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新しい時代のシェイパー

10429443_756434197784753_1048103761177719933_nすぐれたシェイパーは、すぐれたサーファーか?

すぐれたシェイパーであるためには、すぐれたサーファーであることが絶対的に必要な条件であると言われています。
その理由はサーフボードに働く力が、基本的には流体力学やアルキメデスの原理に基づいているものの、波という三次元的にゆがんだ曲面上をボードが滑走しているため、非常に複雑で解析しにくいからです。
このことから、サーフボードには理論的なデザインよりも、むしろ体感的な経験に基づいたデザインがとても重要なものとなっています。
シェイパーによって新しく削り出されたサーフボードは、サーファーが本当の波に乗って初めてその性能を評価できます。
そしてシェイパーには、ボードデザインを変化させたとき、ボードの特性がどのように変わるのかを誰よりも詳しく体感的に判断できる能力が必要です。
シェイパーは頭だけではなく、自分の体でボードデザインを理解できなくてはなりません。
このことがすぐれたシェイパーはすぐれたサーファーであると言われているゆえんです。

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反対に、すぐれたサーファーはすぐれたシェイパーでしょうか?

今までの答えはNOでした。
シェイパーには、まず頭の中にあるデザインをプレーナーやノコギリといった道具を使って現実に作り出す能力が必要です。
サーフボードは複雑な三次曲面で形成されていて、これをきれいに削り上げることはとても難しい作業でした。
性能はともかく見た目だけでもまともなサーフボードを作るためには最低でも1000本程度のボードをシェイプしないと難しいのではないでしょうか。
しかしながら、近年、すぐれたシェイプマシンと扱いやすいソフトウエアの開発によってこの問題は消滅しました。
現在では一部のすぐれたサーファーが素晴しいサーフボードをシェイプしています。

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サーフボードシェイプは確実に新しい時代に入ったと言えます。

これはハンドシェイプとかマシンシェイプとかいった削り方の違いのことではありません。
のこぎりやカンナを上手く使いボードをきれいに仕上げるという、いわゆる職人的だった技術とシェイプとが分離されたことで、サーフボードは純粋にその性能で評価される時代となって来ています。
シェイプマシンだって単なる道具に過ぎません。
ボードデザインを変化させたとき、ボードの性能がどのように変化するのかを理論的に、体感的に、直感的に予測し、理解し、分析できる想像力が重要です。

ボードの美しさはもちろん重要な要素だと思いますが、それ以上に重要なのがその性能です。
サーフボードを走らせているのは、まぎれもなく物理学です。
見た目だけの美しさだけでなく数学的にも力学的にも美しく性能の高いサーフボードを削るのがシェイパーの仕事です。

これからのシェイパーは、デザイナーやエンジニアとしての能力が今まで以上に重要になってくるものと思われます。

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シェイプをリンクさせる

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こんな経験ないだろうか?

「今日は波が大きいけど、こっちの長いボード使うより、いつも乗ってる短いボードの方がどうもしっくりくるんだ、ちょっとテイクオフきついけどね~」

本当はすべての波に1本のサーフボードで対応できれば良いのですが、ヒザ波とオーバーヘッドの波とでは、波のパワーも要求されるマニューバーもかなり違ったものとなります。
すべてのサイズの波でうまく働いてくれるサーフボードを作るのは、なかなか簡単なことではありません。
そこで波のサイズによって、何本かのサーフボードを使い分ける必要が出てくるわけなのですが、それぞれのボードごとの乗り味が大きく異なっていたり、ボードが受け持つ波のレンジ(範囲)がしっかりと割り振られていなかったりすると、乗り換えをスムーズに行うことができません

私は、波のサイズに合わせて2本以上まとめてオーダーを受けた場合、サーフボードの1本1本の完成度を重視するのはもちろんですが、それらのボードが互いにスムーズに乗り換えられるように、他方のボードをしっかりと意識したつながりのあるシェイプを心がけます。

マシンを使って、拡大や縮小をすれば簡単だろうと思う人がいるかも知れないが、そんなに甘くはありません。
マシンでの拡大縮小は体重が違う2人のサーファーに対しては有効な場合もありますが、一人のサーファーに対して目的の波のサイズを変える場合には、まったく使い物になりません。
ボードスピードや波のパワーの変化が考慮されていないからです。
モデルを変えて対応することは可能ですが、その場合コンセプトが大きく変わってしまうので、ボードどうしのつながりなどは何処かへ消えてしまいます。

つながりを求めたシェイプには、独立した単独のコンセプトは不要です。

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波のサイズが変わるとボードのスピードやターンの大きさ、マニューバの種類までもが変わって来ます。
小さな波の場合は、いかに効率良く波のパワーを受けスピードに変換することを中心に考えデザインしますが、大きな波では逆に、パワーをうまく逃がしながら正確にコントロールできるボードが必要となってきます。
当然、波をつかまえるために必要なパドルの速度も変わってくるので、そのための浮力についても考えなくてはなりません。
アウトライン、ロッカー、ボリューム配分、レールフォイル、コンケーブやコンセプトに至るまで、少しずつですが全体を通じてつながりのある変化をデザインの中に組み込むことが重要です。
1本のボードをシェイプするとき、残りのボードをつねに意識しながらシェイプを続け、乗り味をリンクさせながら徐々に変えていきます。

これがOGMで言う同じサーフボードです。
形も大きさも違いますが、サイズの異なる波に乗ったとき同じボードのように反応します。
このようにして作られたサーフボードのグループは波の大きさの変化に柔軟に対応します。
波が大きくなったらサーフボードをひとつ大きなものに変えるだけです。
あたかも同じボードに乗っているような感覚です。

このようにシェイプを他のボードとリンクさせることによって、あなたが、いつ、どのサーフボードを選ぼうとも、一貫した乗り味を手に入れることができるのです。

 

 

テンプレートのつくり方

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シェイプスクールの生徒さんからの質問で最も多いのがこれです。
「テンプレートってどうやってつくるのですか?」
テンプレートのつくり方の決まりはありません。
どんなつくり方が一番良いのか?、他のシェイパーさんがどのように作っているのかも知りませんが、私の長年やっている方法を説明しますね。__ 1

  1. 目的のボードをイメージする__ 5
    テンプレートをつくるからには、その目的のボードのプランが頭の中に必要です。
    大まかな形、特定のポイントの数値、気に入っているボードなどがあれば、そのイメージなどををもとに、実際のブランクスにプロットしていきます。
    ボードの設計プログラムなどの数値も、役立つことが多いです。
  2. アウトラインを描く
    今までの手持ちのテンプレートを何枚も組み合わせてプロットをつないでアウトラインを完成させます。
    この時、数値を優先するのであれば、プロットの上をどうしても通す必要があるし、カーブを優先するのであれば、少しの妥協は必要かもしれませんね。
    私の場合はフリーハンドなども交えて、とりあえずアウトラインを完成させます。
  3. アウトラインの修正
    テンプレートは次の新しいモデルのベースになるわけですから、とても重要なものです。
    離れたところから見たり、何回も何回も確認してカーブの乱れをなくして行きます。
    私の場合はここでマスターテンプレートを使って修正を加えていますが、これを持っている人は少ないと思うので、自分の手持ちのテンプレートの中で、一番信頼できるものを使って修正すると良いでしょう。
  4. アウトラインのカット
    実際にアウトラインをカットしてみると、もう一段高いレベルからラインを判断できます。
    変更したい部分があれば修正を加え、完璧なアウトラインを作り上げます。
  5. テンプレートへのトレースz__ 3
    新しく出来上がったアウトラインをベニヤ板に写します。
    アウトラインを切ったフォームの上にベニヤ板を乗せ、重りなどで固定し、鉛筆で下からフォームに沿ってラインを写していきます。
    これでテンプレートの下書きが完成しました。
    でも、まだカットしてはいけません。
  6. 実際のボードのシェイプ
    まだ終わりではありません。
    実際のテンプレートはいろいろなクセを持っています。
    ロッカーをつけたり、レールを作っていくうちにアウトラインの歪みに気づくことがあります。
    これが平面的な2次元では気がつかなかった3次元での歪みです。
    先ほどアウトラインを切ったボードは、新しくつくるテンプレートをフルテンプレートとして使った貴重なボードです。
    注意深くシェイプしながら、気づいた点をテンプレートにメモしておきます。
  7. テンプレートのカット
    テンプレートに書かれたメモをもとに、細かい補正を加えカットします。
    これでクセのあまり無いテンプレートの完成です。

OGM シェイプ教室

シェイプ教室についてのお問い合わせが多いので、テキスト内容の一部とハンドシェイプの動画を公開しますね。

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SURFBOARD DYNAMICS
このサーフボードダイナミクスでは理解を容易にするため、ボードをアウトラインやロッカーなど、それぞれのパーツに分けて解説していますが、各パーツで述べているのはあくまでも一般的な傾向です。
しかもそれらのパーツは滑らかな三次曲面ですべてつながっているためそれぞれが独立していません。
たがいにからみ合い、密接に影響し合っています。
たとえばレールはボトムの一部でも有りデッキの一部でもあり、明確な境界はありません。
アウトラインにしてもレールを介してロッカーにつながっているため、アウトラインの変更があたかもロッカーを変更したかのような結果を生むこともあります。
サーフボードではそれぞれのパーツが互いに関連し影響しあっているので、ただひとつの要素だけでボードの特性を決めてしまうのは無理があり、意味がありません。

アウトライン

サーフボードの最も重要で基本となるラインです。
ボードのいちばん外側になる部分で、このラインでボードの性格の大部分が決定します。
シェーパーは長さ、幅、最大幅の位置、ノーズ幅(ノーズから30cm付近の幅)、テール幅(テールから30cm付近の幅)などの数値でアウトラインの特性を分類、分析しています。
一般的にワイデストポイントが前方にありノーズが広くテールの狭いボードは直進性が高くハイスピードでのコントロール性が良いと言われています。
弱点はテールエリアが狭いため波のパワーを受けにくく小さい波では加速性が悪いことです。
これに対してワイデストポイントが後方にあるボードはテールが広いため波のパワーを受けやすく小波でも加速性に優れています。
ただし、大きな波の時などでボードスピードが出過ぎた場合、コントロールするのが難しくなる傾向があります。

ボトムロッカー

ロッカーを表現する方法や解釈はシェーパーによってさまざまです。
サーフボードを真横から見てボトム側についている反り(カーブ)のことをボトムロッカーと呼びます。ボードにおいてボトムロッカーはアウトラインと共に最も重要な要素です。
ロッカーとアウトラインは、はっきりと切り離して考えることはできませんが、基本的にはロッカーが強ければルースしやすくスピードが遅くなります。
これは水の流れがボトムの曲面を追いかけすぎて、引きずるような状況を作ってしまうためです。

ノーズロッカーはボードのボトムに入り込む水をコントロールしています。
ボードスピードがあまり高くない段階でのスピードに大きく影響し、特にテイクオフ時には一般的にノーズロッカーが強いとボトム面の水に対する仰角が強くなりスピードが遅くなる傾向があります。
よく、ボードが水を押してしまうという表現のことです。

テールロッカーは主にコントロール性に影響します。
これも一般的にですが、強いと曲がりやすく、弱いと直進性が強まる傾向があります。

デッキライン(ボリュームバランス)

各部に必要な厚さを確保しながらそれらの点をつないだデッキ側のラインをデッキラインと呼びます。
このデッキライン(厚さ)によってサーフボードのボリュームが作られるわけですが、これもボードにとって非常に重要な基礎となる要素です。
適正なボリュームというのは、そのボードのタイプによってまちまちで、たとえ同じ体重のサーファーであっても、そのスタイルや好みによって大きく違ってきます。

レールフォイル

レールはターンの状態を安定して保つための重要な部分です。
これもボリュームの大きさや配分と切り離して考えることはできませんが、一般的に薄いレールはコントロールし易いがスピード性に欠け、厚いレールはターン時にパワーが必要だが、スピード性が高いと言われています。

MACHINE SHAPE

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あなたがプロをめざすコンペティターの場合にはマシンシェープを薦めます。
現在の試合の採点方法では、ジャッジは1つ1つのマニューバーに最大のパワーとコントロールを要求しています。
サーフボードに安心して最大のパワーを加えることができるためには選手とボードの間に100%の信頼関係が必要です。
ロッカーの大きさ、レールのフォイル、アウトラインのバランス、コンケーブの配置など、サーフボードが高い次元で選手の体型や乗り方に合っていなくてはなりません。
試合シーズン中、そのようなボードを安定して何本も供給し続けるためにはマシンシェイプのように再現性の高いシステムで微調整を繰り返し、一歩一歩確実にベストなボードに近づけて行く方法が最適だと考えています。

OGMの保有するサーフボードデータの中には過去に優勝を何回も経験した非常に完成度の高いモデルがいくつかあります。
マシンシェイプの1本目のオーダーは、この性能が保証されたチャンピオンボードをベースに、あなたの体型に合わせサイズやロッカーを決定、サーフィンのスタイルやさまざまな要求に応じた最適なチューニングを加え、最強のボードを設計します。

そして、2本目からはあなたの名前の入ったモデルがベースとなります。
前回のボードをさらに発展させたり、新しいテイストを加えたりすることで今以上に最適なボードを手にすることができます。
たとえば、今のボードは最高に気に入っているんだけど、あと少しだけセクションをぬけるスピードが欲しいと思った場合、他の部分をまったく変えずにコンケーブだけ深くするとか、テールロッカーだけ弱くするといったことが可能です。
あるいは、その気に入っているボードのアスペクト比を変更することで、その乗り味のDNAを受け継いだまま小波用や大波用のボードに変更することが可能となります
わたしの行っているマシンシェイプは単にマザーボードの長さ、幅、などを変更したり、同じボリューム(体積)のまま、幅や厚さを調整するとかいった、量産型の単純な方式は行っていません。
つねに進歩を意識しながら微調整をくり返し、一歩ずつ確実にあなたの最適なサーフボードに近づけて行きます。
この意味では、わたしのマシンシェイプでのアプローチはかなりハンドシェイプ的であると言えます。

OGMのマシーンシェイプのボードデータは、病院のカルテと同じです。
前回のボード、前々回のボードなどから的確なボードデザインを推測し、
いままで偶然的に生まれていたマジックボードを必然的に作り出します。
もちろんあなたが過去に作ったボードデータはすべてPCの中に存在するため、いつでも再現することや、加工することが可能です。

HAND SHAPE

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自分だけのオリジナル性の高いサーフボードを希望される方にはハンドシェイプをすすめています。
ハンドシェイプの最大の長所は、何といってもボードが目の前に存在することです。
シェープルームで実物のブランクスにアウトラインを描き、実際に切り出して初めてサーフボードの大きさやフィーリングが実感できます。
ここで得られる情報の量はPCのモニターから得られるものとは比べ物になりません。

サーフボードはさまざまな曲線の組み合わせで出来上がっています。
曲線は面をつくり、面が3次元的に広がりを持つことで立体となります。
2次元の平面だったアウトラインにロッカーが加わり、デッキのカーブやレールがフォイルされることで3次元のサーフボードは完成されて行きます。
ハンドシェイプでは、この過程で2次元では認識できなかった3次元的なひずみを発見することができます。
マシンシェイプのプログラムにも3Dのシミュレーションソフトが組み込まれていますが、レベルが低く、たとえ解像度の高い大型のスクリーンを使っていたとしても、コンピュータの数値だけですぐれたサーフボードを完成させるのは不可能です。
ハンドシェイプの欠点は再現性が無いため2度と同じボードが削れないことだと言われていますが、シェイプは毎回、驚きと進歩の連続で、今まで過去に削ったボードと同じものをシェイプする必要に迫られたことはほとんどありません。

私の場合、ハンドシェイプするにあたって、最初にある程度の数値は押さえますが、アウトライン、ロッカー、ボリューム配分、レールフォイル、コンケーブの深さ、位置など、最終的にはすべて直感的な感覚を優先し、決定しています。
目の前にあるボードを確認しながら、ロッカーやレールのつながり、ボリュームのバランス、エッジラインなどに細かい修正を加え、より完成度の高いサーフボードに仕上げます。

シェイプルームの中で、あなたの実際のサーフィンをイメージしながら作業を進め、さまざまな要求を新しいボードの中に削りこんで行きます。
このようにして出来上がったボードは二度と同じものを削ることはできませんが、 世界に一本しか無い、あなただけの特別なサーフボードとなります。