ブロッキングルール

2017年度のシーズン途中でルール改正が行われたブロッキングルールの説明をします。
今回のルールの変更はジャッジのプライオリティーの判断に大きく影響するものです。
まだ記憶に新しい、今回のトラッセルズで行われた ミック・ファニングVS.カノア五十嵐 のヒートが再試合になった原因もこのルール改正によるものです。

選手がプライオリティーを持っている状態でのブロッキングルールは、以前から使われているもので新しいルールではありません。
今回のルール改正では、ヒートスタート直後のように選手がまだプライオリティーを持っていない状態でもブロッキングに関するルールが適用されることになりました。
WSLの説明によると、ヒートスタート時において選手たちがお互いを牽制し、波を無駄にしてしまう行為を無くすためだと言っています。

今までのルールだと、ヒート開始直後のように、プライオリティーを持っていない状態では波に乗ろうとしてパドルすることが自由でした。
選手はもともとプライオリティーを持っていないため、プライオリティーを失うことも無かったわけです。
選手が波に乗りプライオリティーが決定されるまでのあいだは、通常の試合のようにインサイド優先ルールが適用されるため、波の奥側にいる選手が優先となります。
これだと波の奥側の選手が波に乗るしぐさを繰り返した場合、ショルダー側の選手はなかなか波に乗ることができません。
プライオリティーの無い試合では良く見かける行為ですね。

改正された新しいルールではこの行為は認められなくなりました。
選手が波の奥側などのポジション的に優位な場所でパドルして、他のサーファーが波に乗ることを妨げたとジャッジが判断した場合、ブロッキングルールが適用されます。
これには波のテイクオフポジションに居座り、他のサーファーが波に乗るのを妨げる行為も含まれます。
ブロッキングをした選手には、そのとき可能な一番下の優先順位が割り当てられることになります。
4マンヒートでは4th.プライオリティー。
マンオンマンヒートでは2nd.プライオリティーとなりますので、必然的に相手の選手には1st.プライオリティーが与えられます。

この新しいルールで行われたトラッセルズの試合でのミック・ファニングVS.カノア五十嵐の模様を説明してみます。
まずヒート開始直後、まだ両者とも波に乗っていないためプライオリティーは発生していません。
そこに最初の波が入りミックとカノアはパドルを開始します。
インサイド(奥側)にカノア、ショルダーにミックという、カノア優位のポジションです。
プライオリティーはまだ決定していないので、通常のインサイド優先ルールに従ってミックはカノアに波を譲ります。
しかし、カノアはこの波に乗らずパドルをやめてしまいます。
今までのルールでしたら、カノアはプライオリティーを持っていたわけではないので何も問題は無かったはずでした。

この直後に2本目の波が入ってきます。
この波においてもカノアはミックに対しインサイドポジション(奥側)を確保していたため通常の優先ルールに従って波を手に入れます。

このヒートにおける最初の波でしたが、カノアは勝ちを決定づける8.97のエクセレントスコアを手にします。
これはこのヒートのベストスコアでした。
このままヒートは進行し、カノアが逃げ切った形でヒートは終了となります。

ヒート終了後、ブロッキングのコールミスがあったということで、ヒート結果は無効となり再試合することが決まります。

新しいブロッキングルールのもとでの判断だとこうなるはずでした。
最初の波でポジション的に優位な位置にいたのはカノアです。
カノアがパドルをしてショルダーにいたミックのパドルをやめさせた時点でブロッキングルールが適用されます。
この時点でカノアには2ndプライオリティー(可能な一番下のプライオリティー)が与えられます。
マンオンマンヒートですので必然的にミックは1stプライオリティーを手にすることになります。
だとすると、その直後に入ってきた2本目の波に対しての優先権はショルダー側にいるミックが持っていたということです。

もしプライオリティーがミックに変わっていて、カノアがベストスコアをマークした波にミックが乗っていたら勝敗が変わっていたかもしれないということで、審議の結果、再試合を行うということで決着がついています。

ここで勘違いしないで欲しいのは、ブロッキングルール違反の罰則はその選手が優先権を失うことであって再試合ではないことです。
再試合になったのはジャッジのコールミスが原因です。
ジャッジがプライオリティーをコールする前に問題の波が来てしまいました。
今回の一件はジャッジにとって非常に厳しい状況だったと思われます。
ブロッキングと思われる状況が発生してから10秒とたたないうちにその波が入ってきています。
ジャッジはこんな短い時間の中でブロッキングかどうかを判断し、選手に伝えなくてはなりません。
おそらくリプレイで確認する時間も無かったはずです。

ジャッジってたいへんですね!