
― フィンセッティングで変わるサーフボードの性格 ―
※ここで述べる内容は、あくまで OGM 個人のコンセプトと見解です。
他のシェイパー・メーカー・ショップの考えを否定するものではありません。
サーフボードの性能を大きく左右する要素のひとつに、フィンセッティングがあります。
フィンはボードの中では小さなパーツですが、
その本数や配置が変わるだけで、ボードの性格は大きく変わります。
スピードの出方。
ターンの感覚。
波のラインの取り方。
同じボードでも、
トライ(3フィン)とクアッド(4フィン)では
まったく違う乗り味になることも珍しくありません。
今回は、サーフボードで最も一般的な
トライフィン(3フィン)
クアッド(4フィン)
この2つのフィンセッティングの違いについて、
シェイパーとしての視点も交えながら整理してみたいと思います。
1. トライフィン(3フィン)の特徴
現在もっともスタンダードなフィンセットで、
いわば “教科書的なオールラウンドセッティング” です。
幅広いコンディションで扱いやすく、
安定したコントロール性能が魅力です。
● 特徴
- 安定したドライブ感
- コントロール性が高く、ターンの切り返しがしやすい
- 直進性と旋回性のバランスが良い
- パワーのある波でも安定感が高い
- オールラウンドに対応できる定番セッティング
● 乗り味
トライ特有の 「軸で回す」ターン感 があり、
レールワークとピボット感のバランスが心地よいのが特徴です。
ひと言で言うと
コントロール重視。
安定したターン性能を求める方向け。
2. クアッド(4フィン)の特徴
クアッドは センターフィンが無い構造のため、
水の抵抗が少なく、スピード性能に優れたセッティングです。
特に
小波やパワーの弱い波でも走り出しが速い
という特徴があります。
● 特徴
- 圧倒的な加速力
- 小波でも走り出しが速い
- レールホールドが強い
- ダウンザラインのスピードが出やすい
- ピボットターンはやや苦手
● 乗り味
横方向への伸びが強く、
波のラインに沿ってスピードを維持するサーフィンがしやすいのが特徴です。
ひと言で言うと
スピード重視。
横への伸びや加速感を求める方向け。
トライは「ターンで波に乗る」感覚。
クアッドは「スピードで波を走る」感覚。
3. ビッグウェーブでクアッドが増えた理由
近年、
ジョーズ・ナザレ・マーヴェリックスなどのビッグウェーブでは
クアッドセッティングが増えてきています。
その理由は、巨大な波で必要になる 高速性能と安定性 にあります。
① 圧倒的なスピード性能
ビッグウェーブでは
遅い = 危険
センターフィンがないことで抵抗が減り、
巨大なフェイスを滑り降りるための
強い加速力を得ることができます。
② 高速域での安定したホールド
高速になるほど
センターフィンは抵抗になりやすくなります。
クアッドはレール側の4枚でホールドを分散し、
高速でも安定したグリップを生みます。
③ 高速でのライン変更のしやすさ
ビッグウェーブでは
ターンというより ラインを切り替える動き が多くなります。
クアッドはレール to レールの切り返しが軽く、
高速でもスムーズにラインを変えることができます。
4. ロングボードでのフィン設定(簡単に)
ロングボードでもフィン設定によって
乗り味は変わります。
トライ(2+1) は
- 安定感が高い
- ピボットターンがしやすい
- ノーズライディングと相性が良い
という特徴があり、
クラシック~オールラウンド系のロングボードに多いセッティングです。
一方 クアッド は
- スピードが出やすい
- 重いロングでも走り出しが速い
- ダウンザラインの伸びが良い
といった特徴があり、
モダンロング系で使われることが増えています。
シェイパー視点から見たフィンセッティング
シェイパーの立場から言うと、
トライにするかクアッドにするかは、フィンを付ける段階で決めるものではありません。
多くの場合、ボードを設計する段階で
どちらのフィンセットで乗るボードなのかはすでに決まっています。
なぜなら、フィンは単独で働くパーツではなく、
- アウトライン
- ロッカー
- ボトム形状
- レール形状
- テールデザイン
こうした ボード全体の設計と一体になって機能するものだからです。
トライとクアッドは
どちらが優れているというものではありません。
それぞれが持っている
スピードの作り方やターンの感覚が違うだけです。
自分のサーフィンスタイルや波質に合わせて
その違いを理解して選ぶことが、
サーフィンをより楽しくしてくれると思います。
フィンは小さなパーツですが、サーフボードの“性格”を決めています。