コバルトボード

tumblr_m7aq2c2UKD1r9l7xlo1_500

私は小さく凝縮されたカッコいいボードが好きだ
子供の頃、初めて鉄腕アトムの弟コバルトを見たときはちょっとショックだった、顔が間延びしていてマヌケな感じなのだ。

コバルトはひょうきんで性格が優しく、大好きなのだが、サーフボードとなると別の話。
わたしは間延びしたマヌケなボードはシェイプしたくない。

IMG_0276

こんなボードはゴメンです

新しいボードをデザインするときに考えること
私はシェイプするとき、浮力、揚力、レールボリュームなどを考えながら、速いテイクオフ、高い加速性、安定性などの能力をボードに盛り込む。
これらの
要求をすべて満たそうとすると、ボードの各部はどんどん大きなものとなっていく。
長さ、幅、厚さをそのまま維持しようとすれば、ノーズが広がり、テールが広がり、アウトラインやロッカーは単調なストレートなものになってしまう。
いろいろな部分に余分な浮力や広さを持つことで、サーフボードは同じスペックでありながら、どんどん大柄なものになっていく。
すると、トップスピードは低下し、動きの鈍い、間延びしたボードとなってしまう。

カッコ悪いボードは好きじゃない
私の理想のシェイプは、必要な揚力と浮力を確保しながら全体的にスッキリと小さく小柄なボードにまとめることだ。
「最小のボリュームで最大の揚力を得ること」
これがすべての
OGMサーフボードに流れるコンセプトだ。
これを追求することで、速く、加速性が高く、コントロールのしやすいボードが生まれる。

ogm54563

OGMサーフボードはすべてが小さい
私のサーフボードは同じスペックの他のボードと比べると、数字から来る大きさよりもずっと小柄に見えるはずだ。
私はボードを考えるときに、たとえばテールとかレールとか、ボードの一部分だけを見て判断しない。
それぞれのつながりを最重視し、効率良くボード全体を使えるようなデザインを考えている。
サーフボード全体を使うことで、各部にたまった余分なボリュームを捨てることが可能となる。

そして、サーフボードはすべて曲面でつながっているため、ロッカーもアウトラインもそれぞれ独立した要素とは考えない。
ターンしている時、斜めにレールが沈み込んだボードをイメージして欲しい。
この時、アウトラインはロッカーのように使われ、ロッカーはアウトラインのように使われていることに気がつくはずだ。
理想的なサーフボードは、ロッカーとアウトラインの間に特異点(境界点)が無く、それはロールやピッチの角度の変化でスムーズに切り替わる。
それは同時に、デッキラインもボトムロッカーと同じように大切だということを認識させられる。
このようにボードを総合的、全体的にとらえることが最も重要で、そこからデザインをスタートさせる。
そして容赦なく不要な部分を削ぎ落としていく。

余分なボリュームを持たないボードはスピード性が高く快適だ
この努力を続けることで最高の性能を持ちながら、小さくて非常に扱いやすいボードが誕生する。
これらをシェイプ中ずっと考えながら繰り返し、すべてのボードに対して行う。

シェイプは戸惑うことばかりだが、強い意志で考えて行けばパズルは解ける
解けない謎は1つもない。
サーフボードのシェイプはとても芸術的だが、裏側にはまぎれもなく物理学が働いている。
デザインを決定する上で物理学と数学の知識はとても重要だ。
そして、失敗の原因をさぐる上でもその知識はひじょうに大切だ、知識を持ち合わせないと何度も同じ間違いを繰り返してしまうことになる。