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スコアの仕組み5ー④

 

 

公平な採点を心がける

採点では、良くないサーフィンにまで高得点を与えてスコア全体を引き上げるのではなく、良いサーフィンには高く、良くないサーフィンにははっきりと低い点数をつけることが重要です。

例えば、平凡なマニューバを何度も繰り返すことで不当にスコアが上がり、グッドスコアになってしまうケースがあります。
また、レールを使わずに行われたマニューバの連続に対し、アベレージスコアを与えてしまうこともあります。
ジャッジはライディングの長さやマニューバの回数に惑わされず、そのクオリティを正しく評価しなければなりません。

スコアの基準

  • 良いマニューバを含むライディングにはグッドスコアを
  • エクセレントなマニューバが含まれていればエクセレントスコアを
  • 平凡なマニューバしかなければアベレージスコアを

同じレベルのマニューバが繰り返されたとしても、採点スケールの範囲内で評価し、それを超えて高いスコアをつけないようにします。
これを徹底するだけで、スコアは一貫性を持ち、明確になります。
レールを使わずに行われた質の低いマニューバは、何回繰り返してもプアースコアにしかなりません。

 

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ジャイアント馬場の16文キックはエクセレントスコアですが、グレート東郷の塩まき目つぶしや、ミスター珍のゲタ攻撃はプアースコアでお願いします。

 

スコアが伸びない理由を考える

もし自分のスコアが伸び悩んでいると感じたら、そのマニューバが評価されていない可能性があります。
ジャッジは、マニューバの難易度を重視して採点します。

ジャッジ基準を再確認してみましょう。
そこには、高得点を得るためのヒントが書かれています。

スピードやパワーは十分か?
マニューバのつながりはスムーズか?
レールをしっかり使えているか?
コミットメント(攻めの姿勢)はあるか?
マニューバのポジションは適切か?
波のクリティカルなセクションで技を仕掛けているか?
技の革新性・進歩性はあるか?
マニューバの種類にバリエーションはあるか?
コントロールはしっかりできているか?
バランスを崩していないか?
そのセクションに最適なマニューバを選択しているか?

これらの要素がしっかり満たされているかを確認することが、高得点への鍵となります。

トップ選手も同じ基準で評価される

世界的なトップサーファー、ケリー・スレーターでさえ、同じジャッジ基準で採点されています。
ジャッジは、定められた基準に従い、公平かつ正確に採点することが求められます。

スコアを伸ばすためには、ジャッジ基準を深く理解し、それに沿ったサーフィンを心がけることが大切です。

 

 

 

 

スコアの仕組み5ー③

 

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ジャッジは、採点スケールに基づいてスコアを決定します。
採点スケールとは、ジャッジシートの下部に記載されている「Good」や「Excellent」などのスコア区分のことです。

ライディングを分析し、
良いライディングであれば「Good6.07.9)」の範囲内から
・普通のライディングであれば「Average4.05.9)」の範囲内から
適切なスコアを選びます。

また、ジャッジは点数に明確な差をつけることが求められます。
そのため、2点や3点といった低いスコアの範囲内で勝敗を決めてしまうのではなく、10点満点のスケールを最大限に活用するよう教育を受けています。

採点スケールの重要性

採点スケールは、スコアの幅を持たせるために非常に有効な仕組みです。
たとえば、あるジャッジが1本のライディングに5.0点をつけたとします。
それを見たヘッドジャッジが問いかけます。

ヘッドジャッジ:「今のライディング、どうだった?」
ジャッジ:「良かったです。」

すると、ヘッドジャッジは次のようにアドバイスするでしょう。

「良かったと思うのなら、5.0点ではなく、‘Good6.07.9の範囲内でスコアをつければ、スコアリングの幅が広がり、10点満点をより適切に活用できるよ。」

このように、ジャッジが10点満点のスケールを幅広く活用することで、実力のある選手が適正に評価され、勝ち上がる確率が高くなります。

実力のある選手が勝ち上がるためのスコアリング

プロクラスの試合において、「Good6.07.9)」のスコアを出すのは簡単ではありません。
通常、1本のライディングの中に、難易度の高いマニューバを最低12回入れる必要があります。
これは、実力のあるサーファーでなければ獲得できないスコアです。

一方で、3.0点程度のスコアは、1本のライディングの中に簡単なマニューバを1回入れるだけで獲得できてしまいます。

仮に、技術の高いサーファーがヒートの時間内に良い波に恵まれず、1本しか良いライディングができなかった場合を考えてみましょう。
もし、そのライディングに5.0点しかつかなかった場合、簡単なマニューバを1回入れた3.0点のライディングを2本成功させた選手が合計スコアで勝ってしまう可能性があります。

さらに、もしエクセレントなサーフィンに対して7.0点しか与えられなかった場合、アベレージな4.0点のライディングを2本乗った選手に敗れてしまうことも起こりえます。

適正なジャッジングを目指して

ジャッジは、ライディングに含まれるマニューバを正しく評価し、本当に素晴らしいサーフィンをした選手が、適正に勝ち上がれるようなジャッジングを目指さなければなりません。

そのためにも、採点スケールを的確に活用し、スコアの幅を十分に使って採点することが重要なのです。

 

 

 

スコアの仕組み5ー②

 

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「残り時間1分!」
「ホワイトの選手がライディング!」
「現在2位のレッドを逆転するために必要なスコアは5.18ポイント!」

試合終了間際、ホワイトの逆転がかかる緊迫したシチュエーション。
このとき、私たちジャッジはどのように考え、採点しているのでしょうか?

今回は、私自身のスコアのつけ方を紹介しますが、おそらく他のジャッジたちも同じようなことを考えながら採点しているはずです。

ジャッジの思考プロセス

逆転に必要な5.18ポイントというスコアは、アナウンスで繰り返し流れるため、当然ジャッジの頭にも入っています。
しかし、私自身は「このスコアをつければ逆転するかどうか」をあまり深く考えていません。
なぜなら、最終的な得点は5人のジャッジのスコアの平均で決まるため、私ひとりの判断だけで結果が変わるわけではないからです。

さらに、極端に高すぎるスコアや低すぎるスコアは、集計システムによってカットされ、最終的な平均点に反映されません。
そのため、ジャッジがすべきことはただひとつ──ライディングを冷静に分析し、自分の意見として適切なスコアをつけることだけです。

ヒート終了間際のスコアの決め方

ヒートの序盤であれば、比較対象が少ないため、ある程度広い範囲でスコアを決めることができます。
しかし、試合の後半になると、すでに確定したスコアがスコアシート上に多数存在するため、新たなライディングの評価は、それらと比較しながら慎重に決定しなければなりません。

例えば、ホワイトの選手の6本目のライディングが「5.0点くらいかな」と思ったとします。
その場合、比較対象となるのは、すでにスコアが確定しているイエローの3本目(5.0点)。

そこで、イエローのライディングの内容を頭の中で振り返ります。
「最初のマニューバは少し甘かったが、2回目のターンはシャープだった。3回目のカットバックも悪くなかったな

次に、ホワイトの今回のライディングを思い出します。
「ターンの流れは良かったし、全体的にまとまったライディングだった。
しかし、イエローの2回目のターンのような鋭いアクションはなかった

この時点で、ホワイトのライディングに5.0点以上をつける理由はないと判断します。
つまり、私のスコアの中ではホワイトの逆転はなくなりました。

次に、ホワイトのライディングをレッドの4本目(4.5点)と比較します。
「レッドのライディングはターンのコンビネーションが綺麗だったが、少しパワーが足りなかった。ホワイトの方が良いサーフィンだったな

こうして、私はホワイトのライディングに4.5点以上をつけるべきだと判断します。

限られたスコアの選択肢

この段階で、ホワイトに与えられるスコアの選択肢は4.64.74.84.94つに絞られます。

  • イエロー(5.0点)に近ければ4.8
  • レッド(4.5点)に近ければ4.7
  • ほぼイエローに匹敵すると判断すれば4.9

このように、ヒートの後半ではスコアの幅が限定され、雰囲気や感覚でスコアをつけることはできません。

ジャッジのスコアは相対的に決まる

ジャッジのスコアは個々に異なりますが、それぞれのジャッジが同じような比較・分析を行いながら採点しています。
最終的な得点は、5人のジャッジのうち、最も高いスコアと最も低いスコアがカットされ、残り3人の平均値が採用されます。

このとき、ホワイトの選手が逆転するかどうかは、ジャッジ個人の意識の中にはありません。
ただ目の前のライディングを、すでに確定したスコアと比較しながら評価するだけなのです。

誤解されがちなスコアリング

このように相対評価で決まるスコアは、観客にとって「あるときは厳しく、あるときは甘く」感じられることがあります。

例えば、観客の中には、
「今のホワイトのライディングは最低でも5.2ポイントはあったはず。ジャッジの採点はおかしい!」
と主張する人もいるかもしれません。
しかし、スコアはそのライディング単体ではなく、ヒート全体の中の他のスコアとの比較で決まるものです。
そのヒートの最初から最後までの流れを見れば、妥当なスコアだったことが理解できるはずです。

このようにして、ジャッジは冷静にスコアを決めています。
ある1本のスコアは「適当に決められたもの」ではなく、すべてのライディングとの比較によって導き出された結果なのです。

 

スコアの仕組み5ー①

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「えっ、おかしいな? いつもなら56点は出るのに、今回は4点か
この試合のジャッジは俺のことが嫌いなのかな?」

こんな話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
でも、安心してください。
ジャッジは選手の好き嫌いで点数をつけることはありません。
しかし、同じようなライディングでもスコアが変わることは実際にあり得るのです。
今回は、その理由を採点の仕組みから説明します。

サーフィンのスコアは固定ではない

サーフィンの採点は、「特定の技をしたら何点」といった絶対的な基準では決まりません。
例えば、「オフザリップを2回してカットバックをしたから5点」といったルールは存在しません。

また、10点満点の基準も固定ではありません。
例えば、WCT(ワールドチャンピオンシップツアー)では、タヒチやパイプラインの大波での10点もあれば、オンショアのジャンクな腰波での10点もあります。
同じ10点でも、ライディングの内容はまったく異なります。

さらに、ディビジョン(クラス)によっても評価基準は異なります。
プロクラスの10点と、ビギナーズクラスの10点は当然ながら違うものです。
このように、スコアは環境やクラスによって変わるため、サーフィンの採点には相対評価が用いられます。

相対評価とは?

サーフィンのスコアリングでは、絶対的な基準ではなく、その試合の波のコンディションや他の選手のライディングと比較して点数が決められます。

試合は「ヒート」と呼ばれる小さなグループ(24人)で行われ、勝ち上がった選手が次のラウンドで新しいヒートを作って戦うトーナメント方式です。
この方式により、同じヒートの選手は同じ条件で競うことになり、不公平が少なくなります。

ジャッジは新しいライディングを見たとき、同じヒートのスコアシートの中から、クオリティが最も近いライディングを基準として考えます。
その基準より良ければ高いスコア、劣っていれば低いスコアがつけられます。

例えば、
今のライディングはこのヒートのRed3本目(4.5点)より良く、Yellow2本目(5.0点)より劣る 4.7
というように判断されるのです。

ジャッジは感情で採点しない

ジャッジは雰囲気や気分でスコアをつけるわけではありません。
そのヒート中のライディングを記憶し、マニューバ(技)の分析を行い、他の選手との比較をしてスコアを決めます。
記憶が曖昧な場合はリプレイシステムを使って検証しながら、ヒート中ずっとこれを繰り返します。

4点しか出なかった」と感じるのは、すでに他の選手のライディングに対して4.5点が確定しているため、それより評価が低いと判断されたからです。
逆に「6点がついた」のは、それより悪いライディングに5.5点がついているためです。
ただ、それだけのことなのです。

試合中は、1本のスコアに一喜一憂するのではなく、もしスコアが伸びないと感じたら「相手のサーファーのライディングの方が良かった」と考えてください。
相手より優れたライディングをすることで、はじめてそれ以上のスコアを得ることができるのです。

 

シェイプをリンクさせる

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こんな経験、ありませんか?

「今日は波が大きいけど、いつも乗っている短いボードの方がしっくりくる。長いボードを使うよりもテイクオフはちょっときついけどね
本当はどんな波でも1本のサーフボードで対応できれば理想的ですが、ヒザ波とオーバーヘッドの波では、波のパワーや求められるマニューバーがまったく異なります。
すべてのサイズの波で完璧に機能するボードを作るのは簡単なことではありません。

そのため、波のサイズに応じて複数のボードを使い分ける必要が出てきます。
しかし、各ボードの乗り味が大きく異なっていたり、波のレンジ(適応範囲)が明確に割り振られていなかったりすると、スムーズな乗り換えが難しくなります。

私は、2本以上のサーフボードをまとめてオーダーされた場合、それぞれのボードの完成度はもちろん、ボード同士がスムーズに乗り換えられるよう、互いのつながりを意識したシェイプを心がけています。
単純にマシンでボードの拡大・縮小をすれば簡単だと思うかもしれませんが、そんなに甘くはありません。

マシンによる拡大・縮小は、体重の異なる2人のサーファーには有効な場合もありますが、1人のサーファーが異なるサイズの波に対応するボードを作る場合には役に立ちません。
なぜなら、ボードスピードや波のパワーの変化が考慮されていないからです。
モデルを変えることで対応することもできますが、その場合、ボード間の「つながり」は失われてしまいます。

 

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つながりを重視したシェイプには、個別のコンセプトは必要ありません。
波のサイズが変われば、ボードのスピードやターンの大きさ、マニューバの種類まで変わってきます。
小波では、波のパワーを効率良くスピードに変換することを重視してデザインしますが、大きな波では逆に、パワーをうまく逃がしながら正確にコントロールできるボードが求められます。
さらに、波をつかまえるために必要なパドル速度も変わるので、そのための浮力設計も重要です。

アウトライン、ロッカー、ボリューム配分、レールフォイル、コンケーブといった要素を、少しずつ変化させながら全体としてつながりを持たせることが、デザインには欠かせません。
1本のボードをシェイプする際には、他のボードの特性も常に意識しながらシェイプを進め、乗り味に連続性を持たせていくのです。

これが、OGMでいう「同じサーフボード」です。
形やサイズは違っても、波のサイズが変わったとき、まるで同じボードに乗っているような一貫したフィーリングを得られます。
こうして作られたサーフボードのグループは、波の大きさの変化にも柔軟に対応できます。
波が大きくなったら、ただボードをひと回り大きいものに変えるだけでOK
まるで同じボードの延長線上でライディングしている感覚です。

このように、ボード同士をリンクさせたシェイプによって、どのボードを選んでも一貫した乗り味が得られるのです。

OGMでは、サーフボード、サーフクリニックなどに関する無料相談を行っております。
お気軽にお問い合わせください。

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レールサーフィン

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短くて幅広く、丸くて平らなサーフボードに乗ると、誰でも簡単に即座にターンすることができます。

小さな波であれば、スープやリップに当てることも可能かもしれません。

このタイプのサーフボードはフラットな形状であり、ボトムの腹部を使ってターンするため、ノーズの向きが頻繁に変わります。
このノーズを左右に振る動作は「Yaw(ヨー)」と呼ばれますが、ジャッジの評価対象にはなりません。
なぜなら、レールを使っていないからです。

もう一度強調しますが、サーフィンのターンにおいて「Yaw(ヨー)」は適切ではありません。

 

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どこかの誰かの写真をお借りしました。ありがとうございました。

このケリーのカットバックの写真をご覧ください。

リップの直前に、カットバックのトラックの始まりが見えます。
ケリーのボードのノーズが180°回転するまでに、ボードが進んだ距離(トラックの長さ)は、おそらく5メートル以上、場合によっては10メートル以上に及ぶでしょう。

本物のサーファーのカットバックは、単にノーズを横に振るだけの小さな動作ではありません。
想像以上に大きな動きで、波のトップからボトム、カールの端からショルダーの端まで、広いスペースを使って行われます。
一方、ノーズを左右に振るだけのサーフィンでは、わずか1メートル四方程度のスペースでマニューバを行っているに過ぎません。

落ちてくるリップにボードを当て、元の進行方向とは逆にノーズを向けることで、オフザリップやカットバックを完璧に決めているつもりかもしれません。
しかし、実際には周りの誰の目にも止まりません。
ボードがまともに走っていないため、波の上にトラック(軌跡)が何も残りません。

 

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ちなみに、私はシェイパーなので、この写真の中でケリーのボードがどれほどロールしているのかをシェイププログラムを使って検証してみました。
シェイプルーム内のボードに、この写真と同じ角度に見えるようRoll(ロール)とPitch(ピッチ)を加えてみたのです。

 

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2枚目の画像は、視点を変えてノーズ側からボードを見たものです。
すると、ボードが想像以上にロール(傾き)していることが分かります。
また、ターンするためにはロッカーが非常に重要であることにも気づくでしょう。
さらに、ターンを安定して維持するためには、ボードの速度による遠心力とレールのフォイル、ボリュームのバランスが大きな役割を果たしているのです。

 

「良く走るサーフボードは曲がらない」なんてウソです。

ボードは、スピードを持って走ることで曲がります。
サーフボードがターンするのは、ロール(傾き)させて走った結果なのです。
そして、ターンの鍵となるのはロッカーの設計です。

これがレールサーフィンです。
サーフィンの基本はボードスピード。
「止まったサーフィン」から卒業しましょう。

 

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コバルトボード

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小さく凝縮された、カッコいいボードを目指して
私は、小さく引き締まったカッコいいサーフボードが好きだ。
子どもの頃、初めて鉄腕アトムの弟・コバルトを見たとき、少しショックを受けた。顔が間延びしていて、どこかマヌケに見えたからだ。
もちろん、ひょうきんで優しい性格のコバルトは今でも大好きだが、サーフボードのデザインとなると話は別だ。
私は、間延びした、締まりのないボードは決してシェイプしたくない。

新しいボードを考えるとき
シェイプをするとき、私は常に浮力、揚力、レールボリュームなどを総合的に考慮しながら、速いテイクオフ、高い加速性、優れた安定性といった性能をボードに盛り込もうとする。
しかし、これらすべてを詰め込もうとすると、どうしても各部の寸法が大きくなりがちだ。
長さ・幅・厚さを維持しようとすれば、ノーズもテールも広がり、アウトラインやロッカーは単調でストレートな形状に近づいてしまう。
ボードのあちこちに“余分”な浮力や幅を持たせることで、同じスペックであっても、全体がどんどん大柄になってしまうのだ。

その結果、トップスピードは落ち、動きは鈍くなり、私が最も嫌う「間延びしたボード」になってしまう。

理想のシェイプとは
私が目指す理想のサーフボードは、必要最小限のボリュームで最大限の揚力を発揮する、小さく引き締まったデザインだ。

これは、すべてのOGMサーフボードに流れるコンセプトでもある。
この理想を追い求めることで、速く、加速性があり、操作性に優れたボードが生まれる。

OGMのサーフボードは、どれもコンパクトに見えるはずだ。
スペック上の数値は他と同じでも、実際にはもっと小柄に感じるはずだ。

私は、テールやレールといった部分だけを見てデザインを決めることはない。
各パーツのつながりを最も重視し、ボード全体が効率よく機能するような設計を心がけている。
そうすることで、各所にたまりがちな“余分なボリューム”を取り除くことができるのだ。

すべてはつながっている
サーフボードは、すべてが曲面で構成されている。
ロッカーとアウトラインも、独立した要素ではなく、相互に影響し合う一体のものだ。
たとえば、ターン中にレールが斜めに沈み込んだ状態を想像してみてほしい。
そのとき、アウトラインはロッカーのように機能し、ロッカーはアウトラインのように作用していることに気づくだろう。

理想のボードとは、ロッカーとアウトラインのあいだに明確な境界がなく、ロールやピッチの角度の変化に応じて、自然にスムーズに切り替わっていくものだ。
それは同時に、デッキラインもボトムロッカーと同じくらい重要な要素であることを意味している。

このように、サーフボードを総合的・全体的にとらえることが、私のシェイプの出発点だ。
そして、そこから徹底的に、容赦なく「削ぎ落とす」作業が始まる。

削ぎ落とすことで生まれる、真のスピードと快適さ
余計なボリュームを持たないサーフボードは、スピードに優れ、乗り味も快適だ。
この設計思想を貫くことで、高性能でありながら、扱いやすく、小柄なボードが完成する。

こうした考えを、私はすべてのシェイプにおいて繰り返し、心の中で確かめながら実践している。

シェイプは芸術であり、物理学である
シェイプの過程では、戸惑いや迷いも多い。
だが、強い意志をもって思考を積み重ねていけば、すべての謎は必ず解ける。
サーフボードのシェイプは芸術であると同時に、物理学と数学の領域でもある。
デザインを決定する上で、それらの知識は非常に重要だ。
失敗の原因を突き止め、次に活かすためにも、それらの理解は欠かせない。

知識がなければ、同じミスを繰り返すだけだ。
だからこそ私は、理論と感覚の両方を信じて、シェイプという創造のパズルを解き続けている。

 

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こんなボードはゴメンです

 

 

自分に合ったサーフボードを見つける

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コンペティターは試合中、カール寄りの波のホレたところで演技します

なぜなら、波のきびしくパワーのある部分で技をかけないと高得点に結びつかないからです。
波の大きく湾曲した部分でボードをスムーズにコントロールするためには、強力なロッカーと大きくカーブしたアウトラインが必要です。
そして、現在のコンペティションボードは、機敏な反応性と高速での操作性を追求し、余分な浮力は持ち合わせていません。
ボトムにはコンケーブデザインが主流で、ライダーの体重を浮かせる上向きの力は主に走行時に発生する揚力に依存しています。
ただし、このような揚力を中心としたボードは低速では効果を発揮できません。
揚力は速度の二乗に比例するため、ボードの速度が半分に減少すると、生成される揚力は四分の一になり、ライダーの体重を支えきれずに沈んでしまうからです。

 

これに対して、ゆったりとしたライディングを望むサーファーは、波のカールから離れた緩やかな斜面でのマニューバーに焦点を当てます

小さなパワーのない波でも優れた走行性能を持ち、スピードの減少が緩やかなボードデザインを検討します。
このタイプのボードでは、浮力を効果的に利用することが重要です。
浮力は揚力とは異なり、サーフボードの速度に依存しません。
ボードの速度が低下することで揚力が減少しても、うまく浮力がサポートしてくれれば、途切れることなく走り続けることができます。
アルキメデスの原理によれば、ボードが水中に沈むことで浮力が生じます。
ボードが水中でどのような形状で沈むかによって、水からの抵抗が増加するため、高速なボードは望めないかもしれませんが、様々な角度で水に沈むボードの形状を検討し、それを調整することで、低速でも失速しにくいボードを実現することができます。

 

これは、ロングボードについても同じようなことが言えます

パフォーマンス系のロングボードは前者に分類され、一方でクラシックなスタイルを追求するロングボードは後者に該当します。
自分のサーフィンのスタイルがどのあたりに属するのかを考えてみるのも良いかもしれません。

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これらの2つのボードはおそらく対極のコンセプトを持っていると思われますが、どちらか一方に偏ったサーフボードが最善だとは全く思えません。
双方のアイデアやデザインを少しずつ取り入れることで、あなた自身に適した乗りやすいサーフボードを作り上げることが可能です。

絶対にコンペティション志向だけ、あるいは完全にリラックス志向だけにこだわるのではなく、また、ロングボードであっても、100%パフォーマンス志向か100%クラシック志向かということにとらわれずに、
自身が波のどの位置で技を発揮することが多いかを考慮して、ボードのオーダーについて相談することで、驚くほど適したサーフボードに出会うことができるでしょう!

 

 

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戦争ばっかの地球人は宇宙人の笑い者

宇宙人の笑い者

カール・セーガン博士の著書『COSMOS』は、私にとって特別な一冊です。1980年の刊行からすでに40年以上が経ちましたが、私はこの本をこれまでに10回以上は読み返してきたと思います。その中でも、特に心に残っているのが、次の一節です。

「手のひら一杯の砂の中には、およそ1万粒の砂がある。これは、晴れた夜に肉眼で見える星の数よりも多い。しかし、私たちが夜空に見ている星々は、宇宙に存在する星のほんの一部にすぎない。目に映るのは、極めて近くにある星だけなのだ。」

私たちが見上げる夜空は、美しく壮大ですが、実際には宇宙の一端にすぎません。宇宙には推定で1000億個の銀河が存在し、それぞれの銀河には平均して1000億個の星があります。つまり、宇宙には地球上すべての浜辺や砂漠にある砂粒の総数をはるかに超える数の星が存在しているのです。その広大さと豊かさは、まさに人間の想像を絶するものです。

カール・セーガン博士が原作を手がけた映画『コンタクト』には、次のような印象的なセリフがあります。

「もし宇宙に、私たちしかいないのだとしたら、それはずいぶんとスペース(空間)の無駄遣いだ。(If it’s just us, it seems like an awful waste of space.)」

この言葉には、”space” という語に込められた、広大な宇宙空間と「空き」という二重の意味が重なっています。宇宙がこれほどまでに広く、多様で、深淵であるにもかかわらず、そこに知的生命体が私たち一種しか存在しないとすれば、それはあまりに「もったいない」。そんな深い問いかけが、軽やかな一文に込められているのです。

セーガン博士は、生涯をかけて地球外生命の存在の可能性を説いてきました。同時に、この地球という惑星が、数えきれない偶然の連なりの中で誕生した、非常に特別な存在であることも強調しています。

私たち地球人は、まだ他の星の生命体と出会ったことはありません。もしかすると、この宇宙で生命を育んでいるのは、地球だけなのかもしれません。そう考えると、私たちの存在は極めて貴重で、守るべきものだと強く感じます。

それにもかかわらず、人類はいまだに争いをやめられません。文明が進んでも、歴史は戦争の繰り返しです。どれほど悲惨な体験をしても、私たちはそこから十分に学ぼうとしないのです。かつて戦争の惨禍を深く経験した日本でさえ、また「戦争のできる国」へと変わろうとしています。

――もし本当に地球しか生命のない星なのだとすれば、なおさら私たちは、もっと謙虚に、もっと丁寧に生きるべきではないでしょうか。

戦争ばっかの地球人は宇宙人の笑い者です。

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コンペティションボードについて

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私はサーフィンを見るのが好きだ。
特に、上手いサーファーのライディングを見るのは最高に気分が良い。
サーフィンを見たいからジャッジになったわけではないが、ひとたび足を踏み入れるとのめり込んでしまう性格のため、1994年にJPSAから依頼されて始めたこの仕事も、WSL(旧ASP)を含めるとプロコンテストのジャッジだけで年間100日を超え、それをすでに20年以上続けていることになる。

しかし、私はジャッジである前にシェイパーだ。
だから、真っ先に目が行くのは、選手がさまざまなセクションでどのようにボードをコントロールしているのか、あるいはマニューバーでのレールの使い方だ。
上手い選手が見事にサーフボードを操る姿を見るのは本当に気持ちが良い。
絶妙なレールの入り具合、ストレスのないターンの繋がり、、、見ているだけで惚れ惚れしてしまう。
逆に、余計なお世話だとは思いながらも、マニューバーの途中で突然レールが引っかかってワイプアウトしたり、本来抜けられるはずのセクションを抜けられなかったりする選手を見ると、「そのボード、本当に彼に合っているのか?」と、つい心配になってしまう。

こんなことを110時間、年間100日、20年以上も続けていると、ほとんど1本のライディングを見ただけで、その選手とボードの関係性が見えてくる。
「もう少しスピード性の高いボードに変えれば、もっと見栄えが良くなるだろう」
「もう少しロッカーを強くすれば、さらにマニューバーのクオリティが上がるだろう」
といった具合に。

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午前中、クリーンなコンディションで好調に勝ち上がってきた選手が、午後になって風がオンショアに変わると途端にボードスピードが極端に落ち、調子を崩して敗退してしまうことがある。
明らかにボードのアンダーボリューム(浮力不足)が原因だ。
しっかりとしたコーチがいれば、オンショアの風でパワーダウンした波の状況に対してボードチェンジを勧めるだろう。
しかし、これまで好調だったボードを試合途中で自らチェンジするのは非常に勇気のいることだ。
その結果、ボードを変えずに敗退してしまう選手が多い。
これは私のライダーたちにも言えることであるが、もちろん試合中は選手とジャッジが会話することはできないため、いつも試合終了後の反省になってしまう。

WCT(ワールドチャンピオンシップツアー)の選手たちが使うボードは、まさにF1マシンのように、最高のパフォーマンスを引き出すために余計な浮力を削ぎ落とし、バリバリにチューンされている。
最高のサーフポイントで、十分なコンテスト期間が確保され、選手はただ最高の波で演技することだけを考えてボードを選べばいい。
さらに、試合中はしっかりとしたプライオリティシステムが確立されているため、テイクオフの速さを競ったり、波を取り合ったりする必要もない。
ここでは反応の早い、ローボリュームのサーフボードが真価を発揮するのだ。

一方、WQS(ワールドクオリファイシリーズ)や日本国内の試合では、試合期間が短く、良いコンディションを待つ余裕はない。
小波やオンショアの悪いコンディションでも試合することを想定したボードが必要になる。
さらに、4メンヒートが主体となるため、パドルの速さやテイクオフの早さも考慮したボード選びが求められる。
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選手のように多くのボードを持てない選手にとっては、1本のボードでどれだけ幅広く波に対応できるかが重要なポイントとなる。

試合で安定して勝ち上がるためには、さまざまなコンディション、そして幅広い波のレンジで自分のパフォーマンスを発揮できるボードを手に入れることが何より大切だ。

 

OGMでは、サーフボード、サーフクリニックなどに関する無料相談を行っております。
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