ジャッジは、採点スケールに基づいてスコアを決定します。
採点スケールとは、ジャッジシートの下部に記載されている「Good」や「Excellent」などのスコア区分のことです。
ライディングを分析し、
・良いライディングであれば「Good(6.0~7.9)」の範囲内から
・普通のライディングであれば「Average(4.0~5.9)」の範囲内から
適切なスコアを選びます。
また、ジャッジは点数に明確な差をつけることが求められます。
そのため、2点や3点といった低いスコアの範囲内で勝敗を決めてしまうのではなく、10点満点のスケールを最大限に活用するよう教育を受けています。
採点スケールの重要性
採点スケールは、スコアの幅を持たせるために非常に有効な仕組みです。
たとえば、あるジャッジが1本のライディングに5.0点をつけたとします。
それを見たヘッドジャッジが問いかけます。
ヘッドジャッジ:「今のライディング、どうだった?」
ジャッジ:「良かったです。」
すると、ヘッドジャッジは次のようにアドバイスするでしょう。
「良かったと思うのなら、5.0点ではなく、‘Good(6.0~7.9)’の範囲内でスコアをつければ、スコアリングの幅が広がり、10点満点をより適切に活用できるよ。」
このように、ジャッジが10点満点のスケールを幅広く活用することで、実力のある選手が適正に評価され、勝ち上がる確率が高くなります。
実力のある選手が勝ち上がるためのスコアリング
プロクラスの試合において、「Good(6.0~7.9)」のスコアを出すのは簡単ではありません。
通常、1本のライディングの中に、難易度の高いマニューバを最低1~2回入れる必要があります。
これは、実力のあるサーファーでなければ獲得できないスコアです。
一方で、3.0点程度のスコアは、1本のライディングの中に簡単なマニューバを1回入れるだけで獲得できてしまいます。
仮に、技術の高いサーファーがヒートの時間内に良い波に恵まれず、1本しか良いライディングができなかった場合を考えてみましょう。
もし、そのライディングに5.0点しかつかなかった場合、簡単なマニューバを1回入れた3.0点のライディングを2本成功させた選手が合計スコアで勝ってしまう可能性があります。
さらに、もしエクセレントなサーフィンに対して7.0点しか与えられなかった場合、アベレージな4.0点のライディングを2本乗った選手に敗れてしまうことも起こりえます。
適正なジャッジングを目指して
ジャッジは、ライディングに含まれるマニューバを正しく評価し、本当に素晴らしいサーフィンをした選手が、適正に勝ち上がれるようなジャッジングを目指さなければなりません。
そのためにも、採点スケールを的確に活用し、スコアの幅を十分に使って採点することが重要なのです。