OGM Surf Logs」カテゴリーアーカイブ

GMとGHDとの違いについて


GMGHDの最大の違いは、テール部分のアウトラインにあります。
図の通り、GMGHDよりもテールエンドのアウトラインが広く設計されています。

この広いテール面積のおかげで、GMは波から受けるパワーが増し、小波でも加速性の高いボードに仕上がっています。
「それなら、もっとテールを広くすれば、さらに加速の良いボードになるのでは?」と思うかもしれませんが、テールを広げすぎるとコントロール性が失われてしまいます。

サーフボードはレールを使って傾けながらターンします。
特に、ボトムターンからトップターンへの切り返しの際、広いテールのボードは左右のレールの入れ替え時に反応が重くなる傾向があります。
これは、波が大きくなってスピードが増すほど顕著に現れます。

一方、GHDはテールエンドがやや狭くデザインされています。
これは、大きめの波でスピードが上がった際のコントロール性を向上させ、レールの切り返しをスムーズにするための設計です。
結果的に、テール部分のアウトラインカーブが強くなり、レール・トゥ・レールのカービング性能も向上しています。
小波での加速性能はGMに若干劣るものの、標準的な波以上のコンディションでは非常にバランスが取れた完成度の高いボードとなっています。

 

GMGHDはあくまで基準点

今回はGMGHDの特徴的な性質について説明しましたが、実際にシェイプされるボードが100% GM、または100% GHDというケースはほとんどありません。
OGM Surfboards
の約95%はオーダーメイドのハンドシェイプで、ほとんどのボードはライダーとシェイパーの打ち合わせを経て、これら2つのモデルの中間的なデザインに調整されることが多いです。

サーフボードは、見た目の少しの違いで乗り味が大きく変わります。
ボードのタイプは無限にあり、モデル名だけにとらわれるのではなく、自分のサーフィンスタイルに合ったボードを考えることが大切です。

  • どんな波に乗るのか?
  • サイズは?
  • 素材は?

じっくり検討して、自分に合ったボードを選びましょう。

 

自分にぴったりのボードがサーフィンをもっと楽しくする

最適なボードを見つけるためには、ショップの店長さんやシェイパーと直接相談するのが一番です。
自分にぴったりのボードは、間違いなくサーフィンをより楽しいものにしてくれます。

 

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MATRIXシリーズ – 遠方のサーファーにも最適なボード調整を実現するシステム

MATRIXシリーズとは?

OGM MATRIXシリーズは、シェイプルームに来られない遠方のサーファーでも、ライダーと同様に個別のボード調整を受けられるシステムです。

あなたに本当にフィットするサーフボードをシェイプすることは、非常に難しい作業です。
ハンドシェイプでは、現在乗っているボードを持参し、その良し悪しをシェイパーと話しながら、次に作るボードの調整を決めていきます。
アウトライン、ロッカー、レール、コンケーブの配置など、すべてを細かく計測しながら作業を進めるのです。
これはライダーごとの個性を正確に反映するために不可欠なプロセスであり、これまではシェイプルーム内でしかできない専門的な作業でした。

しかし、MATRIXシリーズは精密なプロファイリングシステムを導入することで、この課題を解決しました。
このシステムの最大の強みは、現在乗っているボード(※OGM MATRIXシリーズであることが前提)のアウトライン、ロッカー、レール、コンケーブの配置が正確にデータ化されている点にあります。

あなたが「もう少しスピードが欲しい」「波のトップでの反応を向上させたい」「ボードの切り返しを軽くしたい」と感じたとき、そのフィードバックをもとに、実物がなくても的確な調整を加えた次のボードをシェイプできるのです。

さらに、マシンシェイプの導入により、シェイプ作業の効率化が可能になりました。
これにより、従来のハンドシェイプと比べてコストを大幅に削減し、高品質なボードを低価格で提供できるようになっています。

 

MATRIX GHD – コンペボードの中心を担うモデル

MATRIX GHDのベースとなるGHDモデルは、大澤伸幸プロがJPSAグランドチャンピオン獲得時に使用した、ハンドシェイプによるボードであり、OGMのコンペティションボードを代表するモデルです。
アウトラインやボリューム配分をボード中央に集めたデザインにより、体重移動に対するレスポンスが速く、高いコントロール性を誇ります。
さらに、波の切り立ったフェイスやポケットでのカービング性能に優れ、さまざまな波のコンディションに対応できる安定した性能を備えています。

あなたに最適なボードを作るプロセス

1本目:基準となるボードを決定

最初のボードは、あなたとシェイパーとの十分なミーティングを経て、GHDをベースに最適なサイズを決定していきます。
遠方の方は、メールでのやり取りや動画の送付を通じて、レールの調整やコンケーブの配置、ボリューム配分などを検討しながら進めます。

こうして完成した1本目のボードは、今後あなた専用のモデルとして確立され、シェイプデータが保存されます。
この段階で、一般的なマシンシェイプボードと同等以上の性能を確保できるはずです。

 

2本目以降:精密なカスタマイズで理想のボードへ

ここからがMATRIXシリーズの真価を発揮するフェーズです。
MATRIX
シリーズは、高度なプロファイリングシステムを活用し、完璧な再現性を持ちながらも細かな調整が可能です。

例えば、今のボードに満足しているものの、
「もう少しセクションを抜けるスピードが欲しい」
と感じた場合、他の部分はそのままに、コンケーブを深くする、またはロッカーを調整してスピード性能を高めることができます。
また、マシンシェイプを活用することで、従来のハンドシェイプでは難しかった微調整も高精度で再現可能となりました。
シェイプデータを蓄積しながら最適なデザインを追求できるため、より完成度の高いカスタムボードをリーズナブルな価格で提供することができます。

 

MATRIXシステムが証明した実績

実際にこのMATRIXシステムを使って、OGMライダーの坂本應尚選手と青山雄一選手の2人がNSA全日本チャンピオンとなっています。
両選手とも複数回のNSA全日本チャンピオンという輝かしい実績を持ち、このシステムの精度の高さとボードデザインの的確な調整が、トップレベルの競技者にも通用することを証明しました。

 

進化し続ける、あなた専用のマジックボード

ボードデザインは、あなたのフィードバックをもとに少しずつ進化し、確実にあなた専用のマジックボードへと近づいていきます。

MATRIXシリーズでは、あなたのボードデータを病院のカルテのように管理します。
過去に作成したボードデータはすべてファイルに保存されており、いつでも再現・改良が可能です。

また、マシンシェイプの導入により、オーダーメイドの精度を高めながらもコストを抑え、これまで以上に手に取りやすい価格で提供できるようになりました。

 

MATRIXシリーズの販売元 

MATRIXシリーズは、その精密なシェイププロセスの特性上、OGMシェイプショップ にて販売されます。
あなたにとって究極のボードを作り上げるために、MATRIXはこれからも進化を続けます。

 

MATRIX GHD

5’7″ (170cm) 18 3/4″ (47.6cm)
18 7/8″ (47.9cm)
2 3/16″ (5.56cm)
2 1/4″ (5.72cm)
24.3L
25.2L
5’9” (175cm) 18 7/8″ (47.9cm)
19″ (48.3cm)
2 1/4″ (5.72cm)
2 5/16″ (5.87cm)
25.9L
26.8L
5’11″ (180cm) 19″ (48.3cm)
19 1/8″ (48.6cm)
2 5/16″ (5.87cm)
2 3/8″ (6.03cm)
27.6L
28.5L

 

 

製品仕様

SHAPE :  OGMデザイン+マシンシェイプ
素材 :  PU+ポリエステルラミネート
カラー : クリアー
フィンシステム : トライ( FCS-2FUTUREから選択可能)
価格 :  ¥138,000(税別)   フィンは付属しません
(日本製)

送料地方発送の場合、配送料の一部として、¥3,000(税別、離島を除く)をご負担いただいております。

ご注文の際は、シェイパーと十分にご相談いただくことをおすすめしております。
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本目のボードから最適な仕上がりを目指し、お客様にとってベストなボードをご提供できるよう努めております。

 

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OGM ShapeShop (OGMシェイプショップ)
〒248-0033 神奈川県鎌倉市腰越874-101
TEL:090-2216-4376
FAX:0467-33-1822
info@ogmsurf.com

 

ハンドルのあそび

ハンドルのあそび

「ハンドルのあそび」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、ハンドルを左右に軽く回した際に、タイヤが動き始めるまでのわずかな余裕部分のことを指します。
この「あそび」があることで、ハンドルを固定していてもタイヤが一定の範囲内で自由に動き、クルマがまっすぐに走るようになり、運転しやすくなるのです。

一見、ハンドルのあそびがないほうがタイヤの向きが固定され、真っ直ぐ走りやすいように思えます。
しかし、路面は完全に平坦ではないため、わずかな凹凸にタイヤが敏感に反応してしまい、クルマは左右に蛇行しやすくなります。
また、ハンドルを少し動かすだけでクルマが即座に反応してしまうと、運転が神経質になり、安定した走行が難しくなるでしょう。
ハンドルのあそびが適度にあることで、路面の凹凸を吸収し、クルマは慣性の法則に従ってスムーズに直進するのです。

この考え方は、サーフボードのデザインにも共通するものがあります。

例えば、現在ほとんどのサーフボードに採用されているコンケーブですが、OGMでは図2のようにボードの前寄りのレール付近には施していません。
コンケーブの効率だけを考えれば、図1のようにレールぎりぎりまで深く入れたほうがスピードが向上するように思えます。
しかし、海面は常に変化し、ボトムターンやオフザリップ、スラッシュなど、サーフボードが様々な動きを求められるため、水の流れは常に正面からだけではありません。

もしレール際までコンケーブを施しすぎると、レールやエッジがシャープになりすぎてボードのコントロールが難しくなります。
その結果、スピードを活かせないボードになってしまうのです。

 

コントロール性を重視したデザイン

同じ考え方はテール付近のエッジの処理にも反映されています。
サーフボードのグリップ力だけを重視するなら、図3のようにアウトラインの最も外側にエッジを設けるのが理想的かもしれません。
しかし、OGMでは図4のようにレールをタックさせ、エッジを内側に数ミリずらしたデザインを採用しています。
これにより、テールの沈み過ぎを防ぎ、より優れたコントロール性を実現しているのです。

 

フィンのデザインにも同様の考え方が適用されます。

OGMのフィンは、フォイル(断面)のリーディングエッジ(前縁部)を少し丸みを帯びた形状にしています。
5のようにリーディングエッジをシャープにすれば、抗力が減少しスピードが上がるように思われます。
しかし、エッジが鋭すぎると、水流の微妙な変化によって境界層剥離(フィン表面に沿って流れる水が剥がれる現象)が発生し、結果的に失速しやすくなります。
また、フィンが敏感に反応しすぎると、かえってコントロールが難しくなるのです。

コントロールがスピードにつながる

サーフボードにはエンジンがありません。
クルマやジェットスキーのように、大きなエンジンを搭載すればスピードを得られるわけではなく、サーフボードは波のエネルギーを利用して走る乗り物です。
そのため、スピードを得るには、サーファーが波のカールに近いホレたポジションをキープする必要があります。
ボードのデザインがスピード性能を高めるのは重要ですが、それ以上に、サーファーがそのスピードをコントロールできることが不可欠なのです。

OGMでは、サーフボードの至るところで「コントロール性を向上させるデザイン」を採用しています。
これは、深いコンケーブのように一目で分かる派手なデザインではありません。
むしろ、料理における隠し味のようなもので、一つ一つは小さな工夫ですが、それらの積み重ねが最終的に高いコントロール性とスピード性能を生み出します。

サーフボードの性能は単一の要素で決まるものではなく、アウトライン、ロッカー、ボリューム、レールフォイルなど、複数の要素が絶妙なバランスで成り立っています。
「コンケーブが深いから速い」といった単純な判断ではなく、ボード全体のラインやバランス、ロッカーとアウトラインの調和、レールの形状やボリュームを総合的に見ることが大切です。

そして何よりも、自分の求めるサーフィンがそのボードでイメージできるかどうかが重要です。

あなたは、自分に合ったサーフボードに乗っていますか?

 

Gランドに着くと最初にお世話になるこのトラックのハンドルの遊びは1回転半もありました。 橋の上から落ちそうになった記憶があります。

OGMでは、サーフボード、サーフクリニックなどに関する無料相談を行っております。
お気軽にお問い合わせください。


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これからの時代のシェイパー

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優れたシェイパーは、優れたサーファーか?

優れたシェイパーであるためには、優れたサーファーであることが不可欠だと言われています。
その理由は、サーフボードに作用する力が流体力学やアルキメデスの原理に基づいているとはいえ、波という三次元的に歪んだ曲面上を滑走するため、非常に複雑で解析が難しいからです。

このため、サーフボードのデザインには理論的なアプローチだけでなく、実際のライディング経験に基づいた感覚的な理解が重要となります。
シェイパーが生み出したサーフボードは、実際に波に乗って初めてその性能が評価されます。
そして、ボードデザインを変えた際に生じる乗り味の違いを、誰よりも的確に体感し判断できる能力がシェイパーには求められます。
シェイパーは、頭だけでなく、自らの身体でボードデザインを理解する必要があるのです。
こうした背景から、「優れたシェイパーは優れたサーファーである」と言われています。

 

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では、優れたサーファーは優れたシェイパーか?

従来の答えは「NO」でした。シェイパーには、頭の中にあるデザインを具体的な形にする技術が求められます。
サーフボードは複雑な三次曲面で構成されており、それを美しく削り上げる作業は非常に難しく、まともな形のボードを作るだけでも、最低1000本はシェイプしないと習得できないと言われてきました。

しかし近年、優れたシェイプマシンと使いやすいソフトウェアの登場により、このハードルは下がりつつあります。
シェイプマシンで荒削りされたボードは最終的に手作業で仕上げる必要がありますが、その作業には高度な技術は求められません。
その結果、一部の優れたサーファーが、優れたサーフボードをシェイプすることが可能になってきています。

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サーフボードシェイプの新時代

サーフボードのシェイプは、新たな時代へと突入しました。
これは単にハンドシェイプかマシンシェイプかという削り方の違いを指すのではなく、これまで一体だった「職人的な技術」と「ボードの特性(乗り味)」が分離され、サーフボードが純粋に性能で評価される時代になってきたということです。

シェイプマシンはあくまで道具に過ぎません。
重要なのは、デザインを変更したときにボードの性能がどう変化するのかを、理論的・体感的・直感的に予測し、理解し、分析する想像力です。
ボードの見た目の美しさも重要ですが、それ以上に大切なのは性能です。
サーフボードを走らせるのは、紛れもなく物理学です。
見た目だけでなく、数学的・力学的にも美しく、高性能なサーフボードを生み出すことが、シェイパーの役割です。

 

「似て非なるもの」

しかし、精密なシェイプマシンの開発が進むにつれ、音楽の世界と同じようにコピーが出回る時代がやってきました。
本来、サーフボードのデザインには長年の経験と試行錯誤が詰まっています。
けれども、シェイプデータさえあれば、誰でも簡単に形だけは再現できてしまう時代になったのです。
しかし、形だけを真似したボードと、本当に機能するボードには決定的な違いがあります。

これからのシェイパーには、従来の職人的技術だけでなく、デザイナーやエンジニアとしての能力がより一層求められる時代が訪れています。
単なるコピーではない、独自の理論と経験に基づいたシェイプを提供することこそが、本物のシェイパーの価値なのです。

 

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スコアの仕組み5ー⑤

スコアーのしくみ5

私がサーフィンを始めたばかりの頃は、海から上がるとこんな感じでした

 

ジャッジ基準

ジャッジの仕事は「上手いサーフィンにより高いポイントを与える」ことです。
これはWCTでも、ローカルコンテストでも変わりません。
では、そのうまさとは何を基準に判断しているのでしょうか?

ルールブックの中には、ジャッジが何について判断し、どのようにスコアを決定すべきなのかを書いた「ジャッジ基準」というものが存在します。
ジャッジ基準は選手とジャッジとの間で交わされた採点に関する取り決めで、ジャッジはこの基準に一番近いサーフィンをした選手に一番高い得点を与えます。
これは選手からすると、どんなサーフィンをすれば高い得点がもらえるのかが書かれているわけですから、ジャッジ基準のようなサーフィンをすれば試合に勝てるし、認定試験にも合格できることになります。

ジャッジ基準は何年かごとに書き換えられています。
その時代のトップサーファーとその時のWSLインターナショナルヘッドジャッジとが話し合い、新しいサーフィンのマニューバを取り入れながら、どのようなサーフィンの技術が一番高く、一番上手いのかを考えて文章にしています。

 

WSLジャッジ基準

これが世界中で行われるほとんどの試合でベースとなっている「WSLジャッジ基準」の最新版です。
プロもアマチュアもジャッジ基準は世界共通です。
試合に勝つための答えはすべてこの中にあります。

WSL Judging Criteria
Surfers must perform to the WSL judging key elements to maximize their scoring potential.
Judges analyze the following major elements when scoring a Ride:

  •  Commitment and degree of difficulty(コミットメントと難易度)
  •  Innovative and progressive manoeuvres(革新的で進歩的なマニューバ)
  •  Combination of major manoeuvres(メジャーマニューバの組み合わせ)
  •  Variety of manoeuvres(マニューバの多様性)
  •  Speed, power and flow(スピード、パワー、フロー)

NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day.
NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored:
0–1.9 = Poor;  2.0–3.9 = Fair;  4.0–5.9 = Average;  6.0–7.9 = Good;  8.0–10.0 = Excellent

ジャッジ基準には独特の用語が使われています。
WSLのツアージャッジ達が実際のジャッジルームの中で使っているニュアンスをもとに、解釈のポイントを説明しますので、ぜひこの基準を自分のものにしてください。

コミットメント(積極性)
ジャッジの間では、高いリスクを払っているかどうかを見極める重要な言葉として、しばしば登場します。
波の最もきびしいセクションに果敢にアタックするマニューバには特に高いスコアを与えています。
また、1つのライディングの中で、いつ、そのマニューバを行ったのかも得点に影響します。
難しいマニューバをライディングの最初に入れる方が最後に入れるよりリスクの高いのは明らかで、ジャッジがファーストマニューバを重視するのはこのためです。

難易度
ジャッジはマニューバの難しさに得点を与えます。
マニューバーの回数やライディングの長さではなく、技術のレベルをスコアで表現します。
マニューバの量ではなく、質が重要です。

革新的で進歩的なマニューバ
今までに見たこともない新しいマニューバや、現在のマニューバをさらに進化させたものに挑戦してほしいという願いを込め、高い評価をしています。

メジャーマニューバの組み合わせ
マニューバを組み合わせること、そのつながり、連続させることの難しさを評価に加えています。

マニューバの多様性
サーファーが同じマニューバを何回も繰り返す単調なものではなく、ジャッジは1つのライディングの中に多種類のマニューバを要求しています。

スピード、パワー、フロー
スピードとパワーについては、トラックの深さ、レールの寝かせ方、スプレーの大きさなどから判断できるはずです。
この3つはすべてのマニューバの判断の基本となる部分です。
フローは、マニューバのつながりと共に、クリティカルなセクションの使い方や、波を読んだ的確なマニューバの組み立て方なども評価の対象としています。

NOTE:
そして最後に注意として、ジャッジ基準の中のどれを重視するかは、その試合の行われているロケーションや、その日のコンディションによって変化すると書かれています。

たとえばトラッセルズのようなポイントでは、革新的で進歩的なマニューバやその多様性が大きく評価されています。
それに対してパイプラインやタヒチなどのきびしい波では、エアリアルなどではなく、チューブの深さやテイクオフのポジションなどをコミットメント(積極性)や難易度を使って高く評価します。
また通常の試合では、波の大きさの違いをあまり評価に加えていませんが、ワイメアのような特別に大きな波で行われる試合の場合は、波のサイズが重要な要素となります。
巨大な波にテイクオフするサーファーというのは、最大級のコミットメント(積極性)を示すこととしてジャッジは高く評価しています。

 

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー④

 

 

公平な採点を心がける

採点では、良くないサーフィンにまで高得点を与えてスコア全体を引き上げるのではなく、良いサーフィンには高く、良くないサーフィンにははっきりと低い点数をつけることが重要です。

例えば、平凡なマニューバを何度も繰り返すことで不当にスコアが上がり、グッドスコアになってしまうケースがあります。
また、レールを使わずに行われたマニューバの連続に対し、アベレージスコアを与えてしまうこともあります。
ジャッジはライディングの長さやマニューバの回数に惑わされず、そのクオリティを正しく評価しなければなりません。

スコアの基準

  • 良いマニューバを含むライディングにはグッドスコアを
  • エクセレントなマニューバが含まれていればエクセレントスコアを
  • 平凡なマニューバしかなければアベレージスコアを

同じレベルのマニューバが繰り返されたとしても、採点スケールの範囲内で評価し、それを超えて高いスコアをつけないようにします。
これを徹底するだけで、スコアは一貫性を持ち、明確になります。
レールを使わずに行われた質の低いマニューバは、何回繰り返してもプアースコアにしかなりません。

 

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ジャイアント馬場の16文キックはエクセレントスコアですが、グレート東郷の塩まき目つぶしや、ミスター珍のゲタ攻撃はプアースコアでお願いします。

 

スコアが伸びない理由を考える

もし自分のスコアが伸び悩んでいると感じたら、そのマニューバが評価されていない可能性があります。
ジャッジは、マニューバの難易度を重視して採点します。

ジャッジ基準を再確認してみましょう。
そこには、高得点を得るためのヒントが書かれています。

スピードやパワーは十分か?
マニューバのつながりはスムーズか?
レールをしっかり使えているか?
コミットメント(攻めの姿勢)はあるか?
マニューバのポジションは適切か?
波のクリティカルなセクションで技を仕掛けているか?
技の革新性・進歩性はあるか?
マニューバの種類にバリエーションはあるか?
コントロールはしっかりできているか?
バランスを崩していないか?
そのセクションに最適なマニューバを選択しているか?

これらの要素がしっかり満たされているかを確認することが、高得点への鍵となります。

トップ選手も同じ基準で評価される

世界的なトップサーファー、ケリー・スレーターでさえ、同じジャッジ基準で採点されています。
ジャッジは、定められた基準に従い、公平かつ正確に採点することが求められます。

スコアを伸ばすためには、ジャッジ基準を深く理解し、それに沿ったサーフィンを心がけることが大切です。

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー③

 

スコアーレンジ

ジャッジは、採点スケールに基づいてスコアを決定します。
採点スケールとは、ジャッジシートの下部に記載されている「Good」や「Excellent」などのスコア区分のことです。

ライディングを分析し、
良いライディングであれば「Good6.07.9)」の範囲内から
・普通のライディングであれば「Average4.05.9)」の範囲内から
適切なスコアを選びます。

また、ジャッジは点数に明確な差をつけることが求められます。
そのため、2点や3点といった低いスコアの範囲内で勝敗を決めてしまうのではなく、10点満点のスケールを最大限に活用するよう教育を受けています。

採点スケールの重要性

採点スケールは、スコアの幅を持たせるために非常に有効な仕組みです。
たとえば、あるジャッジが1本のライディングに5.0点をつけたとします。
それを見たヘッドジャッジが問いかけます。

ヘッドジャッジ:「今のライディング、どうだった?」
ジャッジ:「良かったです。」

すると、ヘッドジャッジは次のようにアドバイスするでしょう。

「良かったと思うのなら、5.0点ではなく、‘Good6.07.9の範囲内でスコアをつければ、スコアリングの幅が広がり、10点満点をより適切に活用できるよ。」

このように、ジャッジが10点満点のスケールを幅広く活用することで、実力のある選手が適正に評価され、勝ち上がる確率が高くなります。

実力のある選手が勝ち上がるためのスコアリング

プロクラスの試合において、「Good6.07.9)」のスコアを出すのは簡単ではありません。
通常、1本のライディングの中に、難易度の高いマニューバを最低12回入れる必要があります。
これは、実力のあるサーファーでなければ獲得できないスコアです。

一方で、3.0点程度のスコアは、1本のライディングの中に簡単なマニューバを1回入れるだけで獲得できてしまいます。

仮に、技術の高いサーファーがヒートの時間内に良い波に恵まれず、1本しか良いライディングができなかった場合を考えてみましょう。
もし、そのライディングに5.0点しかつかなかった場合、簡単なマニューバを1回入れた3.0点のライディングを2本成功させた選手が合計スコアで勝ってしまう可能性があります。

さらに、もしエクセレントなサーフィンに対して7.0点しか与えられなかった場合、アベレージな4.0点のライディングを2本乗った選手に敗れてしまうことも起こりえます。

適正なジャッジングを目指して

ジャッジは、ライディングに含まれるマニューバを正しく評価し、本当に素晴らしいサーフィンをした選手が、適正に勝ち上がれるようなジャッジングを目指さなければなりません。

そのためにも、採点スケールを的確に活用し、スコアの幅を十分に使って採点することが重要なのです。

 

 

 

スコアの仕組み5ー②

 

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「残り時間1分!」
「ホワイトの選手がライディング!」
「現在2位のレッドを逆転するために必要なスコアは5.18ポイント!」

試合終了間際、ホワイトの逆転がかかる緊迫したシチュエーション。
このとき、私たちジャッジはどのように考え、採点しているのでしょうか?

今回は、私自身のスコアのつけ方を紹介しますが、おそらく他のジャッジたちも同じようなことを考えながら採点しているはずです。

ジャッジの思考プロセス

逆転に必要な5.18ポイントというスコアは、アナウンスで繰り返し流れるため、当然ジャッジの頭にも入っています。
しかし、私自身は「このスコアをつければ逆転するかどうか」をあまり深く考えていません。
なぜなら、最終的な得点は5人のジャッジのスコアの平均で決まるため、私ひとりの判断だけで結果が変わるわけではないからです。

さらに、極端に高すぎるスコアや低すぎるスコアは、集計システムによってカットされ、最終的な平均点に反映されません。
そのため、ジャッジがすべきことはただひとつ──ライディングを冷静に分析し、自分の意見として適切なスコアをつけることだけです。

ヒート終了間際のスコアの決め方

ヒートの序盤であれば、比較対象が少ないため、ある程度広い範囲でスコアを決めることができます。
しかし、試合の後半になると、すでに確定したスコアがスコアシート上に多数存在するため、新たなライディングの評価は、それらと比較しながら慎重に決定しなければなりません。

例えば、ホワイトの選手の6本目のライディングが「5.0点くらいかな」と思ったとします。
その場合、比較対象となるのは、すでにスコアが確定しているイエローの3本目(5.0点)。

そこで、イエローのライディングの内容を頭の中で振り返ります。
「最初のマニューバは少し甘かったが、2回目のターンはシャープだった。3回目のカットバックも悪くなかったな

次に、ホワイトの今回のライディングを思い出します。
「ターンの流れは良かったし、全体的にまとまったライディングだった。
しかし、イエローの2回目のターンのような鋭いアクションはなかった

この時点で、ホワイトのライディングに5.0点以上をつける理由はないと判断します。
つまり、私のスコアの中ではホワイトの逆転はなくなりました。

次に、ホワイトのライディングをレッドの4本目(4.5点)と比較します。
「レッドのライディングはターンのコンビネーションが綺麗だったが、少しパワーが足りなかった。ホワイトの方が良いサーフィンだったな

こうして、私はホワイトのライディングに4.5点以上をつけるべきだと判断します。

限られたスコアの選択肢

この段階で、ホワイトに与えられるスコアの選択肢は4.64.74.84.94つに絞られます。

  • イエロー(5.0点)に近ければ4.8
  • レッド(4.5点)に近ければ4.7
  • ほぼイエローに匹敵すると判断すれば4.9

このように、ヒートの後半ではスコアの幅が限定され、雰囲気や感覚でスコアをつけることはできません。

ジャッジのスコアは相対的に決まる

ジャッジのスコアは個々に異なりますが、それぞれのジャッジが同じような比較・分析を行いながら採点しています。
最終的な得点は、5人のジャッジのうち、最も高いスコアと最も低いスコアがカットされ、残り3人の平均値が採用されます。

このとき、ホワイトの選手が逆転するかどうかは、ジャッジ個人の意識の中にはありません。
ただ目の前のライディングを、すでに確定したスコアと比較しながら評価するだけなのです。

誤解されがちなスコアリング

このように相対評価で決まるスコアは、観客にとって「あるときは厳しく、あるときは甘く」感じられることがあります。

例えば、観客の中には、
「今のホワイトのライディングは最低でも5.2ポイントはあったはず。ジャッジの採点はおかしい!」
と主張する人もいるかもしれません。
しかし、スコアはそのライディング単体ではなく、ヒート全体の中の他のスコアとの比較で決まるものです。
そのヒートの最初から最後までの流れを見れば、妥当なスコアだったことが理解できるはずです。

このようにして、ジャッジは冷静にスコアを決めています。
ある1本のスコアは「適当に決められたもの」ではなく、すべてのライディングとの比較によって導き出された結果なのです。

 

スコアの仕組み5ー①

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「えっ、おかしいな? いつもなら56点は出るのに、今回は4点か
この試合のジャッジは俺のことが嫌いなのかな?」

こんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
でも、安心してください。
ジャッジは選手の好き嫌いで点数をつけることはありません。
しかし、同じようなライディングでもスコアが変わることは実際にあり得るのです。
今回は、その理由を採点の仕組みから説明します。

サーフィンのスコアは固定ではない

サーフィンの採点は、「特定の技をしたら何点」といった絶対的な基準では決まりません。
例えば、「オフザリップを2回してカットバックをしたから5点」といったルールは存在しません。

また、10点満点の基準も固定ではありません。
例えば、WCT(ワールドチャンピオンシップツアー)では、タヒチやパイプラインの大波での10点もあれば、オンショアのジャンクな腰波での10点もあります。
同じ10点でも、ライディングの内容はまったく異なります。

さらに、ディビジョン(クラス)によっても評価基準は異なります。
プロクラスの10点と、ビギナーズクラスの10点は当然ながら違うものです。
このように、スコアは環境やクラスによって変わるため、サーフィンの採点には相対評価が用いられます。

相対評価とは?

サーフィンのスコアリングでは、絶対的な基準ではなく、その試合の波のコンディションや他の選手のライディングと比較して点数が決められます。

試合は「ヒート」と呼ばれる小さなグループ(24人)で行われ、勝ち上がった選手が次のラウンドで新しいヒートを作って戦うトーナメント方式です。
この方式により、同じヒートの選手は同じ条件で競うことになり、不公平が少なくなります。

ジャッジは新しいライディングを見たとき、同じヒートのスコアシートの中から、クオリティが最も近いライディングを基準として考えます。
その基準より良ければ高いスコア、劣っていれば低いスコアがつけられます。

例えば、
今のライディングはこのヒートのRed3本目(4.5点)より良く、Yellow2本目(5.0点)より劣る 4.7
というように判断されるのです。

ジャッジは感情で採点しない

ジャッジは雰囲気や気分でスコアをつけるわけではありません。
そのヒート中のライディングを記憶し、マニューバ(技)の分析を行い、他の選手との比較をしてスコアを決めます。
記憶が曖昧な場合はリプレイシステムを使って検証しながら、ヒート中ずっとこれを繰り返します。

4点しか出なかった」と感じるのは、すでに他の選手のライディングに対して4.5点が確定しているため、それより評価が低いと判断されたからです。
逆に「6点がついた」のは、それより悪いライディングに5.5点がついているためです。
ただ、それだけのことなのです。

試合中は、1本のスコアに一喜一憂するのではなく、もしスコアが伸びないと感じたら「相手のサーファーのライディングの方が良かった」と考えてください。
相手より優れたライディングをすることで、はじめてそれ以上のスコアを得ることができるのです。

 

シェイプをリンクさせる

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こんな経験、ありませんか?

「今日は波が大きいけど、いつも乗っている短いボードの方がしっくりくる。長いボードを使うよりもテイクオフはちょっときついけどね
本当はどんな波でも1本のサーフボードで対応できれば理想的ですが、ヒザ波とオーバーヘッドの波では、波のパワーや求められるマニューバーがまったく異なります。
すべてのサイズの波で完璧に機能するボードを作るのは簡単なことではありません。

そのため、波のサイズに応じて複数のボードを使い分ける必要が出てきます。
しかし、各ボードの乗り味が大きく異なっていたり、波のレンジ(適応範囲)が明確に割り振られていなかったりすると、スムーズな乗り換えが難しくなります。

私は、2本以上のサーフボードをまとめてオーダーされた場合、それぞれのボードの完成度はもちろん、ボード同士がスムーズに乗り換えられるよう、互いのつながりを意識したシェイプを心がけています。
単純にマシンでボードの拡大・縮小をすれば簡単だと思うかもしれませんが、そんなに甘くはありません。

マシンによる拡大・縮小は、体重の異なる2人のサーファーには有効な場合もありますが、1人のサーファーが異なるサイズの波に対応するボードを作る場合には役に立ちません。
なぜなら、ボードスピードや波のパワーの変化が考慮されていないからです。
モデルを変えることで対応することもできますが、その場合、ボード間の「つながり」は失われてしまいます。

 

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つながりを重視したシェイプには、個別のコンセプトは必要ありません。
波のサイズが変われば、ボードのスピードやターンの大きさ、マニューバの種類まで変わってきます。
小波では、波のパワーを効率良くスピードに変換することを重視してデザインしますが、大きな波では逆に、パワーをうまく逃がしながら正確にコントロールできるボードが求められます。
さらに、波をつかまえるために必要なパドル速度も変わるので、そのための浮力設計も重要です。

アウトライン、ロッカー、ボリューム配分、レールフォイル、コンケーブといった要素を、少しずつ変化させながら全体としてつながりを持たせることが、デザインには欠かせません。
1本のボードをシェイプする際には、他のボードの特性も常に意識しながらシェイプを進め、乗り味に連続性を持たせていくのです。

これが、OGMでいう「同じサーフボード」です。
形やサイズは違っても、波のサイズが変わったとき、まるで同じボードに乗っているような一貫したフィーリングを得られます。
こうして作られたサーフボードのグループは、波の大きさの変化にも柔軟に対応できます。
波が大きくなったら、ただボードをひと回り大きいものに変えるだけでOK
まるで同じボードの延長線上でライディングしている感覚です。

このように、ボード同士をリンクさせたシェイプによって、どのボードを選んでも一貫した乗り味が得られるのです。

OGMでは、サーフボード、サーフクリニックなどに関する無料相談を行っております。
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