけど難しい」

と感じることがあります。

これは単にボードが小さいからではありません。

揚力が強く発生し、

接水面積が減り、

水とのつながりが薄くなるからです。

ボードは速くなりますが、

同時にシビアになります。

ほんの少し体重移動が遅れただけでラインを外し、

少し踏み込み過ぎるとレールが抜ける。

これは揚力によって生まれる宿命とも言えます。

揚力は制御が難しい

さらに厄介なのは、

浮力はほぼ一定なのに対して、

揚力は常に変化することです。

波のサイズ。

波のパワー。

サーファーの体重。

立つ位置。

ターンの角度。

ボードの傾き。

これらすべてによって揚力は変化します。

つまり揚力は、

シェイパーが完全にコントロールできる力ではありません。

できるのは、

「どんな条件で、どんな揚力が発生しやすいか」

を設計することだけです。

最終的には波とサーファーが完成させる力なのです。

ボード設計とは揚力との付き合い方

サーフボード設計の歴史は、

ある意味で揚力との戦いだったと言えるかもしれません。

もっと揚力を増やせば速くなる。

しかし増やしすぎれば不安定になる。

もっと接水面積を減らせば軽くなる。

しかし減らしすぎればコントロールできなくなる。

シェイパーはそのバランスを探し続けています。

なぜ年齢とともにボードが変わるのか

若い頃は、

多少シビアでも揚力の強いボードが魅力的に感じます。

速く、

軽く、

反応が鋭いからです。

しかし年齢を重ねると、

少し接水感があり、

少し安定し、

少し余裕のあるボードが心地よくなってきます。

それは技術が落ちたからではありません。

揚力だけではなく、

浮力や安定性とのバランスを楽しめるようになるからです。

本当に良いボードとは何か

サーフボードの性能は、単純に揚力が大きければ良いわけではありません。

揚力は速度の二乗で増加し、波やサーファーの動きによって常に変化します。

そして揚力が増えるほど接水面積は減り、スピードは増しますが、そのぶんコントロールはシビアになります。

だから本当に優れたサーフボードとは、単純に速いボードではなく、

必要な揚力を発生させながら、必要な接水感も残しているボード

なのだと思います。

速さだけでもない。

安定性だけでもない。

その両方を、乗り手や波の条件に合わせて高い次元で両立させること。

それが優れたサーフボードの条件です。

シェイパーの仕事とは、単に浮力を配置することではありません。

波の中で刻々と変化する揚力と接水感、そのバランスをどう作るかをデザインすることなのです。

だからサーフボード選びは、単純なリッター数やサイズ選びでは終わりません。

どんなボードにも得意な領域があり、万能なボードは存在しません。

どんな揚力を求め、どんな接水感を求めるのか。

そのバランスを探していくことが、自分に合った一本に出会う近道なのだと思います。

OGM Surfboards

 

 

浮力と揚力

なぜ小さなボードでも波に乗れるのか?

サーフボードの話になると、よく出てくるのが「浮力」という言葉です。

「このボードはリッター数が大きいから浮力がある」
「もっと浮力のあるボードにした方がいい」

確かに間違いではありません。

ですが実際には、サーフボードを支えている力は浮力だけではありません。

サーフボードには、もう一つ重要な力があります。

それが「揚力」です。

浮力とは何か?

浮力は、水の中に沈んだ物体を押し上げる力です。

サーフボードの容積(リッター数)が大きいほど、より大きな浮力を得ることができます。

そのため浮力が大きいボードは、

  • パドリングが楽
  • テイクオフしやすい
  • 水に沈みにくい

という特徴があります。

初心者向けボードやロングボードが乗りやすいのは、この浮力が大きいからです。

しかし、ここで一つ疑問が生まれます。

なぜ小さなショートボードでも浮くのか?

例えば体重70kgのサーファーが乗るショートボード。

ボードの容量は30L前後しかありません。

単純に考えれば、70kgの人間を支えるには全く足りないように思えます。

それでもサーファーは問題なく波に乗り、スピードを出し、ターンをしています。

なぜでしょうか。

それはサーフボードが走り始めると、「浮力」だけでなく「揚力」が発生するからです。

揚力とは何か?

揚力とは、水や空気の流れによって生まれる力です。

飛行機の翼が空を飛べるのも揚力のおかげです。

実はサーフボードも同じです。

ボードが前進すると、ボトム(ボード裏面)に水流が発生します。

この水流によってボードには上向きの力が生まれます。

これが揚力です。

つまり、

  • 止まっている時は浮力で浮き、
  • 走り始めると揚力でも支えられる

ようになります。

サーフボードは「船」より「飛行機」に近い

多くの人はサーフボードを船のようなものだと思っています。

しかし実際には、スピードが出ている時のサーフボードは飛行機の翼に近い働きをしています。

特に現代のショートボードは、

  • ボトム形状
  • ロッカー
  • コンケーブ
  • レール形状

などを利用して効率的に揚力を発生させています。

だから見た目以上に小さいボードでも走ることができるのです。

浮力だけではボードは選べない

最近はボード選びでリッター数ばかりが注目される傾向があります。

もちろん浮力は重要です。

ですがサーフボードの性能は浮力だけでは決まりません。

例えば同じ35Lでも、

  • 速く揚力が発生するボード
  • なかなか揚力が発生しないボード

があります。

また同じリッター数でも、

  • テイクオフが異常に速いボード
  • 動きは軽いが走り出しが遅いボード

があります。

これは単純な容積ではなく、水の流れをどう作るかという設計の違いです。

シェイパーが見ているもの

シェイパーがボードを設計するとき、単純にリッター数だけを見ているわけではありません。

どの位置に浮力を配置するのか。

どこで水を受けるのか。

どのスピード域で揚力を発生させるのか。

ターン中にどのように揚力をコントロールするのか。

そうした要素を総合的に考えながらボードを作っています。

同じ30Lでも全く別物のボードになるのは、そのためです。

リッター数だけでは見えないもの

サーフボードには大きく分けて二つの力があります。

浮いている時に働く「浮力」。

走り始めてから働く「揚力」。

初心者のうちは浮力の恩恵が大きく、上達するにつれて揚力を活かしたボードが面白くなってきます。

そして本当に調子の良いボードというのは、単に浮力が大きいボードではありません。

必要な浮力を持ちながら、早い段階で効率よく揚力を発生させられるボードです。

リッター数だけでは説明できない「乗り味」の違いは、実はこの浮力と揚力のバランスの中にあります。

サーフボードの設計とは、浮力と揚力をどう組み合わせ、どうコントロールするかを考えることでもあります。

数字では表せない乗り味の差が生まれる理由は、そこにあるのかもしれません。

OGM “ogama” 小川昌男

 

 

 

 

サーフィンって、結局カーブなんだよ

「サーフィンって、結局カーブなんだよ。」

これは、1987年公開のサーフィン映画
All Down the Line』の中で、若き日の Tom Carroll が、まだ子供だった Danny Wills に語った言葉です。

この映画で強く印象に残るのは、Gランドでのトム・キャロルのライン取りとレールワーク。
深いボトムターンの弧。
波のフェイスに沿って伸びていくライン。
レールを使った円運動。
そして、スピードを殺さないカービング。

サーフィンは、ただ速く走ることでも、派手な技をすることでもなく、
波のカーブと、自分の描くカーブを美しくつなげていくものなのだと、この映画は教えてくれました。

直線ではなく、カーブ。

自分は、こんなサーフィンをしたい。
そして、こんなサーフィンができるサーフボードを作りたい。

波の力を無理に押さえ込むのではなく、
波の曲線に自然に寄り添いながら、スピードとターンが途切れずにつながっていく。
そんなサーフィンに、ずっと惹かれてきました。

今、自分がサーフボードを削る時も、頭の中にあるのはやはりこの感覚です。

速さだけでもない。
動きの軽さだけでもない。

レールが波のフェイスに自然に入り、
無理なく美しいカーブを描き続けられること。

ターンをきっかけに減速するのではなく、
ターンそのものがスピードになっていく感覚。
波とぶつかるのではなく、波と調和しながら走っていく感覚。

そういうサーフィンを可能にするために、
アウトライン、ロッカー、レール、ボトム――
サーフボードのすべては存在しているのだと思っています。

今振り返ると、
自分が長い間追い続けてきたサーフィンの感覚も、
自分が削り続けたいと思っているサーフボードの方向性も、
あの映画を見た時、すでに心のどこかで決まっていたのかもしれません。

OGM “ogama” 小川昌男

 

 

魔法のボード

サーファーが忘れられない一本

「このボード、なんだか違う。」

サーフィンを長く続けていると、そんな感覚に出会うことがあります。

テイクオフが異常に速い。
無理をしている感じがないのに、自然にスピードが伸びる。
ターンで失速せず、波とボードが勝手につながっていく。
そして何より、サーフィンそのものがいつもより楽しく感じる。

そんな一本を、サーファーは昔から「マジックボード」と呼んできました。

もちろん、サーフボードに本当の魔法がかかっているわけではありません。
ですが、乗った瞬間に「これだ」と感じるボードが存在するのは事実です。

では、その違いはどこから生まれるのでしょうか。

サーフボードの性能は、
アウトライン、ロッカー、ボリューム、レール、ボトム形状――
さまざまな要素の組み合わせで決まります。

ですが、本当に大切なのは、
そのボードが「誰に乗られるのか」です。

同じボードでも、ある人には最高でも、別の人にはまったく合わないことがあります。

なぜならサーフィンは、
ただボードに乗れば進むものではないからです。

波のどこを走るのか。
どのタイミングで体重を移動するのか。
どんなテンポでターンするのか。

サーファーそれぞれに、無意識のクセやリズムがあります。

そして本当に調子の良いボードは、
その人の感覚や動きと自然につながります。

頑張って動かすのではなく、
「乗っているだけで合ってくる」。

それが、魔法のように感じる理由なのかもしれません。

面白いのは、
マジックボードは必ずしも「最新」でも「高性能」でもないことです。

見た目は普通。
サイズも特別ではない。
なのに、なぜか手放せない。

そんなボードを持っているサーファーは、意外と多いものです。

そして、その一本との出会いが、
サーフィンそのものを変えてしまうことがあります。

波に乗る回数が増える。
難しかった波が楽しくなる。
もっと海に行きたくなる。

サーフボードは、ただの道具かもしれません。

ですが時に、サーフィン人生そのものを変えてしまう一本があります。

まだそんな一本に出会えていない方も、
焦る必要はありません。

本当に自分に合ったボードに出会えた時、
サーフィンの景色は大きく変わります。

だからこそ私は、
一本一本のボードを削るたびに思います。

「このボードが、誰かにとっての魔法の一本になるかもしれない」と。

OGM “ogama” 小川昌男

 

 

 

マジックボードに出会うために

「自分に合うサーフボードが欲しい」
そう思ったとき、多くの人はまず、
長さ、幅、厚み、リッター数を気にします。

もちろん、それらは大切です。
ですが、本当に最初に考えるべきなのは、別のことかもしれません。

それは――
「自分は、どんなサーフィンがしたいのか?」
ということです。

速く走りたいのか。
大きなラインで気持ちよくターンしたいのか。
小波でもたくさん波に乗りたいのか。
それとも、もっと深いボトムターンをしたいのか。

あるいは、
今よりもっとラクに波を取りたいのか。
年齢を重ねても長く楽しめる1本が欲しいのか。

実は、
「自分にピッタリなボード」は、
体重やレベルだけでは決まりません。

その人がどんなサーフィンをしたいのか。
どんな波で、どんな気持ちで波に乗りたいのか。

そこによって、選ぶべきボードは大きく変わります。

例えば、同じ中級者でも、

軽快に動かしたい人と、
スピードをつなぎながら大きく乗りたい人では、
合うアウトラインも、ロッカーも、レールも変わってきます。

だからボード選びは、
単なる「サイズ選び」ではありません。

自分のサーフィンを、どう育てていきたいのか。
その方向を決める作業でもあります。

そして、もうひとつ大事なのは、
「今の自分」と「これから目指したい自分」を分けて考えることです。

今ラクに乗れるだけのボードを選ぶのか。
少し先の成長を見据えて選ぶのか。

その違いで、
未来のサーフィンは大きく変わります。

サーフボードは、
ただ波に乗るための道具ではありません。

その人の感覚やスタイルを作っていく、
とても大切な存在です。

そして、本当に自分に合った1本に出会えた時、
そのボードは、いわゆる「マジックボード」になります。

特別に高価なボードでも、
有名サーファーと同じモデルでもなく、
「なぜか自然に波に乗れて、ターンが決まり、サーフィンが楽しくなる」
そんな感覚を与えてくれる1本。

それは偶然ではなく、
自分のサーフィンや感覚に、本当にフィットしているからこそ生まれるものだと思います。

逆に言えば、
まだ「マジックボード」に出会えていないと感じているなら、
もしかすると、ボードの選び方そのものを少し見直してみるタイミングなのかもしれません。

数字や流行、誰かの評価だけで選ぶのではなく、
「自分はどんなサーフィンがしたいのか?」を基準に考えてみる。

そこから、本当に自分に合う1本への道が始まることもあります。

だからこそ、
数字だけではなく、
「どんなサーフィンがしたいのか」を考えることが、
本当に自分に合う1本に出会うためのスタートになるのだと思います。

もし今、

「何を選べばいいのか分からない」
「今のボードが自分に合っているのか迷っている」

そんな時は、
あなたの周りにいる、
本当にサーフィンとサーフボードを理解している人の話を聞いてみることも、とても大切だと思います。

数字や流行だけでは見えてこないものがあります。

波の乗り方。
ターンの質。
体の使い方。
そして、その人が目指しているサーフィン。

そういう部分まで理解した上で選ばれたボードは、
ただ乗りやすいだけではなく、
サーフィンそのものを変えていきます。

自分に合う1本とは、
スペック表の中にあるのではなく、
「どんなサーフィンをしたいのか」の中にあるのかもしれません。

OGM Surfboards

 

 

 

同じボードでも、ここまで変わる

フィンがサーフィンを決める

ここまで、
リッター、レベル、波――
ボード選びについて書いてきました。

ですが実は、
そのボードの性能を「最後に決めているもの」があります。

それが、フィンです。

フィンは「ただの付属品」ではない

多くの人が、フィンをこう考えています。
「とりあえず付いていればいいもの」
「ボードを買った時のまま」

ですが実際には――
フィンは、サーフボードの性能そのものを変えます。

同じボードでも、フィンを変えるだけで、
・スピードの出方
・ターンの伸び
・コントロールのしやすさ
・波への食いつき

すべてが変わります。

なぜそこまで変わるのか

理由はシンプルです。
フィンは、水の流れをコントロールするパーツだからです。

ボードのアウトラインやロッカーが「ベース」だとすれば、
フィンはそれをどう動かすかを決めるです。

例えば、
・ベースが広いフィン ドライブが強くなる
・立ち気味のフィン 回転性が上がる
・フレックスがあるフィン ターンに伸びが出る

こうした違いが、
そのままサーフィンの感覚として現れます。

「ボードが合わない」と感じたとき

ここで一つ、よくあるケースがあります。

「このボード、なんかしっくりこない」
「思ったより動かない」
「スピードが出すぎて怖い」

こう感じたとき、
多くの人は「ボードが合っていない」と考えます。

ですが実際には、
フィンが合っていないだけ
というケースが非常に多いです。

フィンを変えるだけで、
・扱いづらかったボードがコントロールできるようになる
・動かなかったボードがスムーズに反応するようになる

そんなことは珍しくありません。

ボードとフィンは「セットで考えるもの」

サーフボードは完成品ではありません。
フィンが付いて初めて、ひとつの性能になります。

つまり、
ボード選びとフィン選びは、切り離せないものです。

どんな波で使うのか。
どんなサーフィンをしたいのか。
そのボードがどんな特性を持っているのか。

それによって、
合うフィンは必ず変わります。

最後に

もし今、
「このボード、合っていないかもしれない」
そう感じているのであれば、

ボードを変える前に、
一度フィンを見直してみてください。

その1本は、
まだ本当の性能を出し切っていないかもしれません。

サーフボード選びとは、
ボード単体の話ではありません。

リッター、レベル、波、そしてフィン。
それらすべてが合わさって、
初めて「自分に合った1本」になります。

もし、
「自分に本当に合う組み合わせを知りたい」
そう感じているのであれば、

実際のボードとフィンを見ながら、
一緒に考えることもできます。

「なぜそのセッティングになるのか」まで含めて理解できると、
サーフィンは確実に変わります。

あなたのボードを、本来の性能で乗れていますか?

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波によってボードはどう変えるべきか

「このボード、どんな波でもいけますか?」

とても多い質問です。
そして結論から言うと――

どんな波でも「乗れるボード」はあります。
ですが、どんな波でも「良いサーフィンができるボード」は存在しません。

この違いを分けて考えることが、ボード選びでは非常に重要です。

波が違えば、求められる性能も変わる

サーフィンは、波という自然の上で成り立っています。
つまり、波の質が変われば、必要なボードの性能も変わります。

例えば――

パワーのない小波では
・テイクオフの速さ
・失速しないスピード
・フラットセクションでも走り続ける力

こういった性能が求められます。

この場合は、
幅があり、ロッカーが弱く、水の上を滑るようなボードが機能します。

パワーのある波・サイズのある波では
・フェイスに張り付く力
・レールのホールド性
・スピードをコントロールできる性能

が重要になります。

この場合は、
ロッカーがあり、レールがしっかり入るボードでないと、
スピードが出すぎてコントロールできなくなります。

1本で全部」は本当に可能か?

ここで多くの人が考えます。

「じゃあ、全部いける中間のボードがいいのでは?」

もちろん、それも一つの考え方です。
いわゆる「オールラウンドボード」です。

ですが――

その多くは、
「どの波でも70点」のボードです。

悪くはない。
けれど、特別良くもない。

もしあなたが
「どんなコンディションでも、とりあえず楽しめればいい」
のであれば、それも正解です。

ですが、

・小波でもしっかり走りたい
・良い波ではしっかりターンしたい

そう考えるのであれば、
波に合わせたボード選びが必要になります。

見落とされがちな「ホームポイント」

もう一つ大切なのは、
自分が普段入っている波を基準にすることです。

年に数回の良い波ではなく、
日常的に入っているコンディション。

そこにボードを合わせることで、
サーフィンの質も、上達のスピードも大きく変わります。

例えば――

普段はパワーのないビーチブレイクなのに、
サイズのある波を想定したボードを選んでしまう。

そうなると、
ほとんどの日でボードの性能を活かすことができません。

ボードは「波との対話」を変える道具

サーフボードは、単なる道具ではありません。

どこからテイクオフするのか。
どのラインを走るのか。
どのタイミングでターンするのか。

そのすべてを変えてしまうのが、ボードです。

つまり――
ボード選びとは、波との向き合い方を選ぶことでもあります。

「どんな波で、どんなサーフィンをしたいのか」

そこが明確になれば、
選ぶべきボードは自然と見えてきます。

もし今、ボード選びに迷っているなら、
サイズやリッターだけではなく、
どんな波で使うのか」から考えてみてください。

波に合ったボードに変えるだけで、
サーフィンは驚くほど変わります。

 

次回は、
サーフボードの性能をさらに引き出す重要な要素――
「フィンとの組み合わせ」について書いていきます。

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レベルによって、ボードの選び方はどう変わるのか

そのボード、本当に合っていますか?
――レベルで変わる正解のサーフボード

「自分に合ったボードが分からない」
そう感じている人の多くは、ひとつ大きな前提を見落としています。

それは、
レベルによって「正解のボード」はまったく違うということです。

例えば、同じ体重・同じ身長でも、
経験や技術が違えば、選ぶべきボードは大きく変わります。

初級者にとっての「乗りやすいボード」と、
中級者・上級者にとっての「良いボード」は、まったく別物です。

初級者の場合

まず優先すべきは、
「しっかり波に乗れること」です。

テイクオフが安定し、
波の上を真っ直ぐでもいいから走れること。

この段階で重要なのは、

・十分な浮力
・安定感のあるアウトライン
・スピードが出やすい設計

です。

ここで無理に「動かしやすいボード」を選んでしまうと、
そもそも波に乗る回数が減り、結果として上達が遅れます。

中級者の場合

ある程度波に乗れるようになってくると、
次に必要になるのは、
「コントロールできること」です。

ただ走るだけでなく、
ターンを入れ、ラインを描くための性能。

この段階では、

・レールがしっかり入ること
・スピードを抑えられること
・反応が素直であること

が重要になってきます。

ここでありがちなのが、
「速い=良いボード」という考え方です。

ですが、速すぎてコントロールできないボードは、
結果的にサーフィンを崩します。

上級者の場合

上級者になると、
求めるものはさらに明確になります。

「自分のサーフィンを表現できるかどうか」

スピード、ターンの質、ラインの自由度。
それらを高いレベルでバランスさせる必要があります。

この段階では、

・わずかなロッカーの違い
・レールの形状
・ボトムデザイン

といった細部が、
サーフィンの質に大きく影響してきます。

間違いやすいポイント

よくあるのが、
「上のレベルのボードを選んでしまう」ことです。

プロが乗っているから。
上手い人が使っているから。

そういった理由で選んだボードが、
自分のレベルに合っていないケースは非常に多いです。

ボードは、
「憧れ」で選ぶものではなく、
今と少し先の自分」に合わせて選ぶものです。

サーフボード選びは、
単純なスペックの問題ではありません。

どのレベルにいて、どこを目指しているのか。
そこを見極めることで、初めて「合う1本」が見えてきます。

もし今、

自分のボードに違和感があるなら、

それはレベルとボードがズレているサインかもしれません。

 

次回は、
「波によってボードはどう変えるべきか」
について書いていきます。

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