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Over Drive

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セミガンからミニガンへ

従来、大きな波に対応するには、長くて細身のサーフボードが推奨されるとされていました。
しかし、近年のシェイプ理論と技術の進化により、この考え方が大きく変わりつつあります。
現在では、従来のセミガンモデルに比べ、より短く、幅広で、ボリュームのあるボードが主流となっています。

Over Driveはその代表的なモデルで、短いサイズながら、頭オーバーからダブルサイズの波まで対応可能なデザインです。
幅広で十分な厚みを備えた特徴的な形状ながら、アウトラインは滑らかなカーブを描いており、取り回しの良さと優れたテイクオフ性能を両立しています。
操作性に優れ、小柄なボードでありながら安定感のある乗り心地を実現しました。

このボードのアウトラインは非常にスムーズで、高速なドライブターンにおいても正確なコントロールが可能です。
小波から大波までオールラウンドに対応する優れた性能を発揮しますが、特に波が大きくなるほど安定感とブレのないターン性能が際立ちます。

また、このモデルはアウトライン、ロッカー、レールフォイルのすべてがスムーズなカーブで構成されているため、実際のスペックよりもずっと小柄で洗練された印象を与えます。
大波でこのボードの性能を最大限に引き出したい場合は、現在使用しているボードよりも少し長め、広め、厚めのサイズをオーダーすることをおすすめします。

 

5’10” (178cm) 19″ (48.3cm)
19 3/8″ (49.2cm)
2 7/16″ (6.19cm)
2 1/2″ (6.35cm)
28.0L
29.1L
6’0″ (183cm) 19 3/8″ (49.2cm)
19 3/4″ (50.2cm)
2 1/2″ (6.35cm)
2 9/16″ (6.51cm)
30.1L
31.4L
6’2″ (188cm) 19 3/4″ (50.2cm)
20 1/8″ (51.2cm)
2 9/16″ (6.51cm)
2 5/8″ (6.67cm)
32.3L
33.7L

 

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波の優先権 「先に立った方が優先じゃないの?」

 

 

おめ、あとかい立ったっぺ

波の優先権 「先に立った方が優先じゃないの?」

試合中、選手たちはギリギリの状況で戦っています。
そのため、相手選手と接触したり、同じ波に乗ってしまったりと、お互いの演技を妨害する状況が発生することがあります。
こうした場合、ジャッジはどちらが悪かったのかを判断しなければなりません。
今回は、コンテストにおける波の優先権(所有権)の判断方法について説明します。

ファーストスタンディングルールの時代

日本のアマチュア試合では、長い間「ファーストスタンディングルール」が主流でした。
このルールでは、先に立ったサーファーがその波の絶対的な優先権を得ることができます。
たとえ波のショルダー(肩側)にいたとしても、先に立ち上がればその波の権利を得ることができたため、長いボードを使用するサーファーや、体重が軽くテイクオフの早いサーファーにとって非常に有利なルールでした。
このルールはジャッジにとっても非常に判断しやすく、どちらが先に立ったかさえ見極めれば、経験の少ないジャッジでも簡単に判定することができました。
昔、スコアをマニューバーの回数やライディングの長さで採点していた時代の考え方に近いものです。

ルールの変化と進化

しかし、サーフィンの進化とともにマニューバーの基準も変わり、パワーや過激さ、波のクリティカルセクション(最も掘れている部分)での演技が重視されるようになると、この優先権の判断では実態にそぐわなくなりました。
カール(波の最も掘れた部分)に近い厳しいセクションから立ち上がる選手よりも、長いボードでゆるやかなショルダーから先に立った選手に優先権を与えてしまっては、パワフルで難易度の高いサーフィンの未来は育たなくなってしまいます。

現在のルールでは、立ち上がった時間に関係なく、波のカールに最も近いサーファーに優先権が与えられます。
ここで重要なのは、優先権を決定するのはあくまでもサーファーの波に対するポジションであり、「どちらが先に立ち上がったか」ではないという点です。
ファーストスタンディングルールは過去のものとなり、基本的には インサイドポジション(波の奥側) を取ったサーファーにその波の所有権が与えられます。

でも、これはあくまで試合のルール

ただし、これはあくまでもコンテストの中でのルールです。
いくら自分の波だからといって、フリーサーフィンでこれをやっていたら、間違いなく周囲から嫌われてしまいます。
海の中には、子ども、女性、先輩、後輩、レジェンドといったさまざまな立場の人たちが、それぞれ違った種類のボードでサーフィンを楽しんでいます。
ボディーボーダーやSUP(スタンドアップパドルボード)のサーファーもいます。
基本的には、自分よりも弱い立場のサーファーを守ってあげる姿勢を持っているサーファーの方が、ガツガツしているサーファーよりもカッコよく、周囲からも好かれます。

やはり、他のサーファーをリスペクトし、楽しく、仲良くサーフィンをする気持ちが大切ですね!

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EPSの長所と短所

サーフボードの芯材として使われるフォームは主に2種類あります。
一般的なのはPU(ウレタンフォーム)で、ほとんどのサーフボードはこれをポリエステル樹脂でラミネートする製法をとっています。
もう一つはEPS(発泡スチロール)を芯材に使ったもので、ラミネートにはエポキシ樹脂を使っています。

フォーム(芯材)の強度
ひと昔前までのEPSはとても弱く、セルの基本なっているビーズどうしの融着もいい加減で、そのままの標準ラミネートではとても耐えられないものばかりでした。
そのため、シェイプの段階で表面に硬質ウレタンなどをバキューム圧着してからラミネートする製法が主流でした。

現在のサーフボードに使われているEPSは非常に良くなっています。
安定したセルを持ち、目的に合わせて発泡密度を選べば、PUとほとんど変わらない強度のフォームが簡単に手に入ります。

ラミネートの強度
EPSのラミネートに使われるエポキシ樹脂は、PUで使われているポリエステル樹脂と比べると、工業的に非常に優れています。
強度試験のデータでは、ポリエステル樹脂の2倍以上の数値を持つ項目もいくつかあります。
もちろん、これは樹脂単体で計測した力学的な数値なので、単純にサーフボードが2倍強いという意味にはなりませんが、実際にポリエステルと同量のガラスクロスを使ってラミネートすると、かなり丈夫なボードができあがります。

重量の違い
EPSとPUのボードのラミネートの部分には、重量の違いはほとんどありません。
したがって、これらのサーフボードの重量の違いは、ほとんどすべて芯材であるフォームの重量(比重)の違いだと言えます。
EPSとPUの比重(単位体積あたりの重量)の違いはとても大きく、ボードの体積が増えるに従ってその重量の差はどんどん大きなものとなって行きます。
実際には体積の大きなボードほどEPSの比重の恩恵を受けるので、ショートボードよりロングボード、ロングよりSUPと、ボードが大きくなるにつれて軽さが際立ってきます。

現在、SUPに使われているフォームがほとんどEPSなのはこの理由からです。

EPSの長所と短所
では実際にサーフボードをEPSでつくると、どんなメリットとディメリットがあるかをサーフボードのタイプ別にお話します。
EPSについては、たくさんのサーフボードメーカーがそれぞれ違った評価をしているので、あくまでもOGM社の話ということで聞いてください。

 

コンペティションボード GHDnobu best現在OGMの標準的なショートボード(コンペボード)で、体重65kgくらいまでのサーファーのボードをPUでつくると、重量は2.2~2.8kgくらいです。
このクラスのサーフボードをEPSで軽くつくると、1.8~2.0kgくらいで仕上げることが可能です。 でも、軽すぎるボードに対して、ライダーの反応はイマイチです。
「ターンが安定しない」 「エアリアルの着水の時、ボードが沈まずに波から弾かれてしまう」 だいたいこのように、良くない意見が帰ってきます。

では、ガラスクロスを増やしラミネートを厚くして、重量をPUと同程度まで増やしたらどうでしょうか? とてつもなく丈夫なサーフボードができるのですが、硬すぎるボードはどうもコントロールが難しいようです。
「小さな波だとスピードが出て良いのだが、大きい波だとターンが難しい」 ライダーによって微妙に表現は違いますが、おおむねこんな感じの評価が多いです。
ライダーの好みでまちまちなので、はっきりとは言い切れないのですが、OGMでは5’8″以下のサイズのボードではPUが主流です。
そして、5’9″あたりから大きくなるにしたがってEPSでのオーダーが少しづつ増えて来て、全体としてのEPSの割合は25%程度となります。

大きめのコンペティションボード MC-1MC-1 身体の大きな人のボードをPUで作るとき、30ℓを超えるボードや6フィートを超えるボードでは、完成した重量が3kgを大きく超えてきます。
出来上がったボードを持つと、どうしてもズッシリとした感じの重い仕上がりで、試合向きのボードというイメージではありません。
このような時、EPSは非常に有効な素材となります。
EPSはテイクオフが早く、取り回しが軽いため、ボードの大きさを感じません。
また、EPSのボードが硬いという評価も、このクラスのボードを使うサーファーはガッチリとした体格が多いせいか、ほとんど聞かなくなります。
OGMではこのクラスのコンペボードのほとんどがEPSでのオーダーです。

また、サーフィンする機会の少ない人が、早いテイクオフやスピードを求め、自分の体格よりも大きめのボードを選ぶ場合にもEPSは有効となります。
ボードの重量がPUと比べて非常に軽くなっているので大きめのボードであっても、乗ってからのパフォーマンスにあまり影響を与えず、実際のその大きさを感じさせません。

 

EPSロングボード

現在のロングボードコンテストは主にクラシックマニューバーを中心としており、そのために以前ほどEPSの使用比率は高くありません。
しかし、EPSとPUの重量には1.5〜2.5kgの差があり、高いパフォーマンスを求めるロングボーダーたちにとっては、EPSはなお根強い人気を持っています。
実際、OGMでは約40%のロングボーダーがEPSを選択しています。

一方、ミッドレングスボードやクラシックロングボードは、クルーズ性能を重視しており、パフォーマンスよりもその乗り心地が売りです。
サーフボードの軽さはあまり重要ではありませんが、EPSは一般的に艶のある仕上げには向かないことがあります。
もし美しい仕上がりを求めるのであれば、PUボードを選ぶことをおすすめします。
深みのあるティントカラーやマーブル模様などは、PUボードとポリエステル樹脂の組み合わせの得意とするところです。
個性豊かなラミネートや仕上げ、カラーセンスにこだわった美しいPUボードを、カスタムオーダーすることも可能です。
このカテゴリーのOGMサーフボードは、ほとんどがPU素材を使用して制作されています。

 

 

 

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EPSの浮力についての考察

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「EPSの浮力が大きいのは、中に空気がたくさん入っているから」

こんな話を聞いたことはありませんか?
もしアルキメデスが耳にしたら、腰を抜かしてしまいそうな内容ですが、今回はそのEPSの浮力について考えてみたいと思います。

まず、サーフボードの浮力を計算してみましょう。
アルキメデスの原理によれば、浮力は次の式で表されます。

F = ρVg

  • F:浮力
  • ρ:ボードを浮かせている海水の密度
  • V:ボードの体積
  • g:重力加速度

地球上では重力加速度 g は一定なので、この式から分かるように、浮力は ボードの体積浮かせている液体の密度 で決まります。
海水の密度は場所や温度によって多少変化しますが、ほぼ一定と考えて問題ありません。
つまり、浮力の大きさは サーフボードの体積だけ で決まるのです。

したがって、サーフボードの内部に 空気ヘリウム、あるいは 水素ガス が入っていたとしても、浮力には影響しません。

しかし、実際にはサーフボードの自重による重力が浮力と相殺されるため、EPSで軽量化された分だけ 浮きやすく なります。
例えば、EPSで 体積30Lのボード を作ると、PU(ポリウレタン)よりも 約600g 軽くなります。

海水の密度を簡単のため 1g/cm³(= 1kg/L)とすると、30Lのボードの浮力は 30kg になります。

軽量化による浮力の増加率を計算すると、

0.6kg ÷ 30kg = 0.02 = 2%

意外なことに、EPSで同じサイズのボードを作っても、浮力は わずか2% しか増えていないのです。

しかし、実際にEPSのサーフボードに乗ったときの感触は、明らかに別次元のものです。
「たった2%の違い」とは到底思えないほど、大きな変化を感じる人がほとんどでしょう。

では、この感覚の違いはどこから来るのでしょうか?

その要因は、質量(慣性)の違い にあると考えられます。

例えば、PU製の体積30Lのサーフボードの質量が3kgだとすると、EPS製の同じボードは約600g軽量になります。
この600gの差は、次の計算から20%の質量差に相当します。

0.6kg ÷ 3kg = 0.2 = 20%

ニュートンの運動方程式(運動の第2法則)は、次の式で表されます。

F = ma

  • F:力
  • m:質量
  • a:加速度

この式によれば、質量 m加速度 a は反比例の関係にあります。
つまり、20%軽いEPSのサーフボードは、同じ力 F が加わったとき、20%大きな加速度で動きます。

その結果、わずかな力でもボードが大きく反応し、動きが機敏になります。
この特性が不安定さを生み出し、感覚的に「ふわふわする」乗り心地につながるのです。

これこそが、

「EPSの浮力が大きいのは、中にたくさん空気が入っているからだよ」

という誤解を生む、本当の理由なのかもしれません。

 

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EPSでサーフボードを作る際の適切なサイズ調整

では、実際に役立つ話として、EPSでサーフボードを作る際にどのくらい小さくすればよいのかを考えてみましょう。

単純に浮力を同じにするだけであれば、水の比重を1とすると、EPSの軽量化による浮力の増加分を補正するために、ボードの体積を0.6Lほど減らせばよいことになります。

これをマシンシェイプの設計プログラムでシミュレーションすると、6フィートクラスで、同じデザインのボードなら約1.6mm(1/16インチ)薄くシェイプすればよい計算になります。

また、幅と厚さをそのままにして長さを短くする場合は、ボードの形状にもよりますが、約4cm(1.5インチ)短くすれば同等の浮力になると考えられます。

ロングボードの場合の調整

ロングボードではどうでしょうか?

私がシェイプする9’0”クラスのPerformerは、体積が約60Lあります。これをEPSで作ると、約1.2kg軽量化できます。

この場合、浮力をそろえるために1.2L体積を減らせばよいので、先ほどと同じく約1.6mm薄くシェイプするのが適切な調整になります。

ロングボードにはレギュレーションがあるため、長さを短くするのは難しいでしょう。
その場合、同じ厚さのまま幅を調整して体積を減らす方法があります。
約1.2cm細くすれば、同じ浮力になる計算です。

ウェーブプールでの浮力変化

最近話題のウェーブプールについても、興味深い点があります。

真水のプールでは、サーフボードの浮力が減少します。
これは、海水と真水の比重の違いによるものです。

  • 海水1kg には 約30gの塩分 が溶けており、
  • 水温24℃ での比重は 約1.024 になります。

つまり、同じボードを真水のプールで使うと、浮力は海水より約2.4%減少することになります。

これは、先ほど計算したEPSによる浮力増加分(約2%)とほぼ同じです。

つまり、普段PUで乗っているボードとまったく同じサイズでEPSのボードを作れば、真水のウェーブプールでの浮力減少分をちょうど補うことができるのです。

これは、意外と理にかなった調整方法で、EPSボードがウェーブプールで良いフィーリングを生む理由の一つかもしれません。

 

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クセを個性に

 

photo Dave Yamaya

クセを個性に

これは、サーフクリニックの生徒さんの成長の記録です。
今から2年前、彼のサーフィンを初めて見たときの目標は「NSA2級合格」でした。

ライディング自体は大きく崩れていませんでしたが、ターンの際にスピードが落ち、前足付近のレールが水に刺さって失速する癖がありました。
ボードがスムーズに回転せず、体が前のめりになり、レール全体が水に食い込んでしまう。
前足への荷重はうまくできているものの、ボードがなかなか回転を始めないため、荷重を抜くタイミングが掴めずにいるようでした。

ターンの際に前足に荷重できるのは、サーフィンにおいて重要なスキルです。
彼の良さを活かしながら、クセを矯正し、サーフィンが上達するボードを考えました。

彼の乗っていたボードをチェックすると、いくつか気になる点がありました。

  • ノーズ寄りのレールが少し薄い
  • テールロッカーが弱め
  • テールのボリュームがやや厚い

どれも特別なデザインではないのですが、彼にとってはこれらがすべてノーズを沈ませる方向に働いていました。
これらの要素が重なった結果、彼のライディングに合わない特性が生まれてしまっていたのです。

そこで、彼のクセを矯正するためにシェイプしたのが次のボードです。

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OGM GHD-F 5’9″ x 18 3/4″ x 2 1/4″

  • GHDをベースに、ワイドポイント(W.P.)を1インチ前方へ移動
  • ノーズワイド(NW)を6mm広げる
  • テールワイド(TW)を5mm狭くする
  • それに伴い、ボリュームのバランスもやや前方へ

2級は手ごわいぞ」と思いながら、「うまく乗れるといいな」と期待していました。

 

 

2級合格、そして新たな目標へ

その後、彼はビデオを持って店に来たり、一緒にサーフィンをしたりする中で、少しずつ上達していきました。
そうしているうちに、なんと念願のNSA2級に合格!
よかった、よかった!

そして次のステップへ。
今回の鴨川サーフクリニックで感じたのは、彼がもうこれまでのボードを卒業するタイミングに来ているということ。
前足荷重は、今や彼のスタイルとして確立され、個性となっています。

1級を目指すための課題は、

  • レールの切り返しを早くする
  • ファーストターンをもう少しシャープに
  • マニューバーのつながりを意識し、セクションを読む組み立てをする

そこで、新しいボードは前回の変更をほとんど元に戻しました。
余分なボリュームを省き、全体的にスッキリしたフォルムへ。
ほぼ標準的なGHDで、次は1級合格を目指します!

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OGM GHD-N 5’9″ x 18 3/4″ x 2 1/4″

 

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SuperFoil H1 (1989)

 

SuperFoil H1 (1989)

OGM社が1989年(平成元年)に開発した、初代の自作シェイプマシン(ロッカーマシン)です。
当時、私は31歳(動画の中でも若々しい姿です)。
ウインドサーフィンが爆発的に流行し、ディック・ブルーワーやジミー・ルイスといった名だたるシェイパーたちが、次々とセイルボードのシェイプを依頼されていた時代でした。

ウインドサーフィン界では、揚力と抗力のバランスを最適化しつつ、コントロール性を向上させることが求められ、特に風が安定したマウイでは、日々R&Dが繰り返されていました。
ボードテストでは、同じ失敗を繰り返さないためにロッカーの数値化が不可欠でした。
優れたボードを再現するためには、その数値をもとにロッカーテンプレートを作成する必要があります。
しかし、ボードの長さが少し変わるだけでロッカーも変わるため、当時は各メーカーが膨大な数のロッカーテンプレートを保管していました。

当時は現在のようなコンピュータ制御のシェイプマシンが存在せず、ロッカー管理は非常に手間のかかる作業でした。
そんな中で誕生した「シェイプマシン H1」は、手動制御ながらも、フレックス性を持つロッカーガイドに沿ってプレーナーを走らせ、ロッカーを正確にカットできる仕組みを採用していました。
当時稼働していた他のシェイプマシンとは異なり、数値によって直接ロッカーを管理できる方式を採用していたため、ロッカーテンプレートを大量に作る必要がなく、当時としては画期的な技術でした。

また、コンピュータで計算した最適な数値をロッカーに反映させたり、最速のボードのロッカーを計測し、このマシンを用いて再現することも可能でした。
サーフボードの数値化は、当時のOGMにとって最大のテーマだったのです。

 

当時の設計図というか、ラフスケッチがこれです。

CCI20150119_00000 CCI20150119_00002 CCI20150119_00008 CCI20150119_00003 CCI20150119_00005 CCI20150119_00006

 

MC1

 

もともと「MC1」は、体重が重いサーファー、体力の衰えを感じ始めたサーファー、そして初中級者向けにデザインされたモデルです。

体重が重いサーファーをしっかりと浮かせるためには、どうしても大きなスペックのボードが必要になります。
しかし、ボードが大きくなると動きが鈍くなり、加速性能も低下してしまうという課題があります。

そこで、MC1ではこうした課題を解決するための設計コンセプトを採用しています。
大きくラウンドしたアウトライン、細く絞り込んだテール、そしてボリュームを中央に集中させたデザインにより、ボード全体がコンパクトに感じられる仕上がりとなっています。

実際のサイズ感を感じさせないこのデザインが、軽快な操作性を生み出しています。
また、この軽快なコントロール性が体重の軽いサーファーや女性サーファーにも高く評価されており、現在では体重やスキル、年齢に関わらず、多くのサーファーに愛されるモデルとなっています。

なお、大きなスペックで製作する場合は、重量が増加することが避けられません。
そのため、このモデルではEPS/エポキシラミネートを選択することも有効な方法の一つとして考えられます。

MC1では、回転性を損なわないスロットチャンネルもかなり有効なデザインとなります

 

5’8″ (173cm) 19″ (48.3cm)
19 1/8″ (48.6cm)
2 3/8″ (6.03cm)
2 7/16″ (6.19cm)
26.4L
27.3L
5’10” (178cm) 19 1/8″ (48.6cm)
19 1/4″ (48.9cm)
2 7/16″ (6.19cm)
2 1/2″ (6.35cm)
28.1L
29.0L
6’0″ (183cm) 19 1/4″ (48.9cm)
19 3/8″ (49.2cm)
2 1/2″ (6.35cm)
2 9/16″ (6.51cm)
29.8L
30.8L

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SuperFoil H2 (1996)

SFroom

OGM社のシェープデザインシステム「Super Foil H2 (1996)

OGM社では、1996年から現在のようなカスタムシェープマシンを稼働させていました。
このマシンは、友人が設計し、町工場に発注して製作。
組み立ては私自身が行いました。
当時、コンピュータのOSは発売間もないWindows 95。サーフボードの設計プログラムは自作し、MS-DOS上で動くBASICで開発しました。
また、マシンを制御するデジタルコントローラはGコードで動作するため、そのプログラムもゼロから作り上げたものです。

Super Foilは、従来の量産型シェープマシンとは一線を画すシステムです。

当時は、現在のように高機能なサーフボード設計ソフトがなく、世界で主流だったシェープマシンは、いわば「コピー機」のようなものでした。
まず、シェーパーが手作業で削ったボードをスキャンし、コンピュータに数値データとして取り込みます。
そのデータをもとに機械がボードを再現しますが、取得されたデータは単なる数値の集合にすぎず、基本的に拡大・縮小程度の調整しかできませんでした。
異なるタイプのボードを作るには、新たに手作業でシェープし、再度スキャンし直す必要があったのです。

この方法は、大量生産されるストックボードには適しているかもしれませんが、カスタムオーダーや「マジックボード」を生み出すには限界があります。
ハンドシェープにはない「再現性」は備えているものの、デザインの発展性(進化の可能性)がないため、シェーパーの創造力を活かしきることはできませんでした。

Super Foilがもたらす革新

これに対し、OGM社が開発したシェープデザインシステム「Super Foil」は、ボードのデザインを100%コンピュータ上で行う、まったく新しいアプローチを実現しました。
このシステムでは、アウトライン、ロッカー、ボリューム配分はもちろん、レールフォイル、デッキのラウンド係数、ボトムのコンケーブ形状や深さなど、シェープに関するあらゆる要素を設計可能です。

ボードデザインのプロセスはハンドシェープと基本的に同じであるため、サーフボードに関する知識やセンスは今までどおり必要ですが、プレーナーやノコギリといった職人的な作業や手作業による誤差から完全に解放されます。
これにより、シェーパーのデザイナーとしての能力やエンジニア的な思考が、より一層求められる時代になりました。
Super Foil」は、量産型シェープマシンとは異なり、むしろハンドシェープに近い自由度を持つ、まさにカスタムシェープマシンといえます。

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Super Foil」で可能になること

このシステムにより、従来のマシンシェープやハンドシェープでは不可能だった細かな調整が可能になりました。

  • たとえば、全ての仕様を同じにしながらロッカーだけを変えたサーフボードや、レールフォイルだけを変更した2本のボードを作ることができます。
  • 現在のボードが気に入っているものの、「もう少しだけ速くセクションを抜けたい」という場合、他の部分はそのままに、コンケーブを深くする、テールロッカーをわずかに弱める、といった調整が可能です。
  • さらに、現在のボードデザインを維持したまま、+2インチの長さでより大波向けにセッティングする、ロッカーの異なる2本を作り、ビーチブレイクとリーフブレイクで使い分ける、といった設計も自在に行えます。
  • 過去に製作したボードのデータも全て保存されているため、再現や微調整も容易です。

Super Foilが切り開く未来

OGM社では、この「発展性」と「再現性」を兼ね備えたSuper Foilシステムを活用することで、特にプロサーファーやプロを目指す上級者に対し、より強力なサポートができると確信しています。

こんなことができます。
このシステムは、従来のマシンシェープやハンドシェープではできなかったことを可能にします。
たとえば、他のすべてがまったく同じでロッカーだけが違うサーフボードや、レールのフォイルだけを変化させた2本のボードを作ることができるのです。
今のボードは最高に気に入っているのだけど、あと少しだけセクションをぬけるスピードが欲しいと思った場合、他の部分をまったく変えずにコンケーブだけを深くするとか、テールロッカーだけを少し弱くするといった変更が可能なのです。
この他にも、今持っているサーフボードのイメージのまま、あと2インチだけ長くし、同じテイストのまま少し大波用のセッティングにするとか、あるいはロッカーだけ違う2本のボードで、ビーチブレイクとリーフブレイクを使い分けるなどといったことが可能になります。
もちろん、過去に作られたボードデータはすべてファイルの中に存在するため、いつでも再現することも、加工することも可能です。
OGM社ではこの発展性と再現性を兼ね備えたSuper Foilシステムを使うことで、とくにプロやプロをめざす上級レベルのサーファーに対し、強力なバックアップができると確信しています。

URASHIMA 4(コンセプトボード・非売品)

URASHIMA 4
このボードの名前は「ウラシマ・クアトロ」。
4フィン仕様で、名前だけでもちょっとカッコいいと思いませんか?

実は、このボードは2006年にシェイプしたもので、シェイプ当時はかなりの苦労をしました。

挑戦のデザイン
まず注目してほしいのが、この極端なアスペクトレシオ!
長さ 5’2”(157cm) に対して、幅が驚異の 25”(63.5cm)。
これ、普通のサーフボードではなかなか見られない比率です。

このアウトラインで直進性を確保するためにはロッカー(ボードの反り)を極力弱める必要があるんですが、やりすぎるとトイレのフタみたいな形になっちゃう。

そこで、亀の甲羅をイメージしながらロッカーを調整し、深いトリプルコンケーブでセンターロッカーを落としつつ、ボード全体の厚みで背中に丸みを持たせました。
苦労したけど、このデザインが結構気に入っています!

なぜ作ったのか?
「なんでこんなボードを作ったの?」と思うかもしれませんが、これはシェイパーとしての挑戦そのもの。
変わったデザインでありながら、サーフボードとしての性能をキープするには、しっかりとしたコンセプトが必要なんです。

普段のオーダーでも、
「薄くて短くてよく動くのに、テイクオフは早く、小波でもガンガン走るボードを!」
みたいな、まさに無理難題なリクエストが来ることがあります。

でも、そういう注文をされるの、実は嫌いじゃないんです。
むしろ大好き!

このボードを作ったのも、そういう「無理を可能にする」練習の一環。
真剣に考えてシェイプしました。

乗り味と最大の敵
さて、肝心の乗り味はどうかというと…。
OGMアニマルシリーズの規定を基準にすると、4ftオフザリップはちょっと厳しい。
でも2ftくらいなら、なんとかこなせる感じです。

ただし、このボードには 唯一の弱点 があります。
それは、25インチという幅の広さ…。
体が硬いせいか、波待ちしていると30分くらいで股関節がめちゃくちゃ痛くなります。

そんなわけで、この URASHIMA 4 は、見た目のインパクトもさることながら、僕の挑戦心と遊び心が詰まった一品です。

非売品ですが、こういうユニークなボードに乗る楽しさをぜひ共有したいです!

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