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OGM Tri Plane

テイクオフを早くするためにはどうすれば良いのか?

最近、パドル力が落ちてきたせいか、いつもこんなことを考えています。
ボードを大きくすれば解決するのは簡単ですが、それでは操作性が重くなってしまい、嫌だと感じるサーファーも多いのではないでしょうか。
テイクオフが早く、立ち上がった後も軽快で自由で、さらに速いサーフボード。
そんな夢のようなサーフボードを作りたいと常に思っています。

毎日のトレーニングで少しは改善できるかもしれませんが、私はシェイパーですので、サーフボードの改良のみで解決したいと考えています。😁

 

テイクオフの早いサーフボードを作るには

まず、パドルの速度を上げるためには、ボードに十分なボリューム(浮力)が必要です。
しかし、操作性を保ちながら回転性を良くするためには、ボードの長さを抑える必要があります。
結果として、短くて幅の広いサーフボードが理想となるのではないでしょうか?

ボードの幅を広げることには多くの利点があります。
テイクオフが早くなるだけでなく、安定性が増し、小波での加速性能が向上し、速度が低下してもライディングを続けやすくなるなどです。
しかし、幅広のボードにはデメリットもあります。
速度が上がるにつれてレールの切り返しが重くなり、縦の動きが難しくなるため、ライディングが2次元的でフラットなものになりがちです。

これを解消するために、幅広のボードではコンケーブの代わりに主にVボトムが採用されます。
Vボトムは、ボトムを流れる水を左右に逃す性質があるため、ロール方向のモーメントを軽減し、ボードを傾けやすくする効果があります。
このため、ロングボードやミッドレングス、レトロフィッシュなど、大きめのボードにVボトムが多く使われているのです。

しかし、Vボトムは揚力を生みにくく、ボードが走り出しても水に浸かっている体積があまり減らないため、速度が上がりにくく、加速や反応が鈍く感じられることがあります。
特に、最近のサーファーはコンケーブの持つ軽快な走りに慣れているため、Vボトムのボードを「遅くてまったりしている」と感じることが多いようです。

 

トライプレーンの利点

トライプレーンは、中央にコンケーブを施し、その両側にフラットなパネルを配置した3つの面(トライプレーン)で構成されています。
このボトム形状の理論は、Vボトムの頂点付近をコンケーブで置き換えることでスピード性を確保し、左右のフラットパネルでレールの切り返しを軽くするというものです。

実は、このトライプレーンのアイデアは新しいものではありません。
30年ほど前に、操作性の優れたコンケーブデザインとしてトリプルやクアトロなどのマルチコンケーブが流行しましたが、時代の流れと共に終息しました。
このときのコンケーブ配置が、現在のトライプレーンの原型となっています。

その後、サーフボードの主流はフルコンケーブデザインへと移行し、より小さく効率的なボードが求められるようになりました。
しかし、あれから30年が経ち、当時のサーファーたちも年を重ね、体重が増え、大きめのボードが必要になってきています。
このような状況では、トライプレーンはボードを大きくしても動きが重くならず、スピ
ードも遅くならないため、非常に有効なコンセプトです。

トライプレーンは、軽快で加速性が高く、レールの切り返しが軽いので、サーフボードの大きさを感じさせません。
さらに、シェイプ時の自由度が高く、さまざまな乗り味を作り出すことが可能です。

OGMでは、このデザインが幅広の小波用ボードやミッドレングス、SUPなど、十分な浮力を必要とするボードに対して非常に有効だと考えています。

 

シェイパーへ質問する

 

 

「EPSはどうも・・・」と言う人のために、

 

乗りやすいEPSをもとめて(サーフボードの芯に乗る)

EPSは、軽量でありながら高い強度を持つ非常に優れた素材で、とても大きな可能性を持っています。
しかし、EPSボードに対するサーファーの評価はさまざまです。
熱烈なファンの中には、サーフボードはEPSでないとダメだと信じる人もいれば、EPSは苦手だという人も数多く存在します。

EPSの長所としては、軽量性、優れた加速性、軽快な動き、高い強度などがあげられます。
一方、短所としては、ボードが跳ねやすくなること、不安定感やフワフワ感があること、速度変化が敏感すぎて走波性に劣ること、大きな波に対してのドライブ性が弱いことなどが指摘されています。

ここで冷静に考えてみると、これらの短所のほとんどは、EPSの長所である軽量性に起因していることがわかります。
すなわち、短所を解消するためには、軽さという長所を犠牲にしなければならないという真逆のジレンマを抱えているということです。

OGMでは、重さの要素を「慣性」と「慣性モーメント」の2つに分けて分析することで、この問題を解決できるのではないかと考えました。

 

「慣性」と「慣性モーメント」

「慣性」と「慣性モーメント」は物体の運動に関連する物理的な性質であり、それぞれ異なる意味を持っています。
例えば、物体が静止している場合、「慣性」は物体がその状態を維持しようとする性質であり、物体の運動状態を変えることに抵抗します。
同様に、物体が運動している場合にも「慣性」はその運動を維持しようとします。
この「慣性」は物体の質量に比例します。
つまり、質量が大きいほど物体はより大きな「慣性」を持ちます。

一方、「慣性モーメント」は物体自体の回転運動や方向性に関連する性質です。
物体が回転している場合、「慣性モーメント」は回転運動に対する物体の抵抗を示します。
具体的には、物体の形状や質量の分布によって決まり、物体が回転軸まわりにどれだけ質量が集中しているかを表します。
回転軸から質量重心までの距離が大きいほど、「慣性モーメント」は大きくなります。

 

サーフボードの場合、「慣性」はボードの運動方向やドライブの安定性に関与しており、重量が重ければ良いというわけではありませんが、乗りやすさに関しては一定の関連性があると考えられます。
ボードが極端に軽くなると、「慣性」が小さくなり、その結果、跳ねやすくなったり、フワフワした感触が生じたり、波の起伏に対する速度変化の大きさや走波性の低下に影響を与える可能性があります。
これらの要素が一般のサーファーにとってEPSボードを難しく、乗りにくいと感じさせる要因となっていると思われます。

これに対し、「慣性モーメント」はサーフボードのコントロールにおいて重要な役割を果たします。
軽量なサーフボードは、下図のどの回転軸に対しても小さな「慣性モーメント」を持つため、敏捷性が高く軽快な動きが可能です。
Roll(ロール)方向の回転軸に対する「慣性モーメント」が小さければ、レールの切り返しなどのボードコントロールが軽くなり、素早く正確な動きが実現できるはずです。
Yaw(ヨー)方向の「慣性モーメント」は、波のトップでのボードの返しの軽さに大きく影響すると思われます。
また、Pitch(ピッチ)方向の「慣性モーメント」の軽さは、波の斜面にボードを素早く的確に合わせるためにはとても重要な要素です。

このように、これら3方向の「慣性モーメント」の大きさは、サーフボードの基本性能に大きく関与しています。

 

フォーム重量の20~30%(ショートボードで約200g程度)のバランスシャフトがストリンガーに沿って埋め込まれている

 

zero-G コンセプト(ボードの芯に重量を集める)

zero-Gでは、フォーム重量の20~30%(ショートボードで約300g程度)の金属製バランスシャフトをボードの重心付近に追加することによって、「慣性」を増加させ、乗りやすさ、ドライブ性、走波性、安定性を向上させています。
この追加された重量は両足の真下のストリンガーに沿って位置するため、ボードのRoll(ロール)方向に対しての「慣性モーメント」は全く増加しません。

zero-Gは、最軽量に作られたEPSボードと同等の瞬発性、正確なコントロール性、機敏性、を持ちながら、PUボードのような乗りやすさ、安定性、ドライブ性を合せ持つ、非常に取り扱いの容易なEPSサーフボードに仕上がっています。

zero-Gは、ボードの芯に乗っている感触が味わえるサーフボードです。

 

 

 

 

 

 

2人の全日本チャンピオン

2021年、OGMサーフボードから2人のNSA全日本チャンピオンが生まれました。

生産台数が少なく、取引ショップも少ないOGMにとって、本当に奇跡のような出来事です。

青山選手、坂本選手、おめでとうございます。

 

地区予選を勝ち上がり、各地区から選ばれた強豪を破っての完全優勝です。

この写真で、二人とも素晴らしい笑顔をしていますが、この一年間の彼らの努力は並大抵のものではなかったと思います。

本当にお疲れ様でした。

 

OGMサーフボードユーザーの皆さん、OGMを支えてくれているサーフショップの皆さん、

いつもありがとうございます。

OGMは、楽しく乗りやすいサーフボードを目指します。

これからもずっとよろしくお願い致します。

 

本当に夢のようです!

小川昌男

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GMとGHDとの違いについて


GMGHDの最大の違いは、テール部分のアウトラインにあります。
図の通り、GMGHDよりもテールエンドのアウトラインが広く設計されています。

この広いテール面積のおかげで、GMは波から受けるパワーが増し、小波でも加速性の高いボードに仕上がっています。
「それなら、もっとテールを広くすれば、さらに加速の良いボードになるのでは?」と思うかもしれませんが、テールを広げすぎるとコントロール性が失われてしまいます。

サーフボードはレールを使って傾けながらターンします。
特に、ボトムターンからトップターンへの切り返しの際、広いテールのボードは左右のレールの入れ替え時に反応が重くなる傾向があります。
これは、波が大きくなってスピードが増すほど顕著に現れます。

一方、GHDはテールエンドがやや狭くデザインされています。
これは、大きめの波でスピードが上がった際のコントロール性を向上させ、レールの切り返しをスムーズにするための設計です。
結果的に、テール部分のアウトラインカーブが強くなり、レール・トゥ・レールのカービング性能も向上しています。
小波での加速性能はGMに若干劣るものの、標準的な波以上のコンディションでは非常にバランスが取れた完成度の高いボードとなっています。

 

GMGHDはあくまで基準点

今回はGMGHDの特徴的な性質について説明しましたが、実際にシェイプされるボードが100% GM、または100% GHDというケースはほとんどありません。
OGM Surfboards
の約95%はオーダーメイドのハンドシェイプで、ほとんどのボードはライダーとシェイパーの打ち合わせを経て、これら2つのモデルの中間的なデザインに調整されることが多いです。

サーフボードは、見た目の少しの違いで乗り味が大きく変わります。
ボードのタイプは無限にあり、モデル名だけにとらわれるのではなく、自分のサーフィンスタイルに合ったボードを考えることが大切です。

  • どんな波に乗るのか?
  • サイズは?
  • 素材は?

じっくり検討して、自分に合ったボードを選びましょう。

 

自分にぴったりのボードがサーフィンをもっと楽しくする

最適なボードを見つけるためには、ショップの店長さんやシェイパーと直接相談するのが一番です。
自分にぴったりのボードは、間違いなくサーフィンをより楽しいものにしてくれます。

 

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