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中級者向け:上達するサーフボード選び

波を安定してつかまえられるようになったら、次はいよいよマニューバーに挑戦する段階です。

サーフィンのマニューバーには、ボトムターン、トップターン、オフザリップ、フローター、カットバックなど、さまざまな技があります。
しかし、実はこれらのほとんどは左右のターンの組み合わせで成り立っています。
つまり、フロントサイドとバックサイドのターン、この2つを完全にマスターすれば、多くのマニューバーをメイクできるようになります。

ターンはシンプルな動作ですが非常に奥が深く、上手なサーファーのターンはレールの入り方がスムーズで力強く、とても美しいものです。

中級者がさらに上達するためには、ターンを習得しやすいサーフボードを選ぶことが重要です。
ただし、「ターンしやすい」とは単に「動きが軽い」という意味ではありません。
同様に、動きにくいボードが適しているわけでもありません。

ターンのきっかけをつかみやすくするためには、レールが厚すぎないボードが理想的です。
また、適度な浮力があり、失速しにくくスピードが安定するボードを選ぶことがポイントです。

一方で、早いテイクオフを求めてノーズやテールを広くしすぎたり、ロッカーが弱すぎるボードを選ぶと、ターンのコントロールが難しくなるため注意が必要です。

サーフボードには、アウトラインやロッカー、ワイデストポイントの位置、ノーズやテールの幅、ボリュームバランスなど、さまざまな重要なスペックがあります。
ボリュームは重要な要素ですが、同じボリュームでも乗り味が異なるボードが無数に存在します。
近年ではマシンシェイプの普及により、ボリュームが数値で表示されることが増えていますが、
「長さを短くした分幅を広げてボリュームを同じにしたから大丈夫!」
などと一言で言えるほど単純なものではありません。

極端なデザインを避け、全体がきれいなカーブでまとまったスムーズなデザインのボードが理想です。
ロッカーも、ノーズやテールで極端な変化がないナチュラルなタイプを選ぶと良いでしょう。

上達への近道は、信頼できるお店や、あなたのサーフィンスタイルをよく理解している人に相談し、自分にぴったりのサーフボードを見つけることです。
自分に合っていないボードで練習を重ねても、なかなか上達しないことがあります。
適切なボードを手に入れて、楽しく効率的にスキルアップを目指しましょう。

 

 

浮力と揚力の違い

初級者がサーフボードを選ぶ際に重視すべき要素は、主にボードの長さと浮力です。
ゲティングアウト(沖への移動)やテイクオフ(波をつかまえる動作)では、サーフボードの速度が比較的遅いため、揚力はほとんど発生しません。
この段階では、ボードの体積が生み出す浮力が、サーフィンを安定して行うための主な要因となります。

中級者がさらに上達するためには、自分に合った次のステップのサーフボードを選ぶ必要があります。
テイクオフ後にボードの速度が上がると、サーフボードに揚力が発生し始めます。
揚力は主にボトムの接水面から生まれる上向きの力で、その強さは非常に大きなものです。
たとえば、体積が25リットルのサーフボードの浮力は約25kgに相当します。
サーファーの体重が65kgの場合、ライディング中に浮力で支えきれない残りの40kg分は、ボードの速度によって生じる揚力で支えられます。(実際にはサーフボードが完全に水中に沈んでいるわけではないため、揚力の割合はさらに大きくなります)

揚力は浮力と異なり、取り扱いが難しい要素です。
ボードの速度が変化するたびに揚力の大きさも変わり、制御が難しくなることがあります。
具体的には、揚力は速度の2乗に比例して増加します。
そのため、ある速度で安定していたサーフボードが、波の大きなセクションや急激なスピードアップにより速度が2倍になると、揚力は4倍に増加します。
この時、体重は変化しないので、体を支えるための接水面積は逆に4分の1に減少します。
こうした接水面積の変化が、サーフィン中の不安定さを引き起こす原因となります。
例えば、小波用の広いテールを持つサーフボードで大きな波に乗ると、揚力が増加してノーズが浮き上がり、ボトムターンが困難になることがあります。
この現象を経験したサーファーは少なくないでしょう。
ターンがまだ安定しない中級者にとっては、速度変化による揚力の影響を受けにくいサーフボードを選ぶことが重要です。
これにより、ボードの制御がしやすくなり、スムーズなターンやライディングを習得しやすくなります。

 

OGMでは、サーフボード、サーフクリニックなどに関する無料相談を行っております。
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初級者向け:上達するサーフボード選び

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サーフィンを始めたばかりの初心者にとって、早く上達できるサーフボードとはどのようなものなのでしょうか?

「絶対にロングボードが良い」と主張する人もいれば、「短めで十分な浮力を持つボードが適している」と考える人もおり、意見はさまざまです。
実際には、波のコンディション、体重、年齢、サーフィンの頻度など、個々の条件に合わせてボードを選ぶことが重要かもしれませんね。

そんな中、茨城県大洗でサーフスクールを運営するウェッジ サーフショップの小野瀬さんに、初心者が効率よく上達するためのボード選びについて伺いました。

小野瀬さんは、スクールに入った生徒が自分の手を離れ、一人で上達できるレベルに到達することがインストラクターの役目だと考えています。
体験レッスンとは異なり、ただボードを押してもらって波に乗るだけではなく、自分の力で沖に出て、入ってくる波を見極め、ボードを岸に向けてパドルを開始し、自分の力で波に乗れるようになることを目指して指導を行っています。
最終的には、基本的な右と左のターンをマスターするところまでをゴールとしています。

こうした一連の動作を習得するには、適切なサーフボードの存在が非常に重要だと小野瀬さんは言います。
彼は、十分な長さと浮力を持ちながらも、取り回しがしやすく、波に乗った後もコントロールがしやすいボードを選ぶことの必要性を強調しています。

一般的なサーフスクールでは、大きくて安定感のあるスポンジ製のロングボードがよく使用されます。
しかし、多くの初心者にとって、このような大きくて重いボードは、波を発見してから自分の元に到達するまでの短い時間内に向きを変えるのが難しいのが実情です。

そのため、最初からノーズ(ボードの先端)を岸に向け、沖に背中を向けた状態で波を待ち、インストラクターの掛け声を合図にパドルを始めるという方法が取られることが多いです。
しかし、この方法では、自分で波を見て判断する経験が積めず、波に乗るタイミングをつかむ力がいつまでたっても身に付きません。
また、大きすぎるボードでは十分なパドル力を養うことも難しくなります。

そのため、小野瀬さんは、サーフィンの上達を目指すなら、スクールの比較的早い段階で、自分のスキルアップに適したボードを使って練習することが特に重要だと強調しています。

 

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魔法のボード

小野瀬さんのスクールで使用されているサーフボードは、7’6”クラスのミディアムサイズのもので、「魔法のボード」と呼ばれています。
このボードは、10年以上前に初心者のためにオーストラリアで特別にデザインされたもので、幅はそれほど広くなく、見た目は一般的なサーフボードにしか見えません。
しかし、ロッカーは控えめながら、ターン性能を考慮して全体が自然なカーブでしっかりとつながっており、設計に工夫が施されています。

なぜ「魔法のボード」と呼ばれるのか。
それは、このボードが非常に乗りやすく、生徒が勝手にうまくなってしまうのだそうです。(教えるのが上手いからだと言わないところが小野瀬さんらしいですが……)

小野瀬さんは、このボードさえあれば、あとは
「波に乗るタイミングを覚えること」

「波に乗るために必要なパドル力を身に付けること」
この2つだけを習得すればよいと断言します。

スクールでは、このボードの扱い方を中心に指導が行われ、生徒たちは自分の力で沖に出て、波を選び、自らテイクオフする方法を学びます。

このボードは、ゆっくりと傾けるだけで自然に曲がるように設計されているため、波に乗る練習をしているうちに、楽しみながらパドル力やターンに必要なバランス感覚を自然と身に付けることができます。

「たったこれだけ?」
と思うかもしれませんが、この一連の動作には、初心者が必要とするすべてのスキルが詰まっているのだと小野瀬さんは言います。

そして、このボードでサーフィンの基本をマスターすれば、
「スピードを付けられないショートボーダーや、ターンができないロングボーダーは居なくなる」
と語っています。

 

OGMエントリーボード

OGMでは、小野瀬さんがレッスンで使用しているボードを参考に、初心者が自分の力でレベルアップできる最適な入門ボードを考案しました。
このボードは、最新のマシンシェイプ技術を用いることで、製造コストを大幅に削減しています。
通常、ハンドシェイプで同じサイズのボードを製作すると、価格は18万円を超えることが一般的です。
しかし、まだ自分のライディングスタイルが確立していない初心者に対して、ハンドシェイプによる個別調整は必ずしも必要ではないと判断しました。
そのため、モデルごとの性能を安定して引き出せるマシンシェイプを採用しつつ、長さ、幅、厚さなどのカスタムオーダーにも対応しています。
この結果、高品質かつ手頃な価格の入門ボードを提供できるようになりました。

OGM エントリーボード の詳細はこちら
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これからの時代のシェイパー

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優れたシェイパーは、優れたサーファーか?

優れたシェイパーであるためには、優れたサーファーであることが不可欠だと言われています。
その理由は、サーフボードに作用する力が流体力学やアルキメデスの原理に基づいているとはいえ、波という三次元的に歪んだ曲面上を滑走するため、非常に複雑で解析が難しいからです。

このため、サーフボードのデザインには理論的なアプローチだけでなく、実際のライディング経験に基づいた感覚的な理解が重要となります。
シェイパーが生み出したサーフボードは、実際に波に乗って初めてその性能が評価されます。
そして、ボードデザインを変えた際に生じる乗り味の違いを、誰よりも的確に体感し判断できる能力がシェイパーには求められます。
シェイパーは、頭だけでなく、自らの身体でボードデザインを理解する必要があるのです。
こうした背景から、「優れたシェイパーは優れたサーファーである」と言われています。

 

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では、優れたサーファーは優れたシェイパーか?

従来の答えは「NO」でした。シェイパーには、頭の中にあるデザインを具体的な形にする技術が求められます。
サーフボードは複雑な三次曲面で構成されており、それを美しく削り上げる作業は非常に難しく、まともな形のボードを作るだけでも、最低1000本はシェイプしないと習得できないと言われてきました。

しかし近年、優れたシェイプマシンと使いやすいソフトウェアの登場により、このハードルは下がりつつあります。
シェイプマシンで荒削りされたボードは最終的に手作業で仕上げる必要がありますが、その作業には高度な技術は求められません。
その結果、一部の優れたサーファーが、優れたサーフボードをシェイプすることが可能になってきています。

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サーフボードシェイプの新時代

サーフボードのシェイプは、新たな時代へと突入しました。
これは単にハンドシェイプかマシンシェイプかという削り方の違いを指すのではなく、これまで一体だった「職人的な技術」と「ボードの特性(乗り味)」が分離され、サーフボードが純粋に性能で評価される時代になってきたということです。

シェイプマシンはあくまで道具に過ぎません。
重要なのは、デザインを変更したときにボードの性能がどう変化するのかを、理論的・体感的・直感的に予測し、理解し、分析する想像力です。
ボードの見た目の美しさも重要ですが、それ以上に大切なのは性能です。
サーフボードを走らせるのは、紛れもなく物理学です。
見た目だけでなく、数学的・力学的にも美しく、高性能なサーフボードを生み出すことが、シェイパーの役割です。

 

「似て非なるもの」

しかし、精密なシェイプマシンの開発が進むにつれ、音楽の世界と同じようにコピーが出回る時代がやってきました。
本来、サーフボードのデザインには長年の経験と試行錯誤が詰まっています。
けれども、シェイプデータさえあれば、誰でも簡単に形だけは再現できてしまう時代になったのです。
しかし、形だけを真似したボードと、本当に機能するボードには決定的な違いがあります。

これからのシェイパーには、従来の職人的技術だけでなく、デザイナーやエンジニアとしての能力がより一層求められる時代が訪れています。
単なるコピーではない、独自の理論と経験に基づいたシェイプを提供することこそが、本物のシェイパーの価値なのです。

 

シェイパーへ質問する

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー⑤

スコアーのしくみ5

私がサーフィンを始めたばかりの頃は、海から上がるとこんな感じでした

 

ジャッジ基準

ジャッジの仕事は「上手いサーフィンにより高いポイントを与える」ことです。
これはWCTでも、ローカルコンテストでも変わりません。
では、そのうまさとは何を基準に判断しているのでしょうか?

ルールブックの中には、ジャッジが何について判断し、どのようにスコアを決定すべきなのかを書いた「ジャッジ基準」というものが存在します。
ジャッジ基準は選手とジャッジとの間で交わされた採点に関する取り決めで、ジャッジはこの基準に一番近いサーフィンをした選手に一番高い得点を与えます。
これは選手からすると、どんなサーフィンをすれば高い得点がもらえるのかが書かれているわけですから、ジャッジ基準のようなサーフィンをすれば試合に勝てるし、認定試験にも合格できることになります。

ジャッジ基準は何年かごとに書き換えられています。
その時代のトップサーファーとその時のWSLインターナショナルヘッドジャッジとが話し合い、新しいサーフィンのマニューバを取り入れながら、どのようなサーフィンの技術が一番高く、一番上手いのかを考えて文章にしています。

 

WSLジャッジ基準

これが世界中で行われるほとんどの試合でベースとなっている「WSLジャッジ基準」の最新版です。
プロもアマチュアもジャッジ基準は世界共通です。
試合に勝つための答えはすべてこの中にあります。

WSL Judging Criteria
Surfers must perform to the WSL judging key elements to maximize their scoring potential.
Judges analyze the following major elements when scoring a Ride:

  •  Commitment and degree of difficulty(コミットメントと難易度)
  •  Innovative and progressive manoeuvres(革新的で進歩的なマニューバ)
  •  Combination of major manoeuvres(メジャーマニューバの組み合わせ)
  •  Variety of manoeuvres(マニューバの多様性)
  •  Speed, power and flow(スピード、パワー、フロー)

NOTE: It’s important to note that the emphasis of certain elements is contingent upon the location and the conditions on the day, as well as changes of conditions during the day.
NOTE: The following scale may be used to describe a Ride that is scored:
0–1.9 = Poor;  2.0–3.9 = Fair;  4.0–5.9 = Average;  6.0–7.9 = Good;  8.0–10.0 = Excellent

ジャッジ基準には独特の用語が使われています。
WSLのツアージャッジ達が実際のジャッジルームの中で使っているニュアンスをもとに、解釈のポイントを説明しますので、ぜひこの基準を自分のものにしてください。

コミットメント(積極性)
ジャッジの間では、高いリスクを払っているかどうかを見極める重要な言葉として、しばしば登場します。
波の最もきびしいセクションに果敢にアタックするマニューバには特に高いスコアを与えています。
また、1つのライディングの中で、いつ、そのマニューバを行ったのかも得点に影響します。
難しいマニューバをライディングの最初に入れる方が最後に入れるよりリスクの高いのは明らかで、ジャッジがファーストマニューバを重視するのはこのためです。

難易度
ジャッジはマニューバの難しさに得点を与えます。
マニューバーの回数やライディングの長さではなく、技術のレベルをスコアで表現します。
マニューバの量ではなく、質が重要です。

革新的で進歩的なマニューバ
今までに見たこともない新しいマニューバや、現在のマニューバをさらに進化させたものに挑戦してほしいという願いを込め、高い評価をしています。

メジャーマニューバの組み合わせ
マニューバを組み合わせること、そのつながり、連続させることの難しさを評価に加えています。

マニューバの多様性
サーファーが同じマニューバを何回も繰り返す単調なものではなく、ジャッジは1つのライディングの中に多種類のマニューバを要求しています。

スピード、パワー、フロー
スピードとパワーについては、トラックの深さ、レールの寝かせ方、スプレーの大きさなどから判断できるはずです。
この3つはすべてのマニューバの判断の基本となる部分です。
フローは、マニューバのつながりと共に、クリティカルなセクションの使い方や、波を読んだ的確なマニューバの組み立て方なども評価の対象としています。

NOTE:
そして最後に注意として、ジャッジ基準の中のどれを重視するかは、その試合の行われているロケーションや、その日のコンディションによって変化すると書かれています。

たとえばトラッセルズのようなポイントでは、革新的で進歩的なマニューバやその多様性が大きく評価されています。
それに対してパイプラインやタヒチなどのきびしい波では、エアリアルなどではなく、チューブの深さやテイクオフのポジションなどをコミットメント(積極性)や難易度を使って高く評価します。
また通常の試合では、波の大きさの違いをあまり評価に加えていませんが、ワイメアのような特別に大きな波で行われる試合の場合は、波のサイズが重要な要素となります。
巨大な波にテイクオフするサーファーというのは、最大級のコミットメント(積極性)を示すこととしてジャッジは高く評価しています。

 

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー④

 

 

公平な採点を心がける

採点では、良くないサーフィンにまで高得点を与えてスコア全体を引き上げるのではなく、良いサーフィンには高く、良くないサーフィンにははっきりと低い点数をつけることが重要です。

例えば、平凡なマニューバを何度も繰り返すことで不当にスコアが上がり、グッドスコアになってしまうケースがあります。
また、レールを使わずに行われたマニューバの連続に対し、アベレージスコアを与えてしまうこともあります。
ジャッジはライディングの長さやマニューバの回数に惑わされず、そのクオリティを正しく評価しなければなりません。

スコアの基準

  • 良いマニューバを含むライディングにはグッドスコアを
  • エクセレントなマニューバが含まれていればエクセレントスコアを
  • 平凡なマニューバしかなければアベレージスコアを

同じレベルのマニューバが繰り返されたとしても、採点スケールの範囲内で評価し、それを超えて高いスコアをつけないようにします。
これを徹底するだけで、スコアは一貫性を持ち、明確になります。
レールを使わずに行われた質の低いマニューバは、何回繰り返してもプアースコアにしかなりません。

 

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ジャイアント馬場の16文キックはエクセレントスコアですが、グレート東郷の塩まき目つぶしや、ミスター珍のゲタ攻撃はプアースコアでお願いします。

 

スコアが伸びない理由を考える

もし自分のスコアが伸び悩んでいると感じたら、そのマニューバが評価されていない可能性があります。
ジャッジは、マニューバの難易度を重視して採点します。

ジャッジ基準を再確認してみましょう。
そこには、高得点を得るためのヒントが書かれています。

スピードやパワーは十分か?
マニューバのつながりはスムーズか?
レールをしっかり使えているか?
コミットメント(攻めの姿勢)はあるか?
マニューバのポジションは適切か?
波のクリティカルなセクションで技を仕掛けているか?
技の革新性・進歩性はあるか?
マニューバの種類にバリエーションはあるか?
コントロールはしっかりできているか?
バランスを崩していないか?
そのセクションに最適なマニューバを選択しているか?

これらの要素がしっかり満たされているかを確認することが、高得点への鍵となります。

トップ選手も同じ基準で評価される

世界的なトップサーファー、ケリー・スレーターでさえ、同じジャッジ基準で採点されています。
ジャッジは、定められた基準に従い、公平かつ正確に採点することが求められます。

スコアを伸ばすためには、ジャッジ基準を深く理解し、それに沿ったサーフィンを心がけることが大切です。

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー③

 

スコアーレンジ

ジャッジは、採点スケールに基づいてスコアを決定します。
採点スケールとは、ジャッジシートの下部に記載されている「Good」や「Excellent」などのスコア区分のことです。

ライディングを分析し、
良いライディングであれば「Good6.07.9)」の範囲内から
・普通のライディングであれば「Average4.05.9)」の範囲内から
適切なスコアを選びます。

また、ジャッジは点数に明確な差をつけることが求められます。
そのため、2点や3点といった低いスコアの範囲内で勝敗を決めてしまうのではなく、10点満点のスケールを最大限に活用するよう教育を受けています。

採点スケールの重要性

採点スケールは、スコアの幅を持たせるために非常に有効な仕組みです。
たとえば、あるジャッジが1本のライディングに5.0点をつけたとします。
それを見たヘッドジャッジが問いかけます。

ヘッドジャッジ:「今のライディング、どうだった?」
ジャッジ:「良かったです。」

すると、ヘッドジャッジは次のようにアドバイスするでしょう。

「良かったと思うのなら、5.0点ではなく、‘Good6.07.9の範囲内でスコアをつければ、スコアリングの幅が広がり、10点満点をより適切に活用できるよ。」

このように、ジャッジが10点満点のスケールを幅広く活用することで、実力のある選手が適正に評価され、勝ち上がる確率が高くなります。

実力のある選手が勝ち上がるためのスコアリング

プロクラスの試合において、「Good6.07.9)」のスコアを出すのは簡単ではありません。
通常、1本のライディングの中に、難易度の高いマニューバを最低12回入れる必要があります。
これは、実力のあるサーファーでなければ獲得できないスコアです。

一方で、3.0点程度のスコアは、1本のライディングの中に簡単なマニューバを1回入れるだけで獲得できてしまいます。

仮に、技術の高いサーファーがヒートの時間内に良い波に恵まれず、1本しか良いライディングができなかった場合を考えてみましょう。
もし、そのライディングに5.0点しかつかなかった場合、簡単なマニューバを1回入れた3.0点のライディングを2本成功させた選手が合計スコアで勝ってしまう可能性があります。

さらに、もしエクセレントなサーフィンに対して7.0点しか与えられなかった場合、アベレージな4.0点のライディングを2本乗った選手に敗れてしまうことも起こりえます。

適正なジャッジングを目指して

ジャッジは、ライディングに含まれるマニューバを正しく評価し、本当に素晴らしいサーフィンをした選手が、適正に勝ち上がれるようなジャッジングを目指さなければなりません。

そのためにも、採点スケールを的確に活用し、スコアの幅を十分に使って採点することが重要なのです。

 

 

 

スコアの仕組み5ー②

 

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「残り時間1分!」
「ホワイトの選手がライディング!」
「現在2位のレッドを逆転するために必要なスコアは5.18ポイント!」

試合終了間際、ホワイトの逆転がかかる緊迫したシチュエーション。
このとき、私たちジャッジはどのように考え、採点しているのでしょうか?

今回は、私自身のスコアのつけ方を紹介しますが、おそらく他のジャッジたちも同じようなことを考えながら採点しているはずです。

ジャッジの思考プロセス

逆転に必要な5.18ポイントというスコアは、アナウンスで繰り返し流れるため、当然ジャッジの頭にも入っています。
しかし、私自身は「このスコアをつければ逆転するかどうか」をあまり深く考えていません。
なぜなら、最終的な得点は5人のジャッジのスコアの平均で決まるため、私ひとりの判断だけで結果が変わるわけではないからです。

さらに、極端に高すぎるスコアや低すぎるスコアは、集計システムによってカットされ、最終的な平均点に反映されません。
そのため、ジャッジがすべきことはただひとつ──ライディングを冷静に分析し、自分の意見として適切なスコアをつけることだけです。

ヒート終了間際のスコアの決め方

ヒートの序盤であれば、比較対象が少ないため、ある程度広い範囲でスコアを決めることができます。
しかし、試合の後半になると、すでに確定したスコアがスコアシート上に多数存在するため、新たなライディングの評価は、それらと比較しながら慎重に決定しなければなりません。

例えば、ホワイトの選手の6本目のライディングが「5.0点くらいかな」と思ったとします。
その場合、比較対象となるのは、すでにスコアが確定しているイエローの3本目(5.0点)。

そこで、イエローのライディングの内容を頭の中で振り返ります。
「最初のマニューバは少し甘かったが、2回目のターンはシャープだった。3回目のカットバックも悪くなかったな

次に、ホワイトの今回のライディングを思い出します。
「ターンの流れは良かったし、全体的にまとまったライディングだった。
しかし、イエローの2回目のターンのような鋭いアクションはなかった

この時点で、ホワイトのライディングに5.0点以上をつける理由はないと判断します。
つまり、私のスコアの中ではホワイトの逆転はなくなりました。

次に、ホワイトのライディングをレッドの4本目(4.5点)と比較します。
「レッドのライディングはターンのコンビネーションが綺麗だったが、少しパワーが足りなかった。ホワイトの方が良いサーフィンだったな

こうして、私はホワイトのライディングに4.5点以上をつけるべきだと判断します。

限られたスコアの選択肢

この段階で、ホワイトに与えられるスコアの選択肢は4.64.74.84.94つに絞られます。

  • イエロー(5.0点)に近ければ4.8
  • レッド(4.5点)に近ければ4.7
  • ほぼイエローに匹敵すると判断すれば4.9

このように、ヒートの後半ではスコアの幅が限定され、雰囲気や感覚でスコアをつけることはできません。

ジャッジのスコアは相対的に決まる

ジャッジのスコアは個々に異なりますが、それぞれのジャッジが同じような比較・分析を行いながら採点しています。
最終的な得点は、5人のジャッジのうち、最も高いスコアと最も低いスコアがカットされ、残り3人の平均値が採用されます。

このとき、ホワイトの選手が逆転するかどうかは、ジャッジ個人の意識の中にはありません。
ただ目の前のライディングを、すでに確定したスコアと比較しながら評価するだけなのです。

誤解されがちなスコアリング

このように相対評価で決まるスコアは、観客にとって「あるときは厳しく、あるときは甘く」感じられることがあります。

例えば、観客の中には、
「今のホワイトのライディングは最低でも5.2ポイントはあったはず。ジャッジの採点はおかしい!」
と主張する人もいるかもしれません。
しかし、スコアはそのライディング単体ではなく、ヒート全体の中の他のスコアとの比較で決まるものです。
そのヒートの最初から最後までの流れを見れば、妥当なスコアだったことが理解できるはずです。

このようにして、ジャッジは冷静にスコアを決めています。
ある1本のスコアは「適当に決められたもの」ではなく、すべてのライディングとの比較によって導き出された結果なのです。

 

スコアの仕組み5ー①

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「えっ、おかしいな? いつもなら56点は出るのに、今回は4点か
この試合のジャッジは俺のことが嫌いなのかな?」

こんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
でも、安心してください。
ジャッジは選手の好き嫌いで点数をつけることはありません。
しかし、同じようなライディングでもスコアが変わることは実際にあり得るのです。
今回は、その理由を採点の仕組みから説明します。

サーフィンのスコアは固定ではない

サーフィンの採点は、「特定の技をしたら何点」といった絶対的な基準では決まりません。
例えば、「オフザリップを2回してカットバックをしたから5点」といったルールは存在しません。

また、10点満点の基準も固定ではありません。
例えば、WCT(ワールドチャンピオンシップツアー)では、タヒチやパイプラインの大波での10点もあれば、オンショアのジャンクな腰波での10点もあります。
同じ10点でも、ライディングの内容はまったく異なります。

さらに、ディビジョン(クラス)によっても評価基準は異なります。
プロクラスの10点と、ビギナーズクラスの10点は当然ながら違うものです。
このように、スコアは環境やクラスによって変わるため、サーフィンの採点には相対評価が用いられます。

相対評価とは?

サーフィンのスコアリングでは、絶対的な基準ではなく、その試合の波のコンディションや他の選手のライディングと比較して点数が決められます。

試合は「ヒート」と呼ばれる小さなグループ(24人)で行われ、勝ち上がった選手が次のラウンドで新しいヒートを作って戦うトーナメント方式です。
この方式により、同じヒートの選手は同じ条件で競うことになり、不公平が少なくなります。

ジャッジは新しいライディングを見たとき、同じヒートのスコアシートの中から、クオリティが最も近いライディングを基準として考えます。
その基準より良ければ高いスコア、劣っていれば低いスコアがつけられます。

例えば、
今のライディングはこのヒートのRed3本目(4.5点)より良く、Yellow2本目(5.0点)より劣る 4.7
というように判断されるのです。

ジャッジは感情で採点しない

ジャッジは雰囲気や気分でスコアをつけるわけではありません。
そのヒート中のライディングを記憶し、マニューバ(技)の分析を行い、他の選手との比較をしてスコアを決めます。
記憶が曖昧な場合はリプレイシステムを使って検証しながら、ヒート中ずっとこれを繰り返します。

4点しか出なかった」と感じるのは、すでに他の選手のライディングに対して4.5点が確定しているため、それより評価が低いと判断されたからです。
逆に「6点がついた」のは、それより悪いライディングに5.5点がついているためです。
ただ、それだけのことなのです。

試合中は、1本のスコアに一喜一憂するのではなく、もしスコアが伸びないと感じたら「相手のサーファーのライディングの方が良かった」と考えてください。
相手より優れたライディングをすることで、はじめてそれ以上のスコアを得ることができるのです。

 

レールサーフィン

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短くて幅広く、丸くて平らなサーフボードに乗ると、誰でも簡単に即座にターンすることができます。

小さな波であれば、スープやリップに当てることも可能かもしれません。

このタイプのサーフボードはフラットな形状であり、ボトムの腹部を使ってターンするため、ノーズの向きが頻繁に変わります。
このノーズを左右に振る動作は「Yaw(ヨー)」と呼ばれますが、ジャッジの評価対象にはなりません。
なぜなら、レールを使っていないからです。

もう一度強調しますが、サーフィンのターンにおいて「Yaw(ヨー)」は適切ではありません。

 

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どこかの誰かの写真をお借りしました。ありがとうございました。

このケリーのカットバックの写真をご覧ください。

リップの直前に、カットバックのトラックの始まりが見えます。
ケリーのボードのノーズが180°回転するまでに、ボードが進んだ距離(トラックの長さ)は、おそらく5メートル以上、場合によっては10メートル以上に及ぶでしょう。

本物のサーファーのカットバックは、単にノーズを横に振るだけの小さな動作ではありません。
想像以上に大きな動きで、波のトップからボトム、カールの端からショルダーの端まで、広いスペースを使って行われます。
一方、ノーズを左右に振るだけのサーフィンでは、わずか1メートル四方程度のスペースでマニューバを行っているに過ぎません。

落ちてくるリップにボードを当て、元の進行方向とは逆にノーズを向けることで、オフザリップやカットバックを完璧に決めているつもりかもしれません。
しかし、実際には周りの誰の目にも止まりません。
ボードがまともに走っていないため、波の上にトラック(軌跡)が何も残りません。

 

1無題ライン

 

ちなみに、私はシェイパーなので、この写真の中でケリーのボードがどれほどロールしているのかをシェイププログラムを使って検証してみました。
シェイプルーム内のボードに、この写真と同じ角度に見えるようRoll(ロール)とPitch(ピッチ)を加えてみたのです。

 

3無題

 

2枚目の画像は、視点を変えてノーズ側からボードを見たものです。
すると、ボードが想像以上にロール(傾き)していることが分かります。
また、ターンするためにはロッカーが非常に重要であることにも気づくでしょう。
さらに、ターンを安定して維持するためには、ボードの速度による遠心力とレールのフォイル、ボリュームのバランスが大きな役割を果たしているのです。

 

「良く走るサーフボードは曲がらない」なんてウソです。

ボードは、スピードを持って走ることで曲がります。
サーフボードがターンするのは、ロール(傾き)させて走った結果なのです。
そして、ターンの鍵となるのはロッカーの設計です。

これがレールサーフィンです。
サーフィンの基本はボードスピード。
「止まったサーフィン」から卒業しましょう。

 

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コバルトボード

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私は小さく凝縮されたカッコいいボードが好きだ
子供の頃、初めて鉄腕アトムの弟コバルトを見たときはちょっとショックだった、顔が間延びしていてマヌケな感じなのだ。

コバルトはひょうきんで性格が優しく、大好きなのだが、サーフボードとなると別の話。
わたしは間延びしたマヌケなボードはシェイプしたくない。

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こんなボードはゴメンです

新しいボードをデザインするときに考えること
私はシェイプするとき、浮力、揚力、レールボリュームなどを考えながら、速いテイクオフ、高い加速性、安定性などの能力をボードに盛り込む。
これらの
要求をすべて満たそうとすると、ボードの各部はどんどん大きなものとなっていく。
長さ、幅、厚さをそのまま維持しようとすれば、ノーズが広がり、テールが広がり、アウトラインやロッカーは単調なストレートなものになってしまう。
いろいろな部分に余分な浮力や広さを持つことで、サーフボードは同じスペックでありながら、どんどん大柄なものになっていく。
すると、トップスピードは低下し、動きの鈍い、間延びしたボードとなってしまう。

カッコ悪いボードは好きじゃない
私の理想のシェイプは、必要な揚力と浮力を確保しながら全体的にスッキリと小さく小柄なボードにまとめることだ。
「最小のボリュームで最大の揚力を得ること」
これがすべての
OGMサーフボードに流れるコンセプトだ。
これを追求することで、速く、加速性が高く、コントロールのしやすいボードが生まれる。

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OGMサーフボードはすべてが小さい
私のサーフボードは同じスペックの他のボードと比べると、数字から来る大きさよりもずっと小柄に見えるはずだ。
私はボードを考えるときに、たとえばテールとかレールとか、ボードの一部分だけを見て判断しない。
それぞれのつながりを最重視し、効率良くボード全体を使えるようなデザインを考えている。
サーフボード全体を使うことで、各部にたまった余分なボリュームを捨てることが可能となる。

そして、サーフボードはすべて曲面でつながっているため、ロッカーもアウトラインもそれぞれ独立した要素とは考えない。
ターンしている時、斜めにレールが沈み込んだボードをイメージして欲しい。
この時、アウトラインはロッカーのように使われ、ロッカーはアウトラインのように使われていることに気がつくはずだ。
理想的なサーフボードは、ロッカーとアウトラインの間に特異点(境界点)が無く、それはロールやピッチの角度の変化でスムーズに切り替わる。
それは同時に、デッキラインもボトムロッカーと同じように大切だということを認識させられる。
このようにボードを総合的、全体的にとらえることが最も重要で、そこからデザインをスタートさせる。
そして容赦なく不要な部分を削ぎ落としていく。

余分なボリュームを持たないボードはスピード性が高く快適だ
この努力を続けることで最高の性能を持ちながら、小さくて非常に扱いやすいボードが誕生する。
これらをシェイプ中ずっと考えながら繰り返し、すべてのボードに対して行う。

シェイプは戸惑うことばかりだが、強い意志で考えて行けばパズルは解ける
解けない謎は1つもない。
サーフボードのシェイプはとても芸術的だが、裏側にはまぎれもなく物理学が働いている。
デザインを決定する上で物理学と数学の知識はとても重要だ。
そして、失敗の原因をさぐる上でもその知識はひじょうに大切だ、知識を持ち合わせないと何度も同じ間違いを繰り返してしまうことになる。

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