コンペティターは試合中、カール寄りの波のホレたところで演技します。
それは、波のきびしくパワーのある部分で技をかけないと高得点に結びつかないからです。
波の大きく湾曲した部分でボードをきれいにコントロールするためには強いロッカーと大きくカーブしたアウトラインが必要です。
そして、現在のコンペティションボードは、機敏な反応と高速での操作性を求め、余分な浮力を持っていません。
ボトムはコンケーブデザインが主流で、ライダーの体重を浮かせる上向きの力のほとんどは、走ることによって得られる揚力だけに頼っています。
しかし、このような揚力中心のボードはゆっくり走ることができません。
揚力は速度の2乗に比例するため、もしボードのスピードが半分に落ちてしまうと、発生する揚力は1/4となり、ライダーの体重を支えきれずに沈み出してしまうからです。
これに対し、ゆったり乗りたいサーファーは波のカールから離れた斜面のゆるやかなところでのマニューバーが中心です。
パワーの無い小波でも良く走り、スピードの落ちにくいボードデザインを考えます。
このようなボードでは浮力を効果的に使うことが重要です。
浮力は揚力と違って速度に依存しないのでボードの速度が落ちてきて、たとえ揚力が失われても、うまく浮力がアシストしてくれれば失速せずに走り続けることができます。
アルキメデスの原理によれば、ボードが沈むことによって浮力は生まれます。
ボードがどのようなかたちで水の中に沈んでいるのか?
沈むことによって水からの抵抗が大きくなってしまうため、あまり速いボードは期待できませんが、さまざまな角度で沈み込むボードの水中のフォルムを考え、それを整えることによって、低速でも失速しにくいボードを作り上げることが可能です。
これは、ロングボードについても同じようなことが言えます。
パフォーマンス系のロングは前者に、クラシック系のロングは後者としてとらえ、自分のサーフィンのスタイルがどのあたりに属するのかを考えてみるのも良いかもしれません。
これら2本のボードがおそらく対極のコンセプトになると思われますが、どちらか一方に偏ったサーフボードがベストだとはとうてい思えません。
両者の考え方やデザインを少しずつ取り入れ、ミックスすることであなたにぴったりの乗り易いサーフボードを作ることができるはずです。
あまり、100%コンペティション、100%ゆったり系などと考えずに、
また、ロングであれば、100%パフォーマンス、100%クラシックなどと決めつけずに、
自分が波のどこのポジションで演技することが多いのかによって、オーダーするボードを相談すると、あんがい良いサーフボードにめぐり会えるかもしれませんね!